2012年RMUリーグ第7節 河野猛追も谷井譲らず首位快走! |
残り4節となった第4期RMUリーグ。
前節3連勝で一歩前に出た谷井がそのまま突き放すのか、マクられた多井、我慢の展開が続く河野の逆襲があるのか。それとも、この2週間前のオープンリーグで純正九蓮宝塔をアガった阿部の復活はあるのか。 これらを考える暇もない1回戦開始直後の東1局、この日一日どころか今期の展開を大きく左右することになるかもしれない事件が発生する。 7巡目、西家の阿部が仕掛けて、 ポン ドラ河は典型的な染め手風、三元牌は全く見えておらず、が配牌からトイツの多井以外は大三元の可能性を否定できない状況になっている。さらに9巡目にツモ打でリャンシャンテン。 その頃、親の河野は ドラこのイーシャンテンにツモ。ここでを切ったのは、この時点でが5枚見えだからというよりは、この後のマンズや字牌の引きに対応しやすいからということなのだろう。 イーシャンテンになるが、ここでの打を迷いながら少考したことで、河野にテンパイしていないことを確信されてしまう。河野の次のツモはただまっすぐ行っていたらアガリもあったラスだったが、これをツモ切りリーチ。 は阿部が1枚切っているだけだが、~が16枚中13枚河に並ぶ異常な捨牌になっている。直後の阿部、をツモってを切ればテンパイだが、切りきれずを切る。そのトイツ落としを見た北家多井、 ツモ ドラ河野のリーチ前にを引かされたことにより、ピンズメンツからを切って対応しながらイーシャンテンをキープしていたのだが、結果として河野のリーチに対しロン牌のが浮くことに。ここで完全にやめる手もあったと思うが、リャンメン待ちもカンチャン待ちもないではそうもいかないか。放銃してしまい、裏がで7,700。リーチ後に掴んだ牌の放銃を別として、親への放銃はほとんど見せない多井のこの失点は事件である。 「河野がツモ切りリーチに来た理由は分かっていたし、阿部がヤメたのも分かってテンパイを取りにいってしまった…。阿部の動向は牌譜には残らない。そういう意味でひどい牌譜を残してしまった。」 局後の多井の言葉である。 この後、谷井が要所でのリーチを決めて追撃するが、河野が隙のない打ち回しを見せて逃げ切った。 (河野:+29.0、谷井:+11.8、阿部:▲9.0、多井:▲31.8) 2回戦も東1局から動く。3巡目に谷井が切ったを親の阿部がポン。 ポン ドラ親満の見えるイーシャンテンで自然な鳴きだが、鳴かせた谷井はもっと速く、鳴かせた後にと引き込んで、5巡目に ドラこの形で即リーチとすると、一発でをツモって3,000-6,000。その後、東ラスの親では ドラ8巡目にこの形。捨牌が
と並び、ジュンチャン系を志向して進めていることが見て取れる。しかし同巡、上家河野が切ったを阿部が、 ポンポンテンに取る。これで谷井は一気に苦しくなった…と思ったが、すぐさまペン、ペンと急所を立て続けに引いてカン待ちでテンパイすると、ドラのまで引いてリーチ。 リーチ一発ツモ ドラ 裏これを一発ツモで6,000オールで6万点を超え、ダントツに。 チートイツテンパイからシャンポン待ちイーペーコーに受けかえてのリーチ、これに対して南家の谷井、 ポンをツモ切ると、同巡阿部がツモ切った、河野の現物をポンして通っていないドラを勝負! その後、を暗刻にしてノベタン待ちの満貫テンパイに変化するも、阿部のツモのみにかわされてこの局は流れた。そのまま谷井のトップで終了するのだが… 対局終了後、谷井にこの局のことを聞いたところ、 「そもそもあの場面になる前、リーチの前巡に河野さんがを切ったところで、自分もをツモ切らずにドラを切ってしまわないといけなかったのだけど、そんなすぐリーチが来ると思わなかったから切らなかった。でも、リーチに迷いがあったようだから、ドラは通ると思って押した」 今期、谷井に牌勢が向いていること自体は間違いないと思う。しかし、ただツイているだけではなく、しっかりと読みの入った麻雀を打てていることで、そのツキを生かせているからこそ、この時点で首位に立てていることを、この局で確信した。 (谷井:+37.7、河野:+7.8、多井:▲7.5、阿部:▲38.0) 3回戦もまた、東1局から動き出す。3巡目、親の河野が、 ドラこの形から阿部の切ったをチー、を切ってイーシャンテン。シャンポンばかり残るやや苦しい形だが、ドラドラだからといったところか。 ここから、を切って即リーチ。ドラ1あるとはいえ多井にしてはやや珍しい類のリーチだが、理由としては、 「親の動きで、カンチャンの2待ちという悪くない形で☆△(イーシャンテン→テンパイが連続するとアガリ率が高いという、多井の統計に基づく理論)のテンパイが入ったから」といったところか。しかし、結果的にはこの選択が完全に裏目に出る。 イーシャンテンだった河野に→と連続で入って満貫テンパイとなり、多井のツモ切ったが捕まって12,000放銃となってしまう。 その後、小競り合いが続き迎えた東ラス、河野の配牌で7枚だったヤオチュー牌が第1ツモで8枚になると、そこからどんどん引き込んでいき、7巡目の時点でもうイーシャンテン。 ただその前巡、親の阿部に、 ドラこのダマテンが入っていた。しかし、テンパイ直後に多井の切ったに動けるはずがなく、その次巡にはをツモ切り、ほぼカン固定になってしまう。この時点では谷井が1枚持っていただけだが、12巡目までに谷井に立て続けに3枚流れ込んで、空になってしまう。 順番が前後するが、河野の国士は、9巡目に手中に中張牌がなくなり、11巡目に手出しでテンパイする。待ちは前巡に阿部が切って1枚見えの。その手出しを見て、配牌が悪く、メンホンチートイツに向かっていた多井が手出しで中張牌を切りだすと、イーシャンテンながらドラのが浮いていた谷井も追随してオリる。 そんな中、阿部はをツモ切り、次巡を暗カン。こうなると谷井はを切るわけも暗カンするわけもなく、山に2枚残っているを2人でツモっているようなもの。 そしてちょうどあと1巡というところで阿部がつかんだは、手中に留まることなく放たれた。32,000は32,300。 ロン ドラ、発声から倒牌までのわずかな間に多井が天を仰ぐ。 前述したように多井は初手からメンホンチートイツに向かっていた。谷井ともども11巡目以降はヤオチュー牌を全く切っていないので、阿部の目から3枚見えているヤオチュー牌は、河野がツモ切ったとドラ表示牌でめくれていただけ。河からの情報は確かに多くはない。 しかし、いい時の阿部はここまで深追いせず、少なくともの前巡にツモったが結果的にアガリ逃しとなった時点で、次の危険牌は行かないイメージがあったのだが… ダントツになった河野は回ってきた親番で軽く連荘し、続く1本場。谷井が9巡目に、 ドラ高目三色のタンピンドラ1で先制リーチ、これに対し阿部が、 ドラ13巡目に同テンで追いかける。この時点で山には2枚、1枚残り。15巡目に河野がチーして16巡目に形テンを入れるが、その直後に谷井がツモ。裏がで倍満に。 南入し、親番の多井、 ドラこの配牌からを切ると、次巡を引いたところでを切ってホンイツ一直線。4巡目に引きで両面ターツができても安易に2枚切れのを切らずにツモ切ったのが奏功。すぐにを重ね、8巡目に、 ドラマンズが余らずにテンパイすると、高目のを河野から直撃し、12,000を取り返す。この2局で河野と谷井の差が一気に1万点前後にまで詰まるが、最後は役なし3メンチャンで即リーチし、トップ狙いで追いかけてきた谷井から打ち取ってトップを死守。 (河野:+44.4、谷井:+18.8、多井:▲17.0、阿部:▲46.2) 4回戦は、先ほどの嵐のような半荘とはうって変わり、 東3局・多井(10巡目リーチ): ドラ これらの本手がいずれも決まらないままオーラス。手数の分だけ谷井がリードしていたが、6巡目に3着目の河野に、 ドラドラ単騎のタンヤオチートイツのテンパイが入り、ダマテン。13巡目にツモってトップまで突き抜けた。 (河野:+22.0、谷井:+7.8、多井:▲5.5、阿部:▲24.3) 第7節トータル:河野:+103.2、谷井:+76.1、多井:▲61.8、阿部:▲117.5 今節は明暗がはっきり分かれる結果となった。 勝ち頭の河野は、100以上浮きながらトータル首位の谷井とは30も差が詰まらなかったのは不満だろうが、第2節から続いた我慢の展開をたった1節で一掃した爆発力はさすが。ターゲットはずっと多井だと思っていたところから谷井に変わったが、残り3節あれば十分逆転可能な差であろう。 そのターゲットとなる谷井については、昨年に比べて格段に安定した印象を受ける。残り3節、色々な重圧があるかもしれないが、それを乗り越えられれば頂点が見えてくる。もっとも、それすら通過点であろう彼ならいらぬ心配だろう。 多井は、初戦の東1局はともかく、それ以外では随所に多井らしい麻雀を見せていたように思う。残り3節、無理に追いかけるような麻雀は打たないと思うが、それでも気が付いたらまた優勝圏内に戻っているかもしれない。 阿部はここ最近、いい時と悪い時の差がはっきりしているように思える。数字上は大きく離されてしまったが、残り3節、阿部らしい麻雀を見せてほしい。 第8節は2ヶ月ほど間が開いて、11/24に神楽坂「ばかんす」で行われます。 その2か月の間に、RMUのオープンタイトル戦「第6期RMUクラウン」が開催されます。 予選は10/7開幕、±0以上は全員通過、しかも再挑戦可能となっております。
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