2013スプリントファイナルの優勝は、野村祐三選手!
 

スプリントファイナル決勝のレポートを渡辺がお送りします。

ウラヌスカップにおいて、自分が立ち会いをして観戦記を書いた仲川が決勝へ。
大野は最後のスプリントで優勝し滑り込みのファイナル出場。
勢い的には一番か?
松ヶ瀬、野村はオープンリーグ決勝から今年再びの決勝での対決。

果たして勝つのは。

一回戦全体的に小場の展開。
オープンリーグ決勝では国士テンパイとはいえ、ハイテイで親のリーチに無筋で12000の放銃をやらかした野村。

今回は非常に落ち着いて打てている。前回の反省を活かせるか。

一回戦、筆者の印象に残ったのは東四局。

西家の野村がポンでこの形。

ポン

三段目に入ったところでポン。少考して打

この時点では河に一枚とオリている松ヶ瀬に一枚。

野村は単騎のままツモ切り。あとはハイテイを残すのみ。

とはいえ打点はもちろんかわらない。

上家の大野の捨て牌に松ヶ瀬がハイテイずらしのチー。その直後野村がツモの声。デジタル的には当然のチーかもしれない。

しかしオカルト的には野村が吹くことになるであろうこの仕掛け。果たして南入してどうなるのか。

南一局、10巡目野村が松ヶ瀬の打牌にロンの声。

ロン ドラ

この3900。

ドラ切りでの今テン。松ヶ瀬もそれを見て、「テンパってる?」と質問するかのような若干の強打ではあったが、野村のこの手、仮にドラポンを恐れたとしてもさすがにリーチしない人のほうが少ないのでは?

一回戦の結果は

野村409松ヶ瀬317大野310仲川164。

あの手をリーチしてたら、少なくとも松ヶ瀬がそのタイミングで振り込むことはなかっただろうが、どう変わっていたのか気になる。

二回戦さらなる小場へ。なんと最高打点は2600まで。

オーラス松ヶ瀬が仲川のリーチをかいくぐり、ハイテイのみでトップをとる。

松ヶ瀬331仲川321大野286野村262。

二回戦終了時トータル。松ヶ瀬+24.8野村+7.1大野△10.4仲川△21.5

三回戦、起親から仲川、松ヶ瀬、野村、大野。
ここまで置き去り気味の仲川が8巡目リーチ。

ドラ

トータルラス目だけに「ここぞ!」と点数を稼ぎたかったのだろうが、リーチならアガリやすい待ちを選んだほうがよかったのではないか。

ここは一人テンパイで流局。

一本場野村が8巡目リーチ。

ドラ

大野も追いつき12巡目にリーチ。

ドラ

ここで野村が大野に振り込むと、トータル的にどんどん面白くなりそうだ、と心のセリフを言い終わる前に野村のロンの声。

大野がつかみ5200。

東二局親の松ヶ瀬のサイコロがうまい。

配牌が

ドラ

次巡を引きあっさりテンパイ。

松ヶ瀬考える。ドラもないし高めも薄い。

ダマからどっか変化させたいなぁと見ていたら決心したかのようにリーチ。

親だしリーチが一般的だろう。

けどこれをリーチしない選択もできる松ヶ瀬が個人的には怖いんだけどなあ。

結果は仲川から2900。

一本場野村がリーチ。

ドラ

そこに立ち向かうは仲川。

ポン
途中テンパイの仕方次第では、何度も7が出そうになったが、が鳴けたおかげで放銃を回避でき、大野から5200は5500。

東4局流れ流れて3本場供託2000

松ヶ瀬4巡目に切りリーチ。

ツモ ドラ

松ヶ瀬のその後並んだ河を見ると、をツモ切った直後のツモ。普段の松ヶ瀬ならを切ってテンパイ外し。
「松ヶ瀬らしくない」という印象が残った。

500/1000は800/1300+供託2000。

南2局。

野村の5巡目リーチ。

ドラ

しかしここから俺を忘れるな!と言わんばかりに大野が逆襲開始。

をチーしてこの形。

チー

正直苦しい仕掛けだなと見ていたら引いて引いて単騎で追いつく。

待ち頃の単騎はないかと河を見ていたら、を力強くツモる大野。

役役混一で2000、4000。

南3局。

大野リーチ。

ドラ

これをあっさりツモで2000、4000。

ラス親の大野、このまま勢いよくあがり続けるか?

まずはポンから1300オール。

続く一本場10巡目に松ヶ瀬がリーチ。

ドラ

これが一人テンパイで終局。

終わってみると野村369、大野351、仲川270、松ヶ瀬200。

実はこっそり松ヶ瀬からドラ暗刻をアガった野村がトップ。

トータルは野村29.0松ヶ瀬△0.2大野△0.3仲川△34.0。

4回戦、このまま終わってたまるかと激しい打撃戦へ。

野村のリーチ一人テンパイから始まり。大野から仲川が8000は8300。

大野が一発ツモ裏3の3000,6000。

松ヶ瀬から野村へ3900。

仲川の1300、2600。

野村の2000オール。野村から松ヶ瀬が1000は1300。

松ヶ瀬の4000オール。松ヶ瀬から野村が3900は4200。

大野の2000、4000と、東1局以外流局なしで終わってみるとまたしても野村のトップ。
野村19.5大野6.1仲川△4.5松ヶ瀬△21.1で、
トータルは野村48.5大野5.8松ヶ瀬△21.3仲川△34.0。

これで野村はぐっと楽になった。甘い考えだがラスさえ引かなければほぼ優勝。

ここまでの安定感は野村が一番。無事に逃げ切れそうか? だがそう甘くないのが決勝戦。見逃しやらで徹底的に狙われ苦しむのが最終戦。果たしてどうなる?

少し長めの休憩の後、最終戦開始。

起親から大野、仲川、野村、松ヶ瀬。

東一局からもちろん逃げたい野村。

トータル二着目の当面の敵の親を流したい。

早い巡目にをポンしてテンパイを入れる野村。

しかしそこに松ヶ瀬がリーチ。

ドラ

局は進むがラス親があるだけに松ヶ瀬にも当然打ちたくない。

先に掴んだのは野村。しかし冷静にここでオリる。

親の大野からもリーチ。

手詰まって親の現物の一を打ったのは仲川。裏ドラ八で松ヶ瀬の5200。

東2局。野村が三巡目にテンパイ。

とはいえ役なしドラ単騎。途中待ち変えで平和に。

しかしなかなかアガれない。

そうこうしているうちに親の仲川からリーチ。

ドラ

山に二枚残りのツモリ四暗刻。

一発消しこみでテンパイを入れる大野のチー。

しかし危険牌を引き撤退。

仲川のツモる手に力が入る。

が、を引いたのは下家の野村。

そう、会心の四暗刻は大野の仕掛けに食い流されて流局。

次局松ヶ瀬がリーチで1300、2600は1400、2700。

松ヶ瀬親番で仲川の二人リーチ流局から1000は1100オール。

が、後が続かず仲川に8000は8600。そして南入。

この時点の点棒状況は大野253仲川308野村250松ヶ瀬389。

肝心の野村がラス目で皆気合が入る。

大野のリーチが流局。

続けてをポンして混一まっしぐらに仕掛ける大野。

そこに松ヶ瀬がリーチ。

ドラ

これをバン!と一発ツモ。

南2局仲川が2副露し松ヶ瀬から1500、リーチで2100オール。

二本場では大野がリーチ。松ヶ瀬も仕掛けて追いつく。

追いついた松ヶ瀬の3900アガリ牌が大野の河に置かれるが、野村の着順が上がってしまうため見逃し。

二人テンパイで流局。

ラス前大野のリーチに仲川が放銃し3900。野村完全にラス目に。

オーラス親の松ヶ瀬から451大野274仲川292野村183

松ヶ瀬は満貫ツモ一発で逆転のところまで。大野もこの半荘2着でも満貫ツモ5200直。

この半荘ノー和了、アガれば優勝の野村がバックと一通の両天秤で仕掛ける。

先にテンパイしたのは松ヶ瀬。

ドラ

追いかける大野。

すぐに大野が掴み裏ドラ五で5800。

逃げる野村追う松ヶ瀬。決着はあっという間だった。

野村はダブルバックで両面チー。

字牌なんぞいらんと打松ヶ瀬。ポンしてテンパイする野村。

をツモ切りする松ヶ瀬。そして野村のロンの声。

2013スプリントファイナル優勝はRMUアスリート野村祐三。

順位 選手名 合計 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦
1 野村祐三 29.1 25.9 ▲18.8 21.9 19.5 ▲19.4
2 松ケ瀬隆弥 13.3 6.7 18.1 ▲25.0 ▲21.1 34.6
3 大野公久 ▲13.6 ▲4.0 ▲6.4 10.1 6.1 ▲19.4
4 仲川翔 ▲29.8 ▲28.6 7.1 ▲8.0 ▲4.5 4.2

友好団体のタイトル戦にも積極的に参加する彼は、選手ポイントでも上位に入っている。

タイトルを獲ったことにより、これからきっとどんどん見られる立場になるだろう。

これからは、技術はもちろん対局に向かう態度、姿勢などあらゆる面で見られている意識を持ち、若い選手たちの見本になっていってもらいたい。

渡辺卓也
文責 渡辺卓也
文中敬称略