RMUリーグ第7節

前日にはプロ野球の日本一を決める日本シリーズが開幕した 11 月1日(日)。
競技麻雀界で最高峰と言っても過言ではない、RMUリーグの第7節が行われた。
なお、今節までの結果で1名が足切りとなる。それを踏まえ試合前に対局者5名から観戦者に挨拶があった。(数字は6節目までのトータルポイント)

古久根英孝 (▲132.2)

「足切りになりそうです。ただ、昨日はぐっすりと寝られ、課題の体調管理ができました。今日は勝てそうな気がしています。」

河野高志 (▲52.6)

「足切りだとか、トップまでの状況だとか、そういったものは一度リセットして、フラットな気持ちで、いつも通り打てればいいと思っています。」

多井隆晴 (▲21.1)

「かっこいい麻雀を見せたいという気持ちではなく、私が古久根さん、土田さんを中心に先人達から受け継いだものを、私なりの型で皆さんにお見せできればいいな、と考えています。」

阿部孝則 (+24.4)

「RMUリーグは私の中では修行の場であると捉えています。自分の打ちたい麻雀に一歩ずつでも近づいていけるよう頑張りたいです。」

土田浩翔 (+150.5)

「日本シリーズの解説で、楽天の前監督である野村さんが、
『ストライク3つでアウト、ボール4つで四球というルールの中で無駄な球は一球たりともない。それを投げないのがプロである。今のプロには無駄な球が多すぎる』

そう話していらっしゃいました。麻雀のプロも同じです。プロの打ち筋は1つしかないのです。
このメンバーでそれを極めていきたい。」

前節までのアドバンテージを活かして土田がリードを広げるのか、はたまた4者が追いかけるのか。

1回戦が始まった。

1回戦

起家から、阿部 - 古久根 - 河野 - 多井(抜け番 土田)。

初戦、最初にアガりを決めたのは阿部。

東1局、古久根の一人テンパイの後

 ツモ ドラ

第1ツモでを重ねると、3巡目にはをポンしてこの形。

  ドラ

次巡をチーしてテンパイを入れると、9巡目にをツモって 1,000-2,000 をアガる。
初戦は大人しく入ることの多い阿部が動いた。今日は気合いが入っているようである。

東3局は、無心で臨むと話していた河野が 4,000 オールをツモり、次局は 700 は 800 オールと加点。他家を突き放す。

一方の阿部は南一局に

 ツモ ドラ 

2,600 オールをアガるも、ツモられツモられで点棒を減らしていく。
ただ、一度も放銃しない辺りが阿部らしい。

オーラスは多井が2局続けて粘るも、最後は阿部。

 ツモ ドラ

満貫で初戦を制した。

阿部+ 25.0
古久根▲34.2
河野+ 13.6
多井▲4.4

2回戦

起家から、古久根 - 河野 - 多井 - 土田(抜け番 阿部)。

1回戦は阿部にトップを譲ったものの、この日の河野は手が入る。

東1局 12 巡目、

 ツモ ドラ 

で四暗刻イーシャンテンとし、2巡後に2枚目のをポンすると直後にツモ。  
 

  ツモ ドラ 
  

2,000-4,000 で一歩リードする。

その後は小場で進むが、局が動いたのは南一局。

西家多井の7巡目

ツモ ドラ 

ピンフのみで5巡目から静かにテンパイを入れていた多井がを持ってきて切りリーチ。 ツモで三色に仕上げ満貫をツモると、南2局1本場には

 ツモ ドラ 
    

土田のお株を奪うような跳満で抜け出す。更に親番では、

  ツモ ドラ カンドラ 

3,200 オールで勝負あり。
2回戦は多井が強さを発揮した。

古久根▲22.2
河野+ 10.2
多井+ 44.6
土田▲32.6  

3回戦

起家から、古久根 - 河野 - 土田 - 阿部(抜け番 多井)。

東1局、全員の配牌がこちら。

古久根 ドラ 

河野 ドラ 

土田 ドラ

阿部 ドラ

何としてもここで食い下がりたい古久根は、まずまずの配牌である。
続いて南家の河野も早そうだ。土田は雀風的にピンズに寄せるのか。
阿部は字牌が4種類と孤立の、ペンチャンのと苦しそうである。
この中で、イーシャンテン一番乗りは河野。

4巡目に

 ツモ

ドラのを重ねて打で一応のチートイツイーシャンテン。

続いたのは、意外にも阿部。6巡目には

 ツモ 

で、こちらもチートイツのイーシャンテン。
河野は次巡をツモり、と入れ替え、5巡のツモ切りの後を引いて打、メンツ手のイーシャンテンとし、をツモって切りリーチ。

 ツモ ドラ 

そのを土田がアガリに向かわないチーとすると、阿部から「ツモ」の発声。  

 ツモ ドラ 

本人曰く、苦手というチートイツを見事にツモアガった。
その後もピンフドラ1をヤミテンでアガるなど、らしさを発揮する。

極めつけは南1局。

ドラ 

この配牌を

 ロン ドラ 

倍満まで仕上げ、河野から討ち取り。一人浮きのトップとなった。

古久根▲27,7
河野▲14,2
阿部+ 43,8
土田▲1,9  
 

4回戦

起家から古久根 - 土田 - 安部 - 多井(抜け番 河野)。

ここでは、3回戦のラスで足切りがほぼ確定してしまった古久根が意地を見せる。

 ツモ ドラ 

ドラ単騎をリーチ一発でツモり、 4,000 オール。
しかし本日好調の阿部が1本場で満貫をツモると、東3局1本場には土田がハネ満ツモ。
勝負の行方はわからない。

そんな三つ巴の戦いは終盤まで縺れ込み、1時間半を超える激闘を制したのは古久根であった。

 ドラ

この配牌を淀みない手順でタンヤオのテンパイへ持っていき、ヤミテン。
阿部の先制リーチ後にのアンカンが入ったところで、をツモ切ってリーチ。
おそらく、カンで阿部の待ちを読み切ったのだろう。

 ツモ ドラ カンドラ
阿部と同テンのを引き勝ち、裏ドラ1枚で 3,000-6,000 。
結果的には足切りとなってしまったが、古久根は最後にらしさを見せた。
まだまだ彼の麻雀を見たいと思っているのは私だけではないはずである。

古久根 +32.1

土田▲10.0
安部 +5.7
多井▲27.8  
  

5回戦

起家から河野 - 土田 - 多井 - 阿部(抜け番 古久根)。

東1局、まずは「最速最強」のキャッチフレーズでお馴染みの多井が  

   ツモ ドラ 

十八番の速攻を見せると、次局は親の土田が 3,900 を流局直前にアガる。

そう、始まりはこの親の1本場からであった。

河野が悲劇に見舞われたのだ。

土田の5巡目親リーチを受けていた河野であったが、終盤ドラのがアンコになる。

ツモ ドラ 

でテンパイを取ると土田から「ロン」の声が掛かる。

 ドラ 

2,000 点か…と思うと、裏ドラがで 12,000 点となってしまった。
続く東2局2本場は、南家の多井が切りでダブルリーチ。

 ツモ ドラ

何と地和チャンスだったのだ。
受ける河野は手牌ののトイツ落としで凌ぐが、さらにもトイツで落とそうとすると、それが放銃に。

痛い痛い 6,400 は 7,000 点。

次局は土田の6巡目テンパイに 1,000 点放銃。

続く東4局には、またしても土田に放銃してしまう。

 ドラ 

何としても挽回したい親番では、 が4枚見えでテンパイ維持のをツモ切ると、今度は阿部に放銃となる。

ロン ドラ 

本人も「麻雀を始めてから記憶にない」という5連続放銃で箱割れのラスとなってしまった。
しかし、それで終わらないのが河野である。

南3局で満貫、オーラスでハネ満をアガり、マイナスを最小限に食い止めた。

河野▲31.3
土田 +29.6
多井 +8.9
阿部▲7.2

今節終始安定した麻雀を見せた阿部が首位を独走していた土田に急接近。

さらに2回戦の大トップでプラスを残した多井も2人を追走する形となった。

また、今回の結果で残念ながら古久根が足切りとなってしまったが、これも勝負の世界である。

第7節終了時
土田 浩翔 +135.6
阿部 孝則 +91.7
多井 隆晴 +0.2
河野 高志 ▲74.3
古久根 英孝 ▲184.2

残る3節は4人で優勝を争って戦うこととなる。今後も益々激しい展開となりそうなRMUリーグ。
優勝は土田で決まってしまうのか。
それとも縺れるのか。追いかける3人の麻雀も、また楽しみにしたい。

(文中敬称略・文責 内田 良太朗)