2012スプリントカップ最終戦 優勝は村本拓郎さん! |
2012年度最後のカップ戦は、スプリントファイナル進出へのポイント上位者にとってモチベーションの上がる大会であると同時に、それを持っていない選手には興味の薄れることも多い。 会場に着き、準備を始めると多井がつぶやく。 (おいおい、始める前から寂しいこと言うなよ。せっかく俺は立会人なのに) そしてほどなくライセンスBの山下健治プロが到着し、続いて参加者がチラホラと集まる。 受付終了の頃には大幅に多井の予想を上回り、16卓での開催となった。運営の我々としては嬉しい誤算となった。 友好団体である最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、麻将連合、そしてRMUのライセンスプロを含めた64名の中から決勝に歩を進めたのは以下の4名。 大上建也 +63.0 決勝、東1局。 この1回勝負の決勝。打ち手の多くは慎重に入ろうと考えるはずだし、大きな痛手をいきなり被るのは避けたいと思うはずである。 しかし、一人だけは違う。親の筒井が11巡目にリーチ。 実はリーチのみのカンなのだが、上記の思考もあり、子方はオリに回る。 次局、1本場。親権を維持した筒井が7巡目にのタンピンでリーチ。 リーチ宣言牌のを大上がチーして捌きに行く。 チー片アガリの三色でいわゆるペンというやつである。 ここでちょっとした事件が起こる。2巡ほど進み、西家の村本がイーシャンテンとなり、 筆者なら心の中で「くそー☆○×★!」(記号の部分は想像にお任せします)と思いつつ、顔には出さずヤマに手を伸ばすのだが、大上も平然と手を伸ばした。 大上は対局マナーも素晴らしく、実に人の良さそうな打ち手だ。 筆者とは考えていることも、全く違うのだろう。 そして程なくをツモあがる。善人には麻雀の神様ってやつも微笑むのかもしれない。 次局、親を持ってきた大上だが、またも北家の筒井からリーチが入る。数巡後、村本が現物のを切ると、金原がチーして無筋を勝負。そしてドラのをツモあがる。 チー ツモ ドラ筒井のリーチはが雀頭であった。 東3局村本の親は流局し、東4局はまたも筒井。 このマンガンで筒井が一歩抜け出す。 その後は小康状態となり、決め手となるアガリが出ずに、ここまでノーテン罰符などでジリジリと点棒を減らしていた村本の南場の親。 南3局。 2600オールはもらったようなテンパイだ。8巡目にリーチし、一発でをツモ。これを皮切りに村本がアガリ倒す。 南3局1本場は大上が染めている色のマチのピンフをきっちりヤミテンにし、ピンズのホンイツをテンパイした大上から放たれたをしっかり捕らえる。 南3局2本場はがアンコの手をリーチ。時間はかかったが、終局間際にツモあがって 南3局3本場はドラのとのシャンポン待ちで8巡目にテンパイし、ヤミテン。 優勝のためにはアガリに行くしかない大上がタンピンのイーシャンテンとなったところで、 しかし、筒井も40800点持っているし、ラス親の金原も25800点持っている。まだ全く油断できない。 南3局4本場。16巡目と時間はかかったが、筒井がドラ1のの5メンマチでリーチを打つ。 ドラが、ツモれず。 オーラスはラス親の金原、筒井がイーシャンテンまで辿りつくが、村本がピンフをツモあがり、優勝を決めた。 4名が皆、見せ場を作り、実に面白い対局であった。さすがに決勝まで残ったメンバーである。 その中で優勝した村本は、昨年までRMUのアスリートとして活躍していたが、諸事情で団体を離れた。しかし、その打ち筋や忍耐力はまさしくプロ(RMU所属時は、ライセンス認定はなかったが)と呼んで差し支えないものであった。 大会終了後、勝利者インタビューとして村本に勝因を聞いてみたところ、少し照れくさそうに答えてくれた。 「苦しかったけど、”我慢”したのが良かったんじゃないでしょうか」。筆者が感じた勝因と同じ答えが返ってきた。 本当に素晴らしい勝利でした。村本さん、本当におめでとう! このネプチューンカップで今年度のRMUスプリントカップは終わり、上位12名が決定した。 出場者は下記を参照ください。 あとがき 一日立会人を務め、そして観戦し、痛感したことがある。 大上については既に述べたことだが、その他の三者(村本、金原、筒井)を含めた対局マナーの良さだ。内容もさることながら、そのマナーや対局時の佇まいに感動した。 とても清清しく、気持ちの良い麻雀であった。麻雀を打ちたくなるような、麻雀へのモチベーションが上がるような、そんな対局であった。 我々、RMUに所属している人間は、多少は技術的に彼らより優れているところがあるかもしれないが、麻雀にある意味慣れすぎているところもあるのかもしれない。 マナー、そして麻雀に向き合う姿勢そのものについては、一般参加の方々から、大いに学ぶところがあったように思える。各々、省みてみてはいかがだろう。
|