2012スプリントファイナル 優勝は筒井七夜選手! |
2012年度の最終日である3/31、RMUの2012年度の最後の公式戦である、スプリントファイナルの決勝が行われた。 今年度のスプリントカップは、毎年参加してくださる愛好家の方々の中に、初めてお会いする方々の参加も多く見受けられた。その中で一定の割合を占めていたのが、ネット麻雀「天鳳」のプレイヤー達である。 彼らの中には実際の牌を握る機会が少ない人もおり、所作が多少不慣れなところを見せることもあったが、麻雀自体は一様に鋭い。私は、ネット麻雀を始めてからかれこれ15年以上経つのでそういう人もいることは十分承知していたが、そのギャップに驚かれた方もいたかもしれない。 その天鳳プレイヤーの中で今回決勝に残ったのが、筒井七夜である。 彼は「天鳳」の高段者である鳳凰卓在籍者ではあるが、スプリントカップと「天鳳」とで何回か打ったことがあるくらいで麻雀はよく知らないので、この機会にじっくり見たいと思った。 続いては、こうしたプレイヤー達が多数参加するきっかけを作ったと言っていい、B級ライセンスの仲川翔プロ。 彼とはお互いに団体に所属する前からの旧知の仲であるが、昔から麻雀サークルを立ち上げたり、麻雀大会を何回も主催したりと、年下ながらその行動力には驚かされてばかりである。 ネット麻雀においても、以前から筆者も参加していた、個室でセットした後のSkypeを使っての感想戦や、プロ団体横断的なリーグ戦の主催をするなど積極的だったが、最近はプレイヤー同士での交流も多いらしい。そこでスプリントカップへの参加を募ったり、学園祭の麻雀同好会にゲストで呼ばれたりといった活動をしている。 2年連続でスプリントポイント4位以内もカップ戦自体の優勝はなく、さらには前期R1優勝も後期は不振で陥落し、クライマックスリーグへの出場権を失って迎えた今回の決勝、初タイトルを巻き返しのきっかけにしたいところ。 一方で、私より年下でありながら、そうしたネット麻雀とは無縁の生活を送る若手プロも存在する。B級ライセンス、松ケ瀬隆弥プロ。 とある酒の席でグラスを片手に、 「ネット麻雀はやったことがない。というか、そもそも俺には似合わないだろ?」 なんて私に向かって言う彼は、昨年度のクライマックスリーグ優勝を手土産にB級ライセンスを取得すると、今年度の最高位戦クラシックを制覇し、業界にその名を知られる存在となる。その後も發王戦でベスト8まで残るなどの活躍をした今期をいい形で締めくくりたいところ。 もう1人は、村本拓郎。かつてRMUにアスリートとして所属し、筆者と同じリーグで戦ったこともある。諸事情で離れたが、こうしてカップ戦に参加してくれるのはうれしい限り。 最終戦のネプチューンカップ優勝の10ポイントのみでファイナル進出となったわけだが、このポイント形式になってから昨年まで、10ポイントでベスト12に残れたことはなかった。そうなった理由の一つとして、前出のように天鳳プレイヤー達の多数参戦でポイントが分散したことが挙げられ、そういう意味では今年のトレンドの恩恵を受けていると言っていいと思う。 定刻となり、対局が開始された。 (1回戦)松ヶ瀬、村本、筒井、仲川(起家から、以下同じ) 東1局に2,600を筒井からアガった仲川、東2局の松ヶ瀬のリーチに対し、前巡手出ししたをツモ切ると筒井からロンの声がかかる。 ロン ドラ現物待ちの満貫。筒井の河はリーチ後にのトイツ落としから始まり、松ヶ瀬の第一打のから通りそうに見えるを1枚挟んで3連続で現物をツモ切り。直前の最終手出しも現物のといったいい河になっており、これはやむなしか。 いい感じで対局に入ったかに見えた筒井だったが、ラスに落とし穴が。 供託と積み棒が2本ずつある中、筒井が と、2つ仕掛けてイーシャンテン。これに対し親の仲川が チー ポン ドラこのテンパイで応戦。すると松ヶ瀬がを暗カンして 暗カン ドラ、と、こちらは本手。仲川は手が高くなったのはいいが表示牌でめくれたは4枚目で、痛し痒しといったところ。筒井はマンズを手中に留めて、 チー チー ツモ ドラ、このテンパイになるも、が生牌であることに気を取られすぎたか、を切って仲川に5,800放銃してしまう。 本手を蹴られた松ヶ瀬は、その後も本手はアガリに結びつかないものの、他家のリーチに対して回して1牌押してテンパイ料を取って粘るなどして、1回2,000点アガっただけで原点を超える。 村本はヤミテンの1,000-2,000やリーチしての1,300-2,600で供託や積み棒を拾いながらトップ目に立ち、オーラス、気が付くと筒井の1人沈みになっている。 そのオーラス、親の仲川の6巡目。 ツモ ドラここでを切ったのだが、ソウズが不安定な形のまま一番形のいいピンズの伸びを見切ってしまったのはどうだったか。 結局、 チー ポン ドラこの形でテンパイするも、次巡に筒井がリーチ。 リーチ一発ツモ ドラ 裏安目ながらドラを一発ツモ、裏が乗ってハネ満となり一気に2着目に浮上。 結果論かもしれないが、上記の時点でを切っていれば、一発目をツモられる直前に チー ポン ツモ ドラこんなアガリがあった(筒井のは配牌から暗刻)。これに気づいていたか否かは抜きにしても、親かぶりで3着落ちしたのだからいい気はしないだろう。 そしてそれは、ハネツモ条件を満たされてラス落ちした松ヶ瀬も同じか。逆に筒井は、これでこの半荘のミスすべてを帳消しにできたと思う。 (1回戦)村本:+21.3、筒井:+3.7、仲川:▲7.3、松ヶ瀬:▲17.7 (2回戦)仲川、筒井、松ヶ瀬、村本 東1局、単騎のチートイツテンパイの筒井、待ちを探して3巡後に引いてきたに待ち変えしてリーチに行く。 しかし、その間にをトイツ落とししていた親の仲川、ドラソバのを勝負して ドラこのテンパイ、次巡を引いてきてを切り、現物待ちの高目ハネ満のテンパイとなる。しかし、この直後にまで空切りしては、さすがに他の2人からも現物とはいえは出てこない。 は村本の手から動かず、仲川からは切られないだろうから圧倒的に筒井に不利なめくり合いだったが、流局寸前にバタバタとが松ヶ瀬と村本に入って流局に終わり、筒井は一安心。 チャンスを逃した仲川だったが、ここから仕掛けての1,500(+300)、ダマの2,000(+600)で連チャンした後、 ポン ロン ドラリーチの村本の現物待ちで12,000(+900)を村本から出アガる。村本にしても仲川が押し返していることくらいは分かっていただろうが、共通現物がなくなっての放銃となった。 これで仲川の持ち点は5万点を超える。しかし、4本場で親を維持しようとして取ったバックのテンパイから松ヶ瀬に5,200(+1,200)を放銃する。 それでもまだ余裕のトップ目だったのだが、ここから徐々に削られていく。なかには誰が掴んでも出るような牌での放銃もあるのだが、松ヶ瀬のリーチの一発目を500-1,000で1回かわした以外は毎局4,000点前後出ていく局が続き、気が付くと東場終了して原点を割り込んでいる。そこから一度は南場の親で2,000オールをツモって一息ついたと思ったのだが…ラス前、 ポン ポン ドラこのテンパイを入れたところに、2巡ツモが飛ばされた村本が切ってのツモ切りリーチを敢行。ここへを引く仲川、村本の河に他にピンズは切れておらず、慎重に序盤切れているを抜く。 しかし、この慎重さが仇となる。次のツモは、押していればアガリを取れていた。 村本の一発目のツモがで、ワンチャンスとなったを河に置くと、 ロン ドラ 裏痛恨の満貫オリ打ちとなってしまい、マンツモ圏外へ大きく後退。 これで2回戦のトップ争いは36,900の筒井と34,600の松ヶ瀬の2人に絞られる形に。その松ヶ瀬、7巡目にを引いて、 ドラ絶好の4メンチャンでリーチ。ツモ直以外でも一発裏で条件を満たす。これに対し筒井は、ノーテンだったらまくられる可能性があり、放銃してもだいたい2着だろうといった感じで、 ポン チー チー ドラ積極的に前に出る。しかし、筒井の目からがワンチャンスとなり、マンズのリャンメンが埋まったら止まらないかと思ったら、 ツモ ドラリーチ棒が出たことによりマンツモでトップになる条件ができた仲川が、ここからを切るが、これはやむを得ないだろう。しかし、ここで松ヶ瀬はこれを見送る。 無論、アガれば1,300は確実に得られるし、裏が乗ればトップだから、アガっても全然不思議ではない。 4メンチャンでツモが残り6,7回あれば結構な確率でツモれるといっても、ターゲットの筒井が役牌含む3フーロしていることを考えると、流局までツモれる保証はない。それを考えると、自分のポイントだけ考えたらアガった方が得だと思われる。 しかし、ここはタイトル戦の決勝である。求められることはあくまで5回戦終了時に4人の中で1番上のポイントになっていることであって、自分のポイントを最大化することではない。 松ヶ瀬は、まだ2回戦ながらここでトップをまくって筒井と10p程度の差の2番手になった場合の優勝できる可能性と、まくれずに筒井と30p~40pの差の3番手になった場合の優勝できる可能性とを天秤にかけて、見送った方が、可能性が高いと考えたと思われる。 そして同巡、待望の牌を力強く引き寄せた。 ツモ ドラ 裏裏は乗らずに500-1,000。ポイント的には当然乗った方がいいのだが、気分的には乗らない方がむしろいいだろうと思えるから不思議である。 (2回戦)松ヶ瀬:+21.6、筒井:+11.4、仲川:▲9.5、村本:▲23.5 (3回戦)村本、松ヶ瀬、筒井、仲川 東1局、松ヶ瀬の、 ドラ先制リーチに対し、直前にを処理していた村本が、 ドラこの形で追いかける。これは追いかけた瞬間の枚数比1:5の通り? 松ヶ瀬がを掴んで、裏は乗らずも5,800。次局は、仲川の先制リーチに対し、追いついた筒井がテンパイ打牌で放銃して8,000(+300)。 そこから大きく動かないまま南入、全体としてみても折り返し地点である。ここまで強烈な連チャンはないものの流局が多く、すでに4時間近く経過している。 そんな全体の並びを意識する時間帯に差し掛かってきた南2局、南家で、 ドラこんな好配牌を得た筒井、ツモ、ポン、ツモで7巡目にあっさりテンパイ。 若干長引いたが、クイタンで捌きにきた仲川からで満貫をアガって2着目に浮上。仲川はさらに次局、村本がテンパイした同巡に5,200のアガリ牌を手出しする間の悪さ。 そしてオーラス、最初にテンパイに到達したのはラス目の松ヶ瀬。12巡目に、 ツモ ドラとなるが、この時点では3枚切れている上に、自分でをツモ切ってしまって変化も乏しい。 ドラ周りなのにピンズの下は安く、ドラこそ他に見えていないが、松ヶ瀬の目には全部に3枚が見える形。松ヶ瀬は3着目の親仲川とは2,900差。2着目の筒井とは9,700差で、だいたいはドラを重ねないとマンツモにはならなそうだが、ドラがどこかに固まって残っていなくても不思議ではない河。 それでも松ヶ瀬はを切ってテンパイを取らずにドラの重なりに賭けたが、次のツモがよりによってラス牌の。 リーチしていたら一発ツモで満貫だったとまではさすがに言わない。が、こんなことなら形テンみたいなテンパイを取って、ひょっこりツモや動きのない仲川のノーテンでラス抜けできる構えを取りつつ、ドラ引きには変則3メンチャンかシャンポンで対処というのも一つの選択だったかもしれない。 次巡の松ヶ瀬のツモは。こう構えた以上これしかないとばかりにを切ってドラ単騎リーチ。実はドラは村本にトイツであるだけでまだ山に1枚残っていた。 このを筒井が鳴いて、 チー チー ドラテンパイ、は松ヶ瀬が3枚、は仲川が1枚切っていて村本の手に1枚で残り3枚。しかし、直後に通っていないを引かされ、を落として迂回。すると、仲川が、 ツモ ドラ1枚ずつしか残っていなかったリャンメンを埋め、を切ってリーチ。 しかし、この待ちも村本は持っていないが他2人の形を見て確認できる通り、残っているのは1枚のみ。1枚対1枚の勝負は、松ヶ瀬がを掴んで仲川の3,900出アガリ。 の強烈なテンパイを入れるが、が深く、を引いて両面になった後にを引いてくるという間の悪さもあって1人テンパイどまり。しかし、これで筒井を2,100点かわして2着目に浮上。 2本場も仲川は積極的に仕掛け、6巡目に、 チー ポン ドラのテンパイ。しかし、その裏で松ヶ瀬が、 ドラの仲川の現物()待ちテンパイを入れ、ヤミテンに構える。 この時点で松ヶ瀬は14,700持ちのダンラスで、マンツモでもラスのまま。 この手でハネツモは厳しいにせよ、リーチして打点を上げにいく選択もあるが、先ほどと同じで、ヤミテンにしておけば仲川から出てもトータルトップの筒井を2着にしないままアガれるので、トータルで見て得という意図だろう。 この時点でまだは合わせて3枚山にあったが、仕掛けた時点でラス牌だった仲川のシャンポン待ちが先で、ツモの2,600(+200)オール。 これでトップ目の村本を射程圏内に入れた仲川、3本場も好配牌から軽快に仕掛けて、 ポン ポン ドラ5巡目にこのテンパイを入れると、9巡目にをツモってドラ待ちカンチャンに受けかえる。その次巡、松ヶ瀬に、 ドラチートイツのみのテンパイが入る。私はこの局面を見ていて、アガリを取りに行くなら仲川に安いピンズの単騎、受けるなら単騎と思っていたので、松ヶ瀬の単騎リーチの選択には違和感があった。 確かに松ヶ瀬にとっては、着順操作という縛りがほぼ消えた状態になったところで、素点を稼ぎ、できることなら筒井をかわすラス抜けのハネツモを目指したい。その、が自分から3枚見えていてが使いにくいのは分かるのだが、親の仕掛けにマンズが高く、他の2人もほとんどマンズを切ってこない状況では在処が読みにくく、やや拙速ではなかったか。 実際に村本の手にはが1枚ずつあってもうオリ気配。 結局、単騎にしていれば村本のツモ切り牌でアガれていたかもしれず、単騎でもリーチをしていなければ、 ポン ポン ロン ドラドラでの満貫放銃はなかっただろう。 これが決め手となりこの半荘は仲川がトップでトータルでも首位に立つ。一方、松ヶ瀬はハコを割り、早くも追い込まれてしまった。 (3回戦)仲川:+36.5、村本:+20.0、筒井:▲8.5、松ヶ瀬:▲48.0 (トータル)仲川:+19.7、村本:+17.8、筒井:+6.6、松ヶ瀬:▲44.1 (4回戦)筒井、仲川、松ヶ瀬、村本 松ヶ瀬はほぼ連勝条件。他3人はほぼ横並びだが、逆に言えばここでできた着差の裏返しが最終戦の条件に近似するわけで、仮にトップが取れなくても大きく離されることだけは避けたいところ。 東1局、仲川が、 ドラここからからツモ切りで松ヶ瀬の、 ドラこのヤミテン5,200に放銃。形だけ見ればを切りたいところ。だが、仕掛けている筒井の最終手出しがで切りにくいを松ヶ瀬が直前に通してしまったことでドラ表示牌のが切りにくくなってしまう。ドラ跨ぎでない待ちなら、と思って切ったところ、まさかとツモ切っている松ヶ瀬に当たるとは思わなかった、といったところだろう。 松ヶ瀬もこの待ちを冷静にヤミテンにするあたり、休憩を挟んで冷静さを取り戻したといったところか。 しかし、この後の待ちの高目タンピンのリーチが、切りきれず単騎になった仲川に引き負けるあたりがつらい。 そんなこともあって全体が平たくなってきた東2局2本場、筒井の好配牌にツモがかみ合ってわずか4巡でリーチ。 リーチツモ ドラ 裏2ハン違う高目を4巡後にツモってのハネ満で、一気に抜け出す。 このテンパイで筒井のリーチを受けた瞬間にを引いて現物のを切って方向変換したのが奏功。松ヶ瀬が切ったリーチの現物のをポンテンに取り、ツモって満貫で2着目に浮上。 その次局、仲川の配牌はパッと見イマイチ。 ツモ ドラこれくらい遅そうな配牌なら、私ならホンイツかチャンタを見つつロスの少ないあたりから切って様子を見たいところだが、仲川はさらにロスの少ないから切って普通に手を進めていく。しかし、この後の7巡目までのツモがで、世が世なら、 ドラこんな国士無双テンパイになっていても何の不思議もなく、しかも待ちのはその3巡後に村本がツモ切ったり、その次巡に自分でツモっていたりと、ずいぶんあっさりアガれていた可能性も十分にあった。 これを仲川がものにしていれば、勝てたとは言わないまでもずいぶん展開は変わってきていただろうが、結果はノーテン。 そんな危機があったなんて知る由もない筒井はというと、流局を挟んでの南2局2本場で、 ドラ8巡目にツモでを切ってテンパイを取ると、次巡のツモがでドラが活かせるピンフに手変わりしてリーチ。4枚残りのリャンメン待ちを一発ツモ、雀頭のが裏ドラ……使い古された表現を使わせていただくなら、「優勝者のツモ」である。 このハネ満で持ち点が5万点を超え、しかもまたもや仲川が親かぶりとなってしまった。 ここから後のない松ヶ瀬が親で村本のリーチをかわしての1,000オール。筒井からの2,400(+300)で連チャンする粘りを見せるが、2本場にかけたドラドラのリーチが、リーチ後に3フーロ目を鳴いた村本に役牌のみでかわされる。ラス目の村本としては自身のラス親に賭けるという意味では当然の選択なのだろう。 ただ、このリーチが不発に終わって一番喜ぶのはトータルトップ目の筒井なのだから、ここは松ヶ瀬を自由に打たせる選択もあったかもしれないし、アガリに向かうにしてもじっくりラス抜けできるアガリを目指すといった選択もあったかもしれない。 リーチの現物をツモ切って放銃の筒井は、2着目の親を1,600点で流してもらえれば安い買い物。オーラス、ピンフのみでテンパイしたのは13巡目だがそれでも一番早く、ドラドライーシャンテンの松ヶ瀬からすぐに出て通行料を回収し、最高に近い並びで終わらせることに成功した。 (4回戦)筒井:+33.9、松ヶ瀬:+2.5、仲川:▲9.6、村本:▲26.8 (トータル)筒井:+40.5、仲川:+10.1、村本:▲9.0、松ヶ瀬:▲41.6 (5回戦)仲川、筒井、松ヶ瀬、村本 仲川は筒井とのトップラスならほぼ無条件、2着順差なら10,400点差とまあまあ現実的な条件だが、村本はトップラスでも約2万点、松ヶ瀬は5万点以上の差で並びも必要。ただ、この2人は親が遅く回ってくるので、それに期待といったところ。 東1局、筒井が9巡目に先制リーチ。 ドラリーチのみだが、仲川の親を蹴れれば優勝に大きく近づく。このリーチを受けた次巡、仲川にもテンパイが入る。 ツモ ドラドラ表示牌待ちの役なしカンチャン待ちだが、もちろん四の五の言っている場合ではないので追いかける。そしてさらに2巡後、松ヶ瀬も追いつく。 ツモ ドラ条件は厳しいが、できるだけのことはやるしかない。ドラ単騎で追いかけ、3軒リーチ。山には全員の待ちが残っていたが、4巡後にツモったのは仲川。裏がで4,000オールとなり、供託の関係でこの瞬間に条件を満たす。 1本場は仲川と筒井の仕掛けに松ヶ瀬がリーチといくが、村本がピンフのみのヤミテンをツモって流す。 続く東2局、松ヶ瀬はさらに ドラ役なしドラドラ、手変わりを待つことなく展開をこじ開けに行くリーチ。さらにはの暗カンもする。これに対し、微妙に押しながらイーシャンテンを維持していた筒井が、 ツモ ドラ、カンチャンを埋めて残り2巡で追いつく。は通しやすい牌でテンパイを取るのは自然で、待ちのは先制リーチの河にあったが、その牌は横に曲がっていた。そして、松ヶ瀬が最後にツモ切ったを捕らえて12,000、これで2着目に浮上し、仲川の条件を打ち消す。 「どうせダマにしても脇からは出てこない、それだったらリーチでいいと思った」。 局後の本人のコメントだが、躊躇なくリーチに行ってアガリ切る姿を見て、強い、ただそう思った。 1本場、9巡目に筒井が切ったを松ヶ瀬が一鳴きして切り、それによってテンパイした村本が、 ドラタンピンドラ1でリーチ、仲川が唯一手牌にある村本の現物であるのトイツに手をかけると ポン ドラ松ヶ瀬の満貫に放銃となる。 さすがにトータルダンラスでこの半荘も1万点ほどしかない松ヶ瀬が役牌を一鳴きしたとなれば、最低満貫テンパイか役満に向かっているくらいしか想像できず、後者は松ヶ瀬の字牌の切り順などから見て、ないと言っていいレベル。で、前者とすればポンテンで手出しとなれば、もう少しその周辺は警戒してもよかったのではないか。 この放銃により、筒井はこの半荘もトップ目に立つ。 その後、村本がいったん半荘のトップ目に立つのだが並びが悪すぎてトータルでは全然及ばず、仲川も最後の親でメンホンの親満ツモ&村本の宣言牌を捕らえての3,900(+300)であと7,000点くらいのところまで迫るのだが、2本場に筒井が、 ポン ポン ポン ツモ ドラこの満貫ツモをかぶせてまた仲川との点棒を埋める。 こうなると他の3人は苦しい。一番近い仲川にはもう親がないし、村本にしても、松ヶ瀬がほぼ死に体になっているこの状況では先に書いた条件よりよりさらに点差が必要。 しかも、この半荘それなりに攻めているにもかかわらず、被ツモとノーテン罰符以外の支出のない安定した打ち筋を見せている筒井の点棒を削るのは容易ではない。 筒井は、自分の親は無理せずノーテンで流し、南3局は自力で1局で終わらせてのオーラス。村本の連チャン以外には仲川の倍直くらいしか条件がない。 ここで緊張からか、あまりにも引き気味に打ってアガリを逃してノーテンにしてしまい、仲川の条件をハネ直に変えてしまった筒井だったが、1本場、冷静さを取り戻したところに軽い手が入り、 ポン チー ツモ ドラしっかりと幕を下ろした。 (5回戦)筒井:+34.7、仲川:+20.1、村本:▲10.3、松ヶ瀬:▲44.5 牌譜を見返したところ、筒井と仲川のアガった回数は16対17でほぼ同じ。筒井の勝因は、23対14と局単位で見て1.5倍以上多く仕掛けたにもかかわらず、7対14と放銃を半分に抑えた守備力にあったと思える。とくに勝負どころの後半は、4回戦の満貫放銃以降、高い手への放銃は一度もなかった。 仲川は、過去のカップ戦でもつまらない放銃で優勝を逃すなんてことがあったが、これをクリアできれば、成績は上位の水準で安定しているのだから優勝する日は近いように思える。 さて、もう2013年度は始まっており、スプリントカップも5/6のマーキュリーカップからスタートする。今期のスプリントカップでも、いつもの、そして新しい皆さんと牌を交えるのが楽しみである。 また、こうしたワンデー大会だけでなく、「全国麻雀選手権」の開催も発表され、新しい活動の場がどんどん広がっているのを実感する。 2013年度も、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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