第6期RMUクラウン決勝観戦記 |
◇ファイナリスト
今から三年ほど前の記憶。下北沢駅南口から狭い住宅街を抜けて、環状七号線に出た。平日の夕方、この道路が混んでいるのはいつものこと。筆者は助手席で、ハンドルを握る男の話の聞き役となっていた。麻雀を打った帰りである。運転席の彼は金髪、いかにもサラリーマンとはいえない風貌。都内の運転には慣れているようで、狭い道もらくらくとすり抜ける。 「プロのリーグ戦に出てみたい」と彼はいった。返事をしようとした筆者を制し、彼はさらに続ける。「でもさ、どこの団体に行っても下のリーグは二十代の若い人ばかりだろう。俺はもう若くないし。今からやるのも遅いかもとは思うんだけど、上のリーグに行けばベテランもいる。もっと、強くなりたい。強い人と麻雀打ちたい」。 そこまで聞いて筆者が生返事をすると、彼はさらに「こないだのプロテストを受けようと思ったけど、友達の結婚式だったんだよ。だから次、プロテストの日のタイミングが合えば」と独り言のようにいった。 それからしばらく経って、首尾よく「タイミング」が合った彼は、プロテストの日を迎えた。その後、最高位戦日本プロ麻雀協会、第37期前期の麻雀プロとして、晴れてリーグ戦に参加をすることになる。第6期RMUクラウン準決勝2卓1位通過、川上貴史。放銃が嫌いで、赤アリのフリー麻雀でも、いつも序盤から安全牌を残す、隙のない男である。ウソかホントか知らないが、ダントツからマクられた日は反省文を書くという。点棒を持たせるとやっかい。正直、彼にフリー麻雀店であまり負けた記憶はないのだが、やっつけたという印象もなかった。突き抜けた強さの印象なんてない。ただ、強くなるために必要な、麻雀への熱だけは冷やさない男である。 彼はとにかく麻雀が好きだ。フリー麻雀においても、周りが感覚に任せて打牌をする中で、必要な時は長考もする。結果に対してこだわる。自分の打牌が正しいのかどうかということを、細かい部分で突き詰めていくことのできる打ち手なのだ。アガった刺さったで大騒ぎをする周りに合わせて、自分も騒いでみせることもあるが、本質的にはいつも淡々と打っている。アツい放銃をした時も、次の局の一打目は冷静に選ぶ。 準決勝1卓1位通過、宮田信弥。RMUのライセンスプロ。RMU長崎勢がその席の多数を占めた準決勝において、シードの多井隆晴をのぞいて唯一のセミファイナリスト。筆者がこの団体に入った当初からお世話になっている先輩プロでもある。筆者にとって、知り合いがほとんどいなかったこの団体において、気さくな人柄の彼の存在はありがたかった。ライセンスプロがどんなことを考えて、打牌選択をしているのか。それを気軽に質問できる人で、彼から教わったことは、細かなマナーから牌理、戦術論など数多い。 東京理科大学出身で、誰もが認める数字のスペシャリスト。麻雀においてもその能力はいかんなく発揮され、過去にも幾度となく決勝の舞台の経験がある。数字に関することは、筆者は常に宮田に質問をするようにしている。いまだタイトル奪取には至らないが、経験値においては、RMUのライセンスプロの中でも高い方であろう。「カップ戦では一回勝ったけどね、一日かけてやる決勝はまだ勝てない。一週間、よく準備をして臨みます」。準決勝直後の彼はそんなことを話してくれた。 雀風は攻撃型。それもかなりのインファイターであり、テンパイへの執着心がかなり強いタイプ。先制リーチも多く、早い手組みを好んでいるように見える。ただ、そのぶん致命傷を追うこともあり、現在R1で戦う彼だが、リーグ戦ではR3まで降級をしたことも。準決勝では追いすがる雀竜位・仲林圭を退け1位通過。速く正確な足し算と引き算が求められるトーナメント戦では、彼の頭脳が他に勝ったということか。 今回の決勝は、女流が二名勝ち上がった。四十年近い麻雀界の歴史を見ても、団体のトップタイトルにおいてこのような出来事は稀だろう。その一角が現女流雀王、第9・10期と連覇中の日本プロ麻雀協会、準決勝2卓2位通過の大崎初音。RMUクラウンのつい二か月前に行われた自団体のタイトル戦「オータムチャレンジカップ」でも準優勝をしており、競技歴は浅いものの決勝経験は順調に重ねている。 雀風は「リーチを愛する卓上のひまわり」と自身のキャッチフレーズにもある通り、メンゼン志向のリーチ多用型。第9期女流雀王決定戦において、協会女流最強の呼び声も高い朝倉ゆかりを封じ込めたのは、全十五回戦で乱れ打った実に四十七本に及ぶリーチ棒である。決勝の勝ち方を知り、そしてオータムチャレンジカップでは競り負ける立場も味わった。モンド21の出演なども含め、大舞台の経験は他の三名のファイナリストに比べ一日の長がある。 麻雀店へのゲストの他に、麻雀教室に勤務し、麻将連合の武則輝海プロ、そして「東大式」で知られる井出洋介プロらと麻雀の普及に努めている。トッププロの理論に日々触れながら麻雀を捉えることで、基本雀力を向上させている。
準決勝1卓2位通過の安達瑠理華。彼女ほど純粋に麻雀を愛し、また研鑽を重ねる女流選手は珍しいのではないか。RMUリーグの採譜、各タイトル戦の整理牌譜作業はほぼ毎回担当。また、マーチャオの専属プロとして、各店舗へのゲスト勤務で活躍している。ニコニコ生放送での対局・解説などメディア出演も増えており、RMUの女流枠を支える一番手。 「マーチャオの専属プロになりたい」とは、筆者が知り合って少しして、彼女の口から発せられた言葉。ふだんから親しくしている谷井茂文(A級)が川口店の店長を務めることもあり、やりがいや大きなメリットを感じられたのだろう。いつも控えめで、自分のビジョンをはきはきと話すような性格ではない。そのため、正直なところ筆者は少し面食らった。その後、決意の言葉の通り人気の専属プロとして働き、知名度も雀力も上げていくことに。まだRMU認定のライセンスは授与されていないものの、立派に女流プロの道を歩んでいるといえる。 雀風はオーソドックスなメンゼン型。牽制の仕掛けなど、いわゆる「戦略」を使うようなところはほぼない。師と仰ぐ多井隆晴(S級)の教えを、いかに卓上で活かすかということばかり考えているように見える。女性唯一の R1リーガーであり、クライマックスリーグ進出に向けてライセンスプロと凌ぎを削る。
―――「本命不在」。この面子を見たときの、筆者の素直な感想である。それぞれの強さも、また弱さもよく知っている。それぞれが勝つイメージも、負けるイメージもできる。だからこそ、この四人での決勝を楽しみに、当日を迎えることができた。 ◇会場入り 会場入り一番手は川上、続いて大崎。会場内はすでに数名のギャラリーがいて、談笑の声が響いている。筆者は立会人の阿部孝則(S級)とともに、この日の一日の準備に取りかかった。外は小雨が降っている。この季節、世間には体調を崩してしまう人が多い中、三名の顔色はまずまず良い。 川上は端の卓に一人腰掛け、所在なげにしていた。麻雀店ではたくさんの仲間に囲まれ、にぎやかに過ごす彼だが、この日はやはりいつも通りとはいかないか。宮田は会場である「ばかんす」に慣れていることもあり、緊張している様子は見えない。大崎も採譜担当の水崎ともみと談笑。この日になってRMUのルールに人和の四ハン役があることに驚いている。開始五分前にルールを説明しているのは、このタイトルを「他の団体のプロに持って帰ってもらい、うちの選手の奮起を促したい」と語る多井である。 意図してか、安達が開始ギリギリに飛び込む。顔色が蒼白なのは、決してこの日の気温が一桁だからという理由ではないだろう。会場入りする前から、会場の雰囲気に呑まれている、そんな印象を受けた。観戦記者の立場上、コメントをもらうために近づいたが、それが負担になってしまっても申し訳なく思い、話を聞けず定刻となる。ちなみにそれぞれのコメントは以下である。 川上:「プチ村上流で頑張ります」 「村上流」と語るのは、いわずと知れた「三冠王」村上淳プロ。この日は王位戦に出場されていて応援には来ていないが、川上とふだんから麻雀を打っている。筆者のイメージでは、川上と村上プロのスタイルはほとんど似ていない。それはリーチの手組みであったり、終盤の押し引きなどであったりするのだが、この点は割愛する。自団体プロのお手本をイメージしながら、健全なメンタルで試合に臨めているのは確かのようだ。 ◇一回戦 東家から宮田-川上-大崎-安達。 ・東1局0本場 東家の宮田が優しく初手の 観戦の立場として正直にいえば、開局の先制点が誰かということや、誰が抜け出すかということには、まるで興味がない。それよりも各々の精神状態、摸打のモーション。序盤の手の進め方。押し引き、マークする相手の選定。そういった点から、いかにその人が、いつも通りに打てているのかというところを見る。RMUリーグのようなトッププロの対局では、純粋に点棒のやり取りから気になるが、それは別の話。トップタイトルの決勝というのは、それだけで異常な場なのである。 よほどのベテラン同士の対局ではない限り、誰かが早い段階でミスを犯す。それをいかに修正し、描く勝利のイメージへ仕上げていくのか。興味の焦点はそのプロセスである。 最初のリーチは安達。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この配牌をそつなくまとめ、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 思い起こせば2011年度、多井がタイトル戦を勝ち続けたその後ろには、常に安達の姿があった。小さな文字で、何千という摸打を記録し続けていた。今日は安達の後ろに、多井がいる。「大崎と川上の後ろは混んでいて座れないから」とは多井の弁であるが、初のビッグタイトルに挑む愛弟子の姿を見守りたい気持ちもあったろう。 このリーチの前に、先行テンパイを入れていたのが西家の大崎。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
南家の川上。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 安達の手は開局からきれいなサンショクに仕上がった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 一発で高目への放銃。2枚持ちの それでもまだ一回戦。スコア上は大きく変わっても、トータルの闘い方に影響が出るレベルではない。後日、彼に話を聞いてみると、下家の大崎に気を取られすぎて、リーチへの対応がふっと頭から抜けてしまったとのこと。麻雀歴の長い彼でもそんなことがあるのだから、やはり決勝は異常な場である。 ただ、これをきっかけに、川上はいつもの自分を取り戻すことができるだろうという考えもあった。決勝の緊張がこの放銃によって解け、そこからはいつもの川上が見られるはず。事実、ここからの彼は指の震えもなく、いつものクールな打牌姿勢が見られるようになる。12000点は参加費としては高いものだが、それで自分らしく打てるようになるのならば、投資だろう。 ・東2局0本場 北家の宮田、手が早い。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 6巡目にこのイーシャンテン ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここに7巡目、 これを11巡目にツモって安達に続く決勝初アガリ。裏ドラをめくる手が震えていたが、このクセを含めていつもの宮田である。 ・東3局0本場 今度は私の番よとばかりに、大崎の配牌がいい。ドラはないもののこの好形。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() テンパイするだけならすぐにという手。岐路は6巡目に訪れる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 場を見渡すと 次巡、ツモ 一方、開始わずか15分のうちに17300点の失点となった川上。ここはフリーのお店でも、最高位戦でもなくRMUのホームだ。最初のゲームはとことん苦しめばいい。どうせ、うっとうしいリーチで復活するんでしょ。 ・東3局1本場 一人、また一人とギャラリーが増える。四者の手牌を確認するためには、ぐるっと大回りが必要になった。万歩計を持って来たら面白かったのにと思う。そんなことを考えているうちに、安達の手が早く進んでいた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 前巡、ノベタン 北家の川上、6巡目のリーチが入る。 河はピンズが高く、明らかな変則手。これを見てなおさら安達はリーチを打ちにくかったのだろう。エレベーターが開いて、また一人ギャラリーが入ってきた。コートがかなり濡れているようだ。さらに雨足が強くなってきたのと、川上のツモ発声はほぼ同時である。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() リーチの発声が早かったことを考えると、ヤミテンの8000点を拒否し、ハネ満を引きに行く決意があったか。一発ツモは望外だろうが、これであっという間に原点に返ってくる倍満のアガリ。いいな、そんなの空振りが怖くて、普通リーチなんてかけられないよ。 ・東4局0本場 バラバラの手を丁寧に育て、東家宮田が13巡目にテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 自分で ・南3局3本場 南入してからは流局が続き、供託は4本まで増えた。それはそうだ。そうそう競技麻雀にアガリなんて生まれない。時には少しくらい供託が貯まってもいい。 これを拾いにいきたい四者の思惑がぶつかる。テンパイ一番乗りは6巡目の安達。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ピンフのみのヤミテン。ソーズの場況はわからない。これはリーチがマジョリティーだとは思うが、供託が4本の3本場ということは、つまり1000は5900である。打点十分と判断したうえでの選択だが、これが残りの三者を自由に打たせることになった。 大崎が14巡目にリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() リーチは呼応する。宮田も以下の形でリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() なかなかポジティブなリーチではあるが、ひとアガリの価値が高すぎるこの場に限ってはバランスも悪くないか。場が沸騰すると宮田は頭をかくクセがある。この時も、牌を横にしてからそっと後頭部に手をやった。彼の頭脳はどのくらいの勝算を弾いたか。ギャンブルリーチであることは百も承知のはずである。 さらに川上も以下の形で追いついた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 一手替わりで四暗刻だが、これを待つほど川上は優しい男ではない。これで供託を含めてアガリ者に与えられるリーチ棒は計7本となる。安達は安全牌の中を引き、これをそっと置く。リーチはかけないの? うーん、ここは腹を括ってめくりあいでも良さそう。どうせ手を変えないし、オリることもない。それなら打点を追及してもいい。それに、タイトル戦の決勝で4軒リーチなんて、面白いじゃないか。 観戦者の勝手な思惑をよそに、結果は宮田が ・南4局0本場 東家 安達37900 6巡目に川上がテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 役のないノベタン。このままツモると2着浮上となる。10巡目、待望の手替わりとなる ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この巡目、大崎は以下の手。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() どちらにくっついても放銃。ヨレたツモに助けられた格好である。 ●一回戦終了 ◇二回戦 慎重に打ち進め、おそらく自身の麻雀に手応えを感じていたであろう宮田がラス。逆に、いつもとはまったく違う雰囲気に見える川上と安達が連対となった一回戦の結果である。まだスコアを気にする段階ではない。 東家から川上―宮田―大崎―安達 ・東1局0本場 北家の安達、配牌からサンショクが色濃く見える。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ツモに恵まれ、7巡目にしてこの形。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() これをヤミテンで12巡目に ・東2局0本場 南家の大崎、13巡目にリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 一発で ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・東4局1本場 さらに手が入る大崎。6巡目に以下の形でヤミテン。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここに8巡目、サンショクへの手替わりの これに捕まったのが宮田。以下のイーシャンテンから、小考の末に放銃。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() アガリを確認すると、はっきりと「ハイ」と返事をして、授受を終わらせる。 宮田だけではなく、この四名は常に対局姿勢が良い。それぞれ、競技麻雀における所作の大切さをよく理解している。安達は小考の際に手牌を触るクセがあったが、少し前に指摘をされ、この日は修正ができていた。日々、麻雀を打ちながら、自分はこのように少しでも変われていることがあるだろうか。思わず内省してしまう。 ・南1局0本場 ここまで失点続きの宮田にチャンス手。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() タテのツモが続いて6巡目にテンパイ。二度の待ち変えをしてこの形に。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 前巡に安達が切った ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本来ならばカン ・南1局0本場 さらに宮田に手が入る。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 4巡目、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここから さらにツモ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この高打点打法が宮田の強みであり、また隙となっている部分のように思う。 ちなみに打 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここにツモ ・南1局1本場 宮田の攻勢は止まらない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() やや難しくなりそうなこの手から、タテヅモをうまくまとめてこのテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() わずか5巡目のリーチ、捨て牌は全て手出しで ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・南1局2本場 RMUのルールは素点の価値が大きい。オカのあるルールでは、ある程度の点数を持てばトップを守る戦い方になるが、RMUでは点棒の壁を活かし、「叩けるときはできるだけ叩く」という戦い方が必須。当然、宮田はその本質を十分に理解しており、現状の優位性を活かし、さらにリーチをかける。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 丁寧にめくった裏ドラは、価値のある一枚。2000は2200オールの加点で宮田のダントツに。 ・南3局0本場 東家、大崎に大物手。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() いかにもタテに進みそうなこの配牌。2巡目に ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() こうなれば最終形は一つ。打 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() これをツモれば2回分のトップが取れる。山に残るは リーチ後に ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 安達のテンパイ打牌を捕えた大きな2600。大崎にとってはアガれないことは当然、この手を開けられないことも辛いだろう。それでもそんな表情はまったく見せず、淡々と授受を見届ける姿はさすがである。 ・南1局3本場 前述の通り、叩けるときに叩くべく、宮田がさらにリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() これに追いかけたのが大崎。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 待ちになっているドラは宮田が早々に切り飛ばし、安達もそれに続いている。ドラの地獄待ち。女流雀王の胆力である。宮田の ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ギャラリーが湧く一発ツモは大崎。あっという間に終わる決勝五回戦、勝負どころではこのようなリーチも有効なのだろう。試合後、「リーグ戦では絶対に打たないリーチですが、タイトル戦決勝は別です。宮田さんの点棒を削りたいし、地獄待ちなら手詰まった二人からも出るかもしれないので」と、大崎のコメント。 ・南4局0本場 オーラス、それぞれの持ち点は以下。 東家 安達20800 ここまでずっと我慢を重ねてきた安達。親番を迎え、ようやくアガリの見える手が入る。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 初手に 丁寧にまとめていく手は、8巡目にその形を固める。迷うことなくリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() このペン ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
一人旅になった安達は ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・南4局1本場 安達の8巡目、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ノータイムでツモ切りたいが、川上からリーチがかかっている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ヤミテンでは2600しかないこの手。早い巡目ならばこそ即リーチでも良さそう。小考の末、 ●二回戦終了(カッコ内はトータル) ◇三回戦 東家から川上―宮田―大崎―安達 緊張感は和らいでいるが、楽しく打っているというような余裕はない雰囲気。折り返しのこのゲーム、トップを取れば大きい。川上は最低でも2着を取っておきたい。雨足はさらに強くなってきた。 ・東1局0本場 西家、大崎がピンフのみの手をリーチでツモり700.1300。安手だが、やはりタイトル戦決勝のリーチである。誰も追いかけることはできず、流局間際に薄い牌を引き寄せた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・東1局1本場 川上がドラドラのチートイツを終盤にロン。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 放銃は自身もドラドラでタンヤオ仕掛けの宮田。下家の大崎がマンズのホンイツ模様であり、ギリギリまで絞って繊細さが仇となる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・東3局0本場 安達が4巡目にリーチ. ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここに東家の大崎が イーシャンテンから 大崎手牌 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・東4局0本場 宮田にチャンス手。6巡目に以下の形となる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここで小考。この形は機械的に ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ただ、ここのリーチ判断が難しい。安達が3巡目に ・南2局1本場 川上が7巡目に ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この鳴きで宮田に好牌が流れ込む。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() リーチの時点で これは前局と違い、ヤミテンのほうが効果的な局面に思える。そうなると大崎は宮田に通るドラを切らないという選択があり、安達はメンゼンのまま高打点で目指すだろう。安達のチーにより、安達の下家の川上の元に ・南3局3本場 東家の大崎、3巡目に仕掛ける。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここからやや時間がかかり、11巡目に以下のテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 川上はドラを抱えたまま以下の仕掛けで応戦する。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
しかし、川上が次のツモ牌を見ることは叶わなかった。すぐに大崎が高目の ・南3局4本場 北家の宮田、8巡目にテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() その後、イーペーコーの変化があったがマンズ周りを引く変化もなく、ドラ単騎のヤミテン続行。リャンメン変化があってもドラそばで悪い待ちなので、おそらくこのままの形で押すかと思って見ていると、これを終盤にツモ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 山に二枚残りの ・南4局0本場 東家の安達、配牌はまずまず。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この局、ドラは配牌で川上と宮田、そして安達に一枚ずつ。大崎も5巡目に引いた。さあ我慢比べだ。 13巡目の安達、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
それぞれ、オーラスであることを加味しても、いつもより摸打に時間をかける。ドラが役牌という局は本当に難しい。1枚だけ抱えてしまうと手牌13枚で打てなくなり、手順もやや歪む。そのせいで相手の速度読みはズレやすい。簡単にいえば、ドラを抱えたいがために、好牌を先打ちしなければならないことが増える。それを見た他家は速度を見誤るということ。疑心暗鬼が広がる。早く切っちゃえよ。まだ早いよ。さながら悪魔と天使のささやき。事実、安達は顔を上げたくなる場面に本当によく耐えた。耐えて耐えて、待望のテンパイが訪れる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() しかし、前巡のリャンシャンテン時にポンをした川上の 川上手牌 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() たった五戦しかないタイトル戦の決勝である。リーグ戦であれば止まるかもしれなかった 宮田手牌 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 見るからに変則手だった川上の捨て牌。自身でソーズをバラバラに置いている状況で、 ●三回戦終了(カッコ内はトータル) ◇四回戦 ようやく並びを気にするところ。二連勝の宮田にこれ以上叩かせるわけにはいかない。 東家から川上―大崎―安達―宮田 ・東1局0本場 宮田の脳裏にはおそらく、五回戦終了時までのシナリオは描かれている。現状のリードをどのように活かすのか。どこで叩き、どうなれば引くのか。過去に決勝で散った経験が、ここから役に立つ。北家、宮田の手がいきなりの大物手を迎えた。果たして彼の思考は。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 2巡目に自風の ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() まだ2巡目、ピンズを切ってさらに高くする手もあるかと思ったが、素直に打 5巡目、イーシャンテンの安達が打 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 結果は安達が中盤にかけたリーチが実り1300。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 放銃は東家の川上。 川上手牌 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 宮田への危険性を考えると、 ・東3局2本場 大崎に本手が入る。9巡目に、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() しかし場にはソーズが高く、また上家である川上も手が進まないため何も鳴けない。東家の安達は大崎をほぼ無視で形式テンパイを取りに行く。ソーズの大崎に ・東3局3本場 安達が12巡目にテンパイ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
・南2局0本場 親の大崎、苦しい形だが先制リーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ずっと これに勝負を挑んだのが、すでに二つ仕掛けている安達。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 大崎のリーチ一発目に ・南3局0本場 少しでも素点を回復したい大崎、手なりで進めることは許されない。ピンズのホンイツに走る。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここから ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() さらに ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() もっと巡目が早ければリーチもあるが、この形はすでに16巡目のこと。川上から ・南4局0本場 並びは川上31800 大崎11200 安達43300 宮田33700となっている。トータル首位の宮田。 先制リーチは大崎。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ツモればマンガンだが、すでに 結果は流局。安達にノーテンを押し付ける形で3人がテンパイした。 ・南4局1本場 南家の川上の配牌にダブ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() メンゼンで丁寧に進め、13巡目にリーチ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 1本場と供託でどこからアガってもトップ。 しかし、このリーチの前に大崎がテンパイを入れていた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 川上の宣言牌は大崎のロン牌である。大崎はこれを見逃し。あくまでツモか、宮田からの直撃を狙う。まったく逡巡せず、ツモ山に手を伸ばす。川上がリーチ棒を出した時点で、宮田と川上の差は1900から2900に替わり、大崎がたとえこのカン そして皮肉にも、次巡の大崎のツモは ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ●四回戦終了(カッコ内はトータル) ◇五回戦(最終戦) 混戦である。順位ウマと同様に素点も大切なRMUのルール。トータルラスの大崎と宮田の差は、トップラスで31700点差である。 川上は2着でも宮田の着順を上回れば優勝の可能性がある。安達はこれも素点次第だがトップを取り、宮田を3着以下に落とせばほぼ優勝。大崎は宮田に2順位差を付けてトップを取りたい。宮田は3着でも優勝の可能性があるが、よほどのロースコア決着ではない限り、3着となった場合は川上にラスを引いてもらい、トップは大崎という並びが必要。現状トップ目ではあるが、最後まで数字とセンシティブに向き合わなければならない。しかしそれは、宮田のもっとも得意なフィールドでもある。 東家から安達-大崎-宮田-川上。 ・東1局0本場 南家、大崎の手がいい。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 道 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 親の安達がチーで応戦も、ドラをツモって大崎が2000.4000。まずは抜け出すことに成功。他の三者からすれば、まず大崎が抜け出すことは問題ない。オカのないこのルール。当面の敵である宮田の着順を落とし、並びを作らなければならないのだから。 ・東2局0本場 栄冠まで黙っていられるわけではない宮田。ホンイツ含みの手から仕掛ける。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() しかし本手が入っていたのは川上。5巡目に大崎が切ったドラの ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() あまりに早すぎるテンパイ。この手の待ちを誰も絞れない。そうそうにアガってしまうかと思われたが、実はこのカン ・東3局0本場 スコアは以下の通り。安達24000 大崎34000 宮田26000 川上36000 川上は宮田と2着順差をつければほぼ優勝であり、並びが作られている。タイトル戦決勝は、追われるものも楽ではない。宮田は牌を落としてすぐに、また後頭部に手をやった。ゴールに向けてのシナリオは早くも瓦解し、立て直しを求められている。 宮田の親番。並びを崩すためにも宮田はアガらなければならない。対して、これをすぐに蹴りたい三者。川上は ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 苦しい形ではある。しかし、ツモれば宮田の優勝の目をさらに小さくさせることができる。実はこの時、宮田にもテンパイが入っていた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() わずか2400ではあるが、直撃なので4800の差が詰まる。リーチ棒の収入も含め、川上に肉薄した。 ・東3局1本場 順位は上から安達24000 大崎34000 宮田29400 川上32600 川上の手が早い。5巡目に以下の形。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 宮田はチートイツを強いられそうな手牌からダブ
ダブ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 配牌にドラはなく、早そうではあるがピンフかリーチのみに終わりそうだった手を、ここまでわずか8巡で育てた。ソーズ引きの変化を待つと同時に、ドラが出ればアガれる。イーシャンテンの安達の手に1枚。安達はピンフのみとなりそうだが、リーチとなれば ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 「安達さんから出ると宮田さんをラスにしにくくなるから、見逃そうとも思っていた。でも、リーチならアガるとも考えていました」。事実、安達がラスになると宮田は重荷が一つ降りる。トータルで21.9の差があり、1着順差なら11800点まで余裕があるのだ。親は落ちたが、この展開なら上々だろう。 ・東4局0本場 まだあきらめない、安達がリーチ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 特別にいいという待ちではないが、ドラ引きを待っていれば日が暮れてしまいそう。トータルラスのリーチを相手にする者はおらず、1人テンパイで流局。 ・南1局0本場 大崎の7巡目、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 手なりなら ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ピンズもマンズも大崎に危険牌なので、瞬間芸のようなテンパイではある。事情というのは、宮田の立場からは大崎とは60以上の差があり、アガられてもまだ余裕でいられるからというもの。むしろ、川上に手が入る前に、できるだけアガって局を進めてもらいたい。 そして親の安達、ここはフルスロットル。何でも押してテンパイを取らなければならない。どこまで粘れるかと見ていたが、リーチの時点で3枚残りの ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・南2局0本場 安達15000 大崎47800 宮田27000 川上30200 親の落ちた安達。とはいえ、やることがなくなったわけではない。誰かに利する打牌をゼロにするわけにはいかないが、それでも大逆転の形は作りに行く。それに、決勝で勝ち目のなくなった人間の立場を経験しておくことは、おそらく今後の競技人生にとってもプラスとなるだろう。 東家、大崎がタンヤオ仕掛け。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 安達はもう手にならない。何も鳴かせたくないのはやまやまだが、安全牌に困っている。ついには ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 座って見ていたギャラリーも思わず立ち上がる。これで宮田まで、あと4000オール一発というところまで肉薄した。 安達13000 大崎53800 宮田25000 川上28200 ・南2局1本場 西家の川上の手が早い。4巡目にこの形は決定打になりえる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 小考後、 決勝の舞台を振り返り、もっとも「勝ちたい」という欲が伝わってこなかったのは川上であったように思える。準決勝後から、謙虚なコメントに終始し、電話の先でも本戦からの内容の反省ばかりが口をついて出た。プロの競技の世界で、自分にどんなことができるのか。求道者としての姿がそこにあった。 シャンポン待ちを選択した川上。この後の流れるような所作は筆者の目に焼き付いて離れない。東1局に300.500をアガるかのような、「これくらい何でもないよ」といわんばかりの、憎らしいほどの冷静さである。タイトル戦決勝で、この条件で、この打点で、これができる男がどれほどいるのか。8巡目、綿毛の上かのようにそっと置かれた牌は ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ・南3局0本場 安達9900 大崎47700 宮田21900 川上40500 親の宮田、ここで勝負をしなければならない。川上の手がここでも早かった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 放銃は安達。親落ちとなってからのこの放銃で、憔悴の表情は隠せない。しかし、やはり全員に対して受けの打牌ができることなど、そうそうないものだ。川上自身、これをアガれば大きいわけで、テンパイにはギリギリまで執着する。改めて麻雀の難しさを感じた。 ・南4局0本場 宮田、それでもここはまだ戦い続けている。チャンスはこの1局かぎり。条件は2000.4000ツモか川上から5200直撃。もしくは安達から12000直撃。大崎からアガると川上がトップになってしまうので、その場合は16000が必要になる。 その宮田、配牌にドラがない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 大崎はといえば6000.12000ツモか16000直撃。配牌は倍満など望むべくものでもないが、形を作りにピンズのホンイツへ。 伏せれば優勝の東家川上は、序盤から安全牌を貯めこむ。そして12巡目、宮田がテンパイ到達。しかし、条件が足りない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 第6期RMUクラウン決勝全五回戦、最後となる発声は宮田の打 条件は一発でツモか、裏ドラが一つ。もしくは川上からのロンアガリで裏1だが、しこたま安全牌を貯めこんでいるため可能性はゼロ。これが山に何枚生きているのか、宮田にはそれなりの算段もあるだろう。この時点で残る 17巡目。力強くめくった牌は、あえなく河に放たれた―――。 ●五回戦終了(カッコ内はトータル) 最終成績 優勝 川上 +24.0
試合後コメント:「プチ村上流で頑張りました。ミスもたくさんあったので、これからもっと強くなれるように努力します。運営、観戦者のみなさん、ありがとうございました。」 試合後、代表の多井はこう語った。「今回、初めて友好団体の選手がRMUのタイトルを勝ってくれました。本当に嬉しく思っています。今後、この結果を受けてうちの選手が奮起して、強くなってくれればと思います」。 本命不在の予想通り、最後までわからない決勝だった。それぞれが持ち味を出し、そして難しい判断に苦しんだと思う。二回戦南1局0本場、宮田が手役を追わずに効率で打ち、4000オールを引けていたら。三回戦オーラス、安達がドラの 大崎は五回戦を通してミスがもっとも少なかった。ここには現タイトルホルダーの強みが出たといえる。ただ、早い回戦のうちに親番で叩けるチャンスが来ていたら、また後半の戦い方も違っただろう。この日、持ち味であるリーチは数多く打てたものの、裏ドラの恩恵をただの一度たりとも受けることはできなかった。 勝負に「たら、れば」は禁句というが、麻雀はそこを徹底的に突き詰めなくてはいけない。次の試合に向けてテーマを作り、また強くなっていく四人。その先は明るい。 試合後、会場の外に出ると雨はきれいに上がっていた……などということはなく、むしろ雨足はさらに強くなった。熱くなった頭と体は早々に冷める。筆者の脳裏に生まれたのは、川上への強烈な憧憬である。一緒に勝った負けたで騒いでいた日々、実は自分は、彼の足元にも及んでいなかった。 第6期RMUクラウン優勝は、最高位戦日本プロ麻雀協会所属、川上貴史。彼には本戦への永久シード権が付与される。来年以降、まずは本戦で胸を借りたい。そんなイメージが、混雑した東西線の中で色濃く浮かび上がった。
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第6期RMUクラウン決勝レポート
