2014ウラヌスカップ 優勝は日本プロ麻雀協会所属、秋山裕邦さん!!
 

暮れも押し迫った12/14、スプリントカップの第7戦、ウラヌスカップが銀座柳本店で行われた。

スプリントカップは1回1回が独立したカップ戦であると同時に、1戦ごとの成績をスプリントポイントとして算出し、全8戦の獲得ポイント上位12人が年度末に行われるスプリントファイナルへの出場権を得られる仕組みになっており、毎年この出場権をめぐる争いは熾烈を極めている。

さらに、同ポイントなら追いついた方が上位になるというシステム上、残り2戦となったここでのポイント獲得はファイナル進出に直結するとあって、各卓で熱気を帯びた戦いが繰り広げられた。そして、そこを勝ち抜いて決勝に残った4人はこちら。

(ポイントは決勝に持ち越したスコア、カッコ内は前回までのスプリントポイント)

秋山裕邦:+61.4(0)
知念毅:+56.2(0)
武中真:+55.4(5)
渋谷渚:+45.8(2)

渋谷だけ若干の点差条件はあるが、他3人はトップを取れば無条件で優勝である。

もっとも渋谷の場合、準決勝で5位のポジションから同卓の4位(知念)をまくれずの2着にもかかわらず、別卓の展開に恵まれて残ったので条件が残るのはやむを得ないところではあるが、逆に言えばこのラッキーを生かしたいところ。

また、スプリントポイント的には上位2人はここまで0ポイントだが、今回優勝して10ポイント獲得できれば一気に7~8位にランクインし、ファイナル出場が濃厚になる。

渋谷が優勝すれば出場当確と言ってよく、武中は優勝すれば出場が確定するどころかファイナルの準決勝シード圏内に入ることができる。

座順は起家から武中、渋谷、知念、秋山と決まり、決勝戦スタート。

東1局は2つ鳴いた秋山が役牌のみの300-500で軽く親を流し、続く東2局。ピンズに寄せた知念が
ドラ

上家の渋谷から出たは鳴くとして、どちらの待ちに取るか。手牌だけ見ればピンズは完全な左右対称形で待ちの優劣はない。

知念は唯一河に切られているピンズである武中のを見てか、待ちに取った。一方、をツモ切った親の渋谷の手牌は、

ツモ ドラ

三暗刻イーシャンテンまで育っていたのだが、ツモり四暗刻イーシャンテンに変化したところでが捕まって3,900。

さすがにこの放銃はやむを得ないだろう。逆に言えば、知念が待ちに受けているとこのが8枚目なのでしばらくアガリは無く、が1枚ずつ残っていた渋谷の大物手、もしくはピンフドラ1のイーシャンテンだった秋山のアガリが先だったかもしれない。

東3局は秋山が、

ポン ドラ

6巡目に2,000点のポンテンを取ると、次巡引いてきたをまだ誰も追いついてないとばかりに加カン、リンシャンからツモ。カンドラは乗らなかったものの、リンシャンのツモ符も付くため点パネで1,300-2,600となった。

東4局は武中が10巡目にドラ切りでタンヤオのシャンポンリーチを敢行、先に仕掛けていた知念を降ろせたもののアガリは無く1人テンパイで流局し、南入。ここまでのスコアは、

武中30,200
渋谷23,500
知念30,000
秋山35,300
(供託1,000)

と平たく、現状1人沈みの渋谷ですらマンガンツモ1回で半荘のトップに並びかけられるくらいの差でしかない。このくらいの差だと供託は1,000点でも欲しいものだが、配牌で唯一役牌のトイツがあった西家の知念が、2つ仕掛けて河にピンズを並べ、

ポン ポン ツモ ドラ

5巡目にこの形。5巡目といっても2つとも下家からのポンなので、他の3人の河にはまだ2,3枚しか捨牌がない。

マンズの形がいいのでテンパイを外す手もあるところだと思うが、知念はドラ受けもあるテンパイを優先。2巡後に引いたを加カンせず、その次巡にを引き、テンパイを外していればホンイツの3メンチャンになっていたのだが、ホンイツのアガリ牌より先に高目のドラをツモって500-1,000(+300)。

南2局、3,900放銃もあって1人沈みとなっている渋谷にとって勝負どころの親番、配牌イーシャンテンから5巡目にテンパイの取れる形になる。

ツモ ドラ

打点はあり、待ちは一見牌姿だけ見れば悪くないのだが、実はカンはこの時点ですでに2枚切れ。ソウズがドラ周りとはいえ中ぶくれの形なのでテンパイを外す手もありそうだが、渋谷の選択は即リー。決勝の行く末を委ねた勝負手を放つ。

ところが、6巡目に3着目の武中から追いかけリーチが飛んでくる。

ドラ

待ちはいいとは言い難いが三色確定で打点はある。他の2人は前に出ず、アガれなった方が優勝戦線から脱落するといっていいこのめくり合いは、武中がをつかんで決着、裏は乗らなかったが7,700のアガリで、武中以外がほぼ横一線となる。

続く1本場、渋谷はまたしても配牌がよく、3巡目には

ドラ

ドラメンツがあり、リャンメンと3メンチャンのピンフイーシャンテン。さっきの競り合いを勝った余勢を駆って一気に突き抜けるかと思ったが、知念がピンズに寄せるために鳴いた結果、偶々ではあるが秋山に先にリーチをかけられ、テンパイしないまままっすぐ行ったものの、ツモ切った牌で秋山に2,600(+300)の放銃となってしまう。

南3局、親の知念が10巡目に

ツモ ドラ

テンパイしてドラを切ると、武中がポン。

そこから知念は、スライドさせたりカン待ちに変化させたりしながらヤミテンを維持するが、15巡目にテンパイを崩してしまう。

ノーテンで親を流しても流局なら、オーラスそんなに厳しい条件でない1局勝負ができると踏んだのかもしれないが、ドラポンした武中はドラを加カンしてもなおテンパイしておらず、そればかりか、

「ツモ、1,600-3,200」

ツモドラ カンドラ

ライバルの秋山にタンヤオチートイツをツモられてしまう。

結果論でドラを切ってヤミテンに構えたのが敗着だったと言うつもりは毛頭ない。

自然な手であり、この選択によって勝てることも当然あるだろう。ただ今回に関しては、南1局と合わせ、もう少し大胆に行ければ結果は別のものになっていたかもしれない、それだけのことである。

オーラスはトータルで抜けたトップ目の秋山が親のため、1局勝負。

武中18,800
渋谷27,100
知念30,100
秋山44,000

優勝条件は、知念はマンガン直撃かハネ満ツモ、渋谷はハネ満ツモだと半荘のトップは取れても秋山をまくれないので、倍満ツモかハネ満直撃、武中は三倍満ツモか倍満直撃と、優勝を狙うだけならなかなか厳しい条件。

もっとも、優勝できないにしても、1つでも上の着順を目指して1ポイントでも多く稼ごうとするのはシステム的には当然のことで、点差と残り1戦という条件は、その方針決定により強固なバックボーンを与える。

そのオーラス、秋山は河に字牌を2枚並べた後、中張牌をバラ切りし、アガる意思を見せない構え。すると、配牌ドラドラでまとまっていた知念が、9巡目に

ドラ

一発裏条件ではあるが逆転優勝の可能性のあるリーチをかける。次巡の武中

ツモ ドラ

サンショクはなくなったがタンピン確定のテンパイ。渋谷以外からの3,900や1,300-2,600ツモだとトータル4位のままだが、一発か裏ドラでもう1ハンついてマンガンになると最低3位、ツモか知念からならトータル2位にまで浮上できる。

武中のポジション的に、この並びで4位の5ポイントだとスプリントポイントは10ポイントで8位となり、このままでもかなりの確率でベスト12には残れそうだが確定とは言い難い。

これがトータル3位で6ポイント加算して11ポイントになれば、単純に1ポイント増えて秋山より上になるだけでなく、最終戦の優勝者が0ポイントだった場合に追いつかれないというメリットも加わる。ましてや、12ポイントになってしまえばもうファイナル進出が確定と言えるレベルである。

というわけで、武中は切って追いかけた。このリーチ合戦は武中が4巡後にをツモったものの裏ドラがで乗らず、4位のままで終わってしまったが、これは状況的にやむを得ないことであろう。
結果
優勝:秋山41,400
2位:知念27,800
3位:渋谷25,800
4位:武中25,000
この半荘の順位そのままのトータルの順位となりました。

優勝者コメント
「今年度のスプリントカップは6回全て参加していたけど全て敗退していたのですが、7回目の今回後半で連勝して初めてbest16に残れ、そのまま優勝することができました。 これでスプリントファイナルにはほぼ出られそうですが、最終戦のネプチューンカップにも出る予定で準決勝シードを狙いたいですし、このままだと10pでも恐らくファイナルに出られない、同じ協会の佐久間さんにも出るように言っておきます(笑) 」

筆者の筆が遅く、このレポートがアップされる頃にはファイナル進出者が確定しているのが大変申し訳ないですが、スプリントファイナルも間違いなく見ごたえのある対局になると思われますので、皆様、お楽しみに。


(文中敬称略 文責・宮田信弥)