2011ジュピターカップ優勝はアスリート野村祐三!

一般的に、立秋から秋分にかけての季節を残暑と呼ぶらしい。

立会人として会場に着いた時には軽く汗ばむ、そんな陽気であった。
そんな秋分の日、銀座柳本店で2011年度スプリントジュピターカップが開催された。

同日開催されていた最強戦の予選との兼ね合いで、「参加人数が少ないのでは?」という一抹の不安があった。
だが、ライセンスプロ、大会常連の強豪選手たち、そして初参加の方々と、たくさんの参加があり、筆者の心配は杞憂に終わった。

スプリントファイナルへの進出にも重要なポイントとなるジュピターカップ、決勝に残った選手とコメントを紹介する。

仲川翔(B級ライセンス)
「スプリントの決勝は5回目ですが、焦りや勝ち急ぐような気持ちはない。決勝の舞台を楽しみたい」

野村祐三(アスリート)
「一発裏のないBルールが自分に合ってるように思います。決勝は去年のクラウン以来なので楽しみです」

豊田武夫(一般)
「仲川君とはよく打っているので、このような舞台で打つことができて嬉しいです。頑張ります」

渡部圭(一般)
「普段はネット麻雀を打っています。かなり緊張していますが、頑張りたいです」

決勝は渡部の起親で開始された。

東1局、南家野村の第1打のを豊田がポンしてホンイツへ。
大勢のギャラリーがいる中、第一打に声をかけるのは思っているより大変なことだと思う。

豊田はいつもどおりの自分の麻雀を打てていると感じた。

結果は野村が渡部から1300をロン。
 ロン
静かな立ち上がりとなったと思ったが、次局決定的な場面が早くも訪れる。

親番野村のハイパイが

3巡目にを重ねると次巡にをポン、するとすぐにを暗刻にして以下のテンパイ
 ポン

出アガリ12000、ツモれば6000オールという、このルールでは決定打になりえる手を僅か5巡でテンパイ。
渡部のピンフリーチを受けて、少し時間がかかったものの10巡目にツモアガリ。

このアガリで点数的にも精神的にもリードはかなり大きなものになった。

東2局1本場
続けて、野村に超弩級の手が入る。

平凡なハイパイだったが、丁寧に牌を重ねて10巡目にテンパイ
 ドラ

さすがにこれをアガればオーラスを待たずに勝負が決してしまうなと思っていると、豊田が好手順でテンパイ。

 ドラ
豊田はなんの逡巡もなく即リーチ。特に場況が良いとは感じなかったが、これは「決めていた」リーチだったのだろう。
これを一発ツモって(一発はないが)1300,2600の1本場。

ここから南入までは小場で回っていったが、南1局2本場、仲川がライセンスプロの意地をみせる。

ドラもなくリャンメンターツが1つあるだけのハイパイをソウズに一気の寄せ。
これが読み通りにハマって、11巡目にメンチン4メンチャンのテンパイ。

実にソウズを7枚ツモってのテンパイである。

これに飛び込んでしまったのが渡部。これまでも何度かテンパイをいれるものの、打点や待ちが良くなく、ぶつけることが出来ない苦しい展開で南場の親番でこの放銃である。

しかし、南2局3本場には仲川から出来合い三色のマンガンをロン。
 ロン

南3局には、
 ツモ

リーチツモメンホン三暗刻の4000,8000を最終盤の17巡目にツモアガる。

安いテンパイをとらず、を引き込んでのツモり三暗刻のリーチは、点差が開いても決して諦めない素晴らしい手順だと思った。

オーラス2000をあがって連荘へ望みをかける親の仲川が7巡目に以下のテンパイ。
 ポン ドラ

をツモれば文句なしに逆転の8000オールである。

奇しくもトップ目である野村が東場でツモアガった、1フーロのトイトイである。
仲川よりも早くチートイツのテンパイをいれていた野村だったが、最後の1枚で裏目ばかりを引いてしまう。

仲川の待ちは山に残っていたので、もつれたら面白いと思っていたが、オリ気味に進めていた渡部がのアンコ落とし。

そのは野村が待ち焦がれた牌であった。
2011年度ジュピターカップ優勝は野村祐三。

優勝した野村は予選で国士無双をアガり、ノンストップで優勝まで駆け上がった。

東2局の6000オールはやはり鮮烈であったが、その後のメリハリのある押し引きこそが優勝の決め手になったように思う。

しかしこの決勝が素晴らしい対局になったのは、野村以外の三者の粘りであり諦めない気持ちであったと思う。

豊田の淡々とした所作から繰り出される鋭い攻め、渡部の決して勝負を捨てない手作り、ライセンスプロの意地を見せた仲川。

立会人という立場を忘れそうになるほど、四者四様の麻雀を半荘1回で堪能させてもらったと思います。

最終成績

優勝 野村祐三
2位 渡部圭
3位 豊田武夫
4位 仲川翔


(文中敬称略・文責 飯島健太郎)