2012RMUリーグ第5節!
例年、RMUリーグ第5節は真夏の時期。前節までのポイントは以下の通り。

多井隆晴 +80.4
谷井茂文 +18.8
河野高志 ▲17.6
阿部孝則 ▲83.6

早くも首位に立ったのは多井。
とはいえポイントはさほど開いてはおらず、今後どう戦っていくのか静かに戦況を見守りたい。

1回戦

東1局 0本場 ドラ
先制したのは谷井、7巡目にリーチ

谷井
場にはすでには三枚切れで、流局かと思われたが、15巡目に4枚目のをツモアガり、2000・4000。

東3局 0本場 ドラ
4巡目 西家 多井
ツモ

ここで多井の手が止まる。孤立牌が、なので、通常なら手なりで打としそうだが、多井はを選択。

なるほど、将来ドラそばが待ちになってもアガリにくい、他で手役ができるならピンズは下目で作るということか…と見ていたら、さらに河にを置いた。

そして数巡後にその手は開かれた。

多井 ロン 8000

後で、多井に聞いてみると、

『ソーズの上目がまだ山に残ってるのがわかったから、ソーズに寄せた』

と、答えてくれたが、そこまで場況を読みとるのは難しい。
果たして何人の打ち手がこの最終形になるのだろうか? ピンズのくっつきを待ち、ソーズに一メンツを並べてしまうのがほとんどではないだろうか。

この手に捕まったのは親の谷井、しかし谷井も前巡にテンパイを入れていた。

谷井

ドラが暗刻のチャンス手だっただけに、悔しい放銃。ちなみに谷井が待つダブは2枚とも山であった。

南1局 1本場 ドラ
阿部が6巡目にリーチ。

阿部 ツモ
高めのをパシッとツモり、裏ドラも乗せてトップ目に立つ。

南3局 1本場 ドラ
ここまで、全くと言っていいほど手にならなかった河野が、5巡目にリーチ

河野

これに多井がチーテンを入れ、交わしにかかる。

多井 チー

二人の勝負かと思われたが、両者のアガリ牌を抑えてテンパイを組んだ親の谷井が、ドラのを叩き切ってリーチ。
谷井 ツモ
これを一発でツモあがり2000オール。

このアガリに谷井は相当手ごたえを感じているに違いない。
以前の谷井なら、先制された時に真っ向勝負が多かった。
いったん受けてから押し返してアガリを取れるようになってきたのは、昨年1年間 S級3人を相手に闘ってきて、自分のストレートだけでは通用しないことを学んだのだろう。今後、更なる谷井の進化に期待したい。

南3局 2本場 ドラ

勢いついた谷井がさらに攻める。9巡目にリーチ。

谷井

しかし今度はこれを河野が受けて、押し返す。

河野 ロン

このまま勢いに乗りそうな谷井に、「待った」をかける河野。

打ち手のレベルが上がれば、たとえ先制をしたとしても一人旅とはならない。こういった攻防もRMUリーグの見どころの一つである。

そしてオーラス、トップ争いは阿部と多井のマッチレース、阿部のテンパイ打牌を捕えた多井のトップで終了。今日はいつになく全員の手がぶつかっている、この後も荒れそうな予感がしてならない。

2回戦
東1局 0本場 ドラ

谷井

谷井またしてもリーチ。今日の谷井は手が軽い。しかし、静かに手を進めていた阿部が、谷井のツモ切ったにロンをかける。

阿部 ロン

先程の3000・6000といい、手数は少ないものの高い本手をきっちり仕留める、阿部らしい麻雀である。

阿部はここまで一人大きく沈んでいたが、前節マイナスを二ケタ台に戻したこともあり、落ち着いていて本来のスタイルに戻りつつある。

阿部は開始前に、

『(麻雀は)いつも通り、何も変わらない。これまでのマイナスは少しずつ返していけたらいいね』

と語ってくれた。

大きく沈むと弱気になったり、粗い打牌になったりする打ち手を見かけることがあるが、阿部にはそんな気負いもなければ、諦めも存在しない。どんな状況に立たされても、冷静に対処する阿部の麻雀を、今後も見て行きたい。

東4局 本場 ドラ

谷井

谷井の5巡目リーチを受け、親の河野はトイツ落としを含め、字牌を5枚手出し。オリているように見えたが、終盤にテンパイを入れ、アガリをものにする。

河野 チ― ツモ

この2000オールをきっかけに、それまで大人しかった河野が待ってましたと言わんばかりに反撃に出る。

東4局 1本場 ドラ カンドラ

4者の配牌
東家 河野
南家 谷井
西家 阿部
北家 多井

これが全員テンパイで流局。

東家 河野 ポン ポン
南家 谷井 暗カン チー
西家 阿部
北家 多井 ポン

4人が全てピンズ待ちという珍しい1局。

簡単にオリたり、タンパクな放銃が少ないRMUリーグ。しかし4人テンパイは珍しい。4人ともに相手の待ちをピンズに絞って前に出ている。この1局を見ただけでも、打ち手のレベルの高さが伺える。

今節は四者の手牌がぶつかっており、今日はこの後も放銃で決着と予感させる1局である。
この苦しい局を連荘に成功した河野、1本場も2600オールをアガって、トップ目に立つ。

南3局 ドラ

多井 3巡目ツモ

またしても多井の手が止まる。

イーシャンテンと構えるならだが、多井は少考の末、打のリャンシャンテン戻し。過去、多井が少考した時にアガリ逃しをしたのをあまり見たことが無いだけに、興味深い一打である。

将来、雀頭に困らず、かつ良形リーチを打てるように…の2点をしっかり見据えた一打と私のメモにはある。

多井の読み通りこの後を引き、さらにを引き込んでリーチ。

待ちになったピンズの場況が良すぎる。

が4枚切れがそれぞれ1枚切れが1枚切れ。実際にリーチの時点では5枚山に残っており、今にもツモりそうな感じである。

多井がよく口にする『近未来の予測』とはまさにこのことであろう。

開始前、首位に立った多井にこれからの戦い方について聞いてみた。

『勝ち負けや数字はあまり意識していない。1局でも多くいい(牌)譜を遺していきたい』

と語ってくれた。1回戦目のリャンペーコーといい、いつも多井がこのことを強く意識して対局に臨んでいるのがお分りいただけるのではないだろうか。

こういう姿勢を、若手は多いに見習ってもらいたい。

さて先程の結末は、阿部の放銃で決着。裏ドラも乗って、12000は痛い放銃となった。

多井 ロン ドラ 裏ドラ

阿部 ポン

確かに高目8000のテンパイではあるが、両脇がきっちりオリているのが分かっただけに、
ここはきっちり受けるべきだったと後で語ってくれた。

そしてオーラス、今度は河野と多井のマッチレース。いかにも多井らしい隙のない手順でアガッて、多井2連勝。

2回戦終了時
多井 +130.7
谷井 ▲2.1
河野 ▲19.7
阿部 ▲110.9

早くも多井一人浮きの独走態勢、このまま突っ走ってしまうか…。

続く3回戦。

さっきまでの展開とは打って変わって、小場で局が進み、大きな点棒の動きもないままオーラスを迎える。

南4局1本場 持ち点
東家 阿部 32600
南家 谷井 23800
西家 多井 30200
北家 河野 33400

オーラスを迎え横一線。谷井は一人沈みではあるものの、満貫ツモならトップという条件。

谷井配牌

マンズが10枚という好配牌を手にした谷井、2巡目に重なったダブを鳴けて条件をクリアしラスから大捲り。

谷井最終形 ポン ポン ツモ

ここ一番でこういうアガリができることに、今期の谷井の調子の良さが伺える。

3回戦終了時
東家 阿部 28500
南家 谷井 32100
西家 多井 28100
北家 河野 28500

このアガリでラスになったのは、後半しばらく受けに回らされた多井。これから幾度となくこういう展開でラスを引かされることがあるだろう。しかしそれもまた麻雀と受け入れるしかない。

そして本日最終4回戦

東1局、阿部の1300・2600

東2局 2本場 ドラ

親の谷井から2巡目にリーチ。

谷井手牌 ロン

河野から12000をアガる。

どうやら、今日はツキも谷井に味方しているようだ。

東2局 3本場 ドラ

今度は阿部がヤミテンでツモアガる。

阿部手牌 ツモ
3000・6000

これで河野の点棒は10200点、このまま大崩れしていきそうな予感がしたが、

南1局 0本場 ドラ

先制リーチの多井がツモ切ったドラのをポンして、リーチと仕掛けに挟まれた阿部からの出アガリ。

ポン ロン(阿部→河野8000)

南2局1本場 ドラ

2巡目にを1鳴きした阿部が早々にテンパイを入れる。

阿部 ポン

阿部の待つは2枚とも山に生きていたが、またしても阿部のホンイツの仕掛けが成就しない。

この局のアガリはまたしても河野。

河野 ロン(阿部→河野3900)

このアガリで原点近くまで取り戻す生命力はさすがである。

並の打ち手なら、そのままズルズルと点棒を削られていくのではないだろうか? 大きな失点をした後の河野がいかに立て直していくか。この点もやはり若手には勉強してもらいたい。

開始前、河野は、

『RMUリーグは、俺が頑張って多井を止めないと面白くなくなるだろ』

と語っていた。

煽りのようにも聞こえるかも知れないが、昨年多井と最後まで優勝争いをした河野の責任ある言葉だと私は思っている。

南3局 1本場 ドラ
親番を迎えた河野が8巡目にリーチ。

河野

しかしアガったのは、早々に二つ鳴いてテンパイした南家の阿部。

阿部 ポン ポン ロン(河野→阿部3900)

オーラスを迎え、並びは、谷井、阿部、河野、多井の順。首位の多井がラスということもあってか、河野が3着キープのアガリで終局。

第5節終了時
多井隆晴 +86.8
谷井茂文 +46.6
河野高志 ▲24.5
阿部孝則 ▲110.9

1.2回戦、2連勝スタートした多井が、そのまま突っ走るかと思われたが、3.4回戦はまさかの2ラス。逆にここを制し連勝したのは谷井。ポイントも30ほど加点して多井に肉薄してきた。

河野、阿部も今節マイナスはしたものの、今日の内容からもまだまだ十分に勝機はあると思っている。RMUリーグもいよいよ後半戦、4人がそれぞれどう戦っていくのか、益々目が離せない。

次回RMUリーグ第6節は9月8日(土)、神楽坂『ばかんす』にて11時対局開始です。
みどころ満載のRMUリーグの観戦に、ぜひ足をお運びください。

山田田
文中敬称略 文責 山田 田