2016マーキュリーカップ優勝は、嵯峨寛彬さん!
 

2016年度、今年はRMUの立ち上げから10周年を迎える節目の年である。近年、RMUを取り巻く環境は日々変化しており、その変化の大きさに正直なところ内部の我々も驚くことがあるくらいである。

このスプリントカップにしてもそうで、筆者がライト会員の頃は会場の銀座柳本店の卓の半分程度しか使わない開催もあったと記憶しているが、今では毎回のように満卓近くになるばかりか、多い時には2会場に分かれて100人以上のご参加をいただくこともあるくらいだ。

今大会も総勢116人のご参加を頂き、準決勝、そして決勝への道のりはとても狭き門となった。そこを抜けた4選手と、決勝への持越しスコアはこちら。

篠崎彰 +73.7
筒井七夜 +70.2
本間雄大 +61.8
嵯峨寛彬 +57.9

準決勝までオールプラスの篠崎と準決勝で8万点台の大トップを取った筒井はトップを取れば無条件、他の2人もトップを取って2着の人次第で数千点程度の条件があるくらい。

場決めの結果、起家から筒井、本間、嵯峨、篠崎の座順となる。なお、最終戦のラス親は現状のトップ者に自動的に決まるという規定があり、席が決まった時点で起家も決まる仕組みになっている。

東1局、先制したのは嵯峨。配牌こそ
ドラ

役牌トイツとドラ含みリャンメンターツはあるけどブロック数が足りず、いかにもツモ次第というレベルだったが、ツモが利いてドラが重なったタイミングで4巡目にが鳴けると8巡目にテンパイし、

ポン ドラ ロン

3,900を本間から出アガる。

そこから嵯峨の300-500、リーチした篠崎の1人テンパイで局は進み、東4局1本場、親の篠崎が2巡目に

ドラ ツモ

急所のカンを埋めて好形のイーシャンテンとすると、6巡目にを引いてテンパイ。前巡に引いたを残しており、1枚切れのとのシャンポンに受ける選択もあったが、ここはリャンメン待ちを選択してリーチ。2巡後にツモで裏は乗らなかったものの2,000(+100)オールとなり、嵯峨をかわしてトップ目に立つ。

2本場は嵯峨のリーチに対し筒井が粘って形式聴牌で2人テンパイの流局に持ち込み、親が流れて入する。

南1局3本場、21,000持ちラス目の本間に4巡目、早くも選択が訪れる。

ツモ ドラ

テンパイだがカンチャンに取るかシャンポンに取るか、リーチをするかしないか、あるいはを切ってのテンパイ取らずも十分考えられるところ。

本間の選択はカンチャン待ちのダマテン。すると次巡、待ち牌のを持ってくる。リーチなら一発ツモで満貫だったが、親があるとはいえ状況的に500-1,000で1局消化したい立場ではなく、を切ってのフリテンリーチを選択。

ラス目のリーチに他3人はまっすぐ向かいにくく、篠崎だけが迂回しながら前に出てくるが、巡目を稼ぐことに成功し、13巡目にツモで2,000-4,000(+1,200)となった(裏)。

ちなみに結果論ではあるが、シャンポンに取ってダマテンに構え、引きでフリテンリーチに行かなければ、2巡後にを引いて3メンチャンでリーチが打て、2巡後にツモという、自然に満貫がアガれる手順もあった。

しかし、何はともあれ500-1,000止まりやアガれていたかすら分からない選択もあった中でしっかりと満貫をツモれたことで、優勝戦線に復帰することができた。

しかし、親を迎えて500オールをアガって連荘した南2局1本場に、落とし穴が待っていた。

まず、南場の親が落ちて現状23,300持ちラス目の筒井が11巡目にリーチ。

ドラ

トップ目の篠崎まで11,400差とそこまでの大差ではないものの、ほぼ一人沈みの状況なだけに、それなりの打点にはなっている。

一方、仕掛けての連荘を目論んでいた本間、9巡目の時点で、

チー ポン ドラ

このテンパイを組んでいたのだが、筒井のリーチを受けた2巡後にションパイでドラのを引かされる。

ドラで放銃したら一気に苦しくなるため、長考に沈んで選んだ牌は、。筒井の河にがあり、が3枚ずつ見えていることからの選択だったのだが、別のところから「ロン」の発声が。

ロン ドラ

アガったのは嵯峨、ダブドラ2で8,000のアガリ。

7巡目に一番乗りでテンパイしており、打点十分で待ちもよくないことからダマテンにしていたと思われるが、いいアガリとなった。

一方、本間はまわるならドラ表示牌のを切る選択もあったが、を鳴いて復活しようとして最悪となってしまった。さらに、これに動揺したか南3局の嵯峨の親リーチに対し筋を追って、一発で3,900放銃してしまう。

この2つのアガリによって嵯峨の持ち点は4万点を超える。こうなると放銃した本間はもちろん苦しいが、親番のない筒井もかなり苦しい。南3局1本場、配牌で3組あった字牌のトイツを生かし、1巡目から積極的に仕掛けて、

ポン ポン ポン ドラ

10巡目にドラを切ってこのテンパイを入れる。この時点でトップ目の嵯峨とは2万点以上の差があり、できれば直撃かツモで差を詰めたいところではあったが、下家の本間がリーチ宣言牌としてを切ってきたとあっては、やむなしといった感じで手を倒す。

そしてオーラス、この時点の持ち点が

筒井七夜 27,800
本間雄大 14,700
嵯峨寛彬 42,800
篠崎彰 34,700(親)

となっており、現状トップ目の嵯峨以外の条件を確認すると、筒井:ハネマンツモかマンガン直撃、本間:三倍満直撃かツモ、篠崎:ひとまず連荘(現状2.3p下)となる。

南4局、ラス親の篠崎は上家嵯峨の最初の捨牌から積極的に仕掛け、

ポン ポン ロン ドラ

筒井から2,000の出アガリ。しかし、このアガリではまだ嵯峨に届いておらず、筒井の条件も変わっていない。

続く1本場、ハネツモ条件の残った筒井の手牌は、4巡目にして

ドラ

と、条件を満たせそうなイーシャンテンになった。

しかし、ここから手が進まぬ中、10巡目に本間がを横に曲げ、トーンの高い声でリーチ。三倍満の条件が入ったのかと思って見に行くと、

ドラ

をツモったところからのフリテンリーチ。高目や一発裏が複数絡む必要はあるが、手牌の形的には三倍満ツモの可能性があるリーチである。

次巡篠崎も追いつき、追いかけリーチ。

ドラ

リーチ棒が出た関係で、脇からの3,900(+300)出アガリでも次局伏せることが可能になる。

これに対し、筒井は押すもテンパイせず(テンパイしたら篠崎に放銃だが)、嵯峨はオリに
回る。実を言うと、2軒リーチの時点では筒井の河に2枚、残る2枚は嵯峨が持っていたため、本間が三色でアガれる可能性はゼロだった。当然本間は知る由もないが、ツモに力は入る。そして、

「ツモ」

ツモ ドラ

本間が宣言牌と同じ牌を引き戻し、ツモアガリを宣告。この時点で7ハン、ハネツモで総合3位、裏が乗ってバイツモになれば総合2位まで浮上する。

結果、裏ドラはで乗らず、3位で終了。

本間は対局後恐縮していたが、この選択は、年度末に行われるスプリントファイナルに向け、1ポイントでも多く獲得するための妥当なものであることに間違いない。この1ポイントが明暗を分けることは十分にあり得るのだから。

(総合結果)

優勝 嵯峨寛彬 +82.6
2位 篠崎彰 +78.3
3位 本間雄大 +54.8
4位 筒井七夜 +47.9

優勝者コメント

「6回目の参加で初めて準決勝に残り、その勢いで優勝することができました。
名だたる強豪が参加している中で優勝でき、本当に嬉しく思います。」

実は、筆者は嵯峨と仲川を通じて知り合い、天鳳の個室で何回か打ったことがある。そして、2年目のスプリントファイナルを制している筒井はもちろん、本間も彼のつながりからスプリントカップに参加するようになった方である。今年のスプリントカップ戦線も、去年に引き続き彼らが席巻するのだろうか。

また、惜しくも2位の篠崎は、最強戦と提携している「オクタゴン」の常連ということで、決勝メンバーを見るだけでも競技麻雀の輪が少しずつ広がっている印象を受ける。

次のスプリントカップ第2戦、ヴィーナスカップは7/3(日)に開催されます。ルールは昔から行われている競技麻雀のベースとなっている、一発裏なしのRMU・Bルールです。

最近普通に麻雀を打っていてもなかなか接することのないルールだと思いますが、これはこれで一発裏ありとは別の面白さがあるルールなので、いつも来てくださる方はもちろん、「一発裏なしはやったことがないから…」と普段敬遠されている方も、これを機会にぜひチャレンジしていただけたら大変嬉しく思います。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。
(文中敬称略 文責)

宮田信弥
宮田信弥