RMUリーグ第9節
 

こんにちは、A級ライセンスの藤中です。12月17日にRMUリーグの第9節が行われました。

第8節までの結果

多井隆晴 +230.6
河野高志 +217.0
谷井茂文 △221.8
阿部孝則 △267.8

最高300ポイント近くあった河野との差を、とうとう多井が捉え逆転。
残り2節で二人の死闘が繰り広げられそうである。
勝利が難しくなった阿部、谷井が、厳しい状況ながらどう打っていくのか?
いろいろと期待を持ちつつ観戦に臨んだ。

1回戦

まず谷井が開局の親番で、丁寧に手作りをして最後にドラのを重ねてテンパイ。

ドラ

ダマテンに構え、チートイドラ2のイーシャンテンで押していた多井のを捉え、
12000点の出アガリ。
幸先のいいスタートを切る。

いきなり手痛い失点してしまった多井は、東2局の親で2000点をアガる。
連荘中の多井の親番にまず河野が動き、8巡目にテンパイ。

ポン ポン

好調な谷井もドラをトイツにして、河野に果敢に挑んで行く。
谷井が12巡目にをツモ切り、河野へ放銃で終了かと思いきや、
親の多井からもロンの発声。

タンヤオ三色の7700点。
この手牌、多井は9巡目に、

ツモ

上記の手牌からツモに感触を感じたのか、
一番待ちの良さそうなのターツを外していく。
多井の打ち筋だとのターツを外すことが多いように感じていたので意外に思っていた。
しかしこの局は、これが見事にハマり河野を頭ハネして谷井から直撃。
開局の失点をほとんど取り返してしまう。
混沌していきそうな雰囲気が漂い出す。

その後も手が入っている谷井が5200点 8000点とアガリを重ねて行く。
東4局の南家の時も、ドラ2のピンフテンパイで3巡目のリーチ。

このまま押し切ってしまうのかと思っていたら、
多井が真っ向勝負を挑み、果敢に押し返して5200点をツモアガリ。

次局、谷井の南1局の親番も一つ鳴いてテンパイ。

チー

チンイツイッツーの18000点。
とにかく手が入っている。
ところが、今まで静かに構えていた阿部が、谷井のツモ切ったドラ表示牌のにロンの声。

ドラ

メンホンドラ3の12000点。
阿部、谷井、多井の並びで僅差の戦いに戻ってしまう。

南2局は谷井が多井の親のリーチを受けながらも、
ホンイツで8000点をツモアガリ、また頭一つ抜け出す。

南3局には多井が5200点をツモアガリ、阿部を抜き2着目に浮上する。
とにかく着順が目まぐるしく入れ変わる展開。

そこで迎えたオーラス、西家の多井に手が入り6巡目テンパイ。

ドラ

高目ハネマンのテンパイ。
トップ目の谷井との差は9800点なので、
ツモアガリか高目の出アガリでトップ。(谷井からなら安めでもOK)
多井はこれをダマテンに構える。
テンパイが早いので、3人とも気づいていない様子。

どうなるのか固唾を飲んで見守っていると、
が河に放たれ多井からロンの声がかかる。

落ちたのは谷井だった。
終始手が入り続け、何度もアガったのに、最後には3着になっていた。

河野は4着ながらも谷井の猛烈な攻めをきっちり守りきり、
アガリは無かったものの、放銃もなしで2万点近くのラスで抑えた。

阿部も守勢に廻ることが多かったのだが、谷井に一太刀を浴びせ2着を取る。

多井は開局12000点を振り込んだ後でも、
ギリギリまで攻め続け、谷井の攻めをかわしきってトップを奪取してしまう。

あれだけ手が入っていても、S級の3人にはそう簡単にトップをとらせてもらえないのか…。
S級の恐ろしさを感じる半荘だった。

1回戦成績
多井隆晴 +27.6
阿部孝則 +4.8
谷井茂文 △6.8
河野高志 △25.6

2回戦

開局南家の河野が4巡目にリーチ

ドラ

ドラも無く、ドラ表示牌待ちの
あまりいい待ちとは言えず、少し違和感を感じていたのだが、をツモアガリ。
500点1000点で始まる。
その後、東場は1回戦の乱打戦が嘘のように、場が鎮静化していくのが感じられた。

東2局は河野がカンチャンのドラをダマテンでツモアガリ2000点オール。

東3局の多井の親も河野がピンフの1000点で流す。

河野が丁寧に少しずつ加点して行く。
1回戦目にじっと耐えて貯めていたものを徐々に開放するかの様に。

多井、谷井はどうも手が入らず苦戦模様。

東4局、阿部が親番でリーチ。

ドラ

7700点を河野から出アガリトップ目に立つ。

同1本場は谷井のリーチを受けた河野が現物待ちのダマテンをツモアガリ、
1000・2000で阿部を抜き返す。

南1局は親の谷井とのリーチ勝負に勝ち、阿部が谷井から8000点をもぎ取り再度トップ目に。

1回戦とは表裏が裏返ったかのように、河野・阿部がデットヒートを繰り広げる。

南2局の河野の親番でのリーチに谷井が12000点放銃。
これで勝負ありとなり河野が2回戦目を制する。

対局後、河野に開局のリーチについて尋ねてみると、

「普通ならリーチをかける手ではないのだが、
1回戦の展開があり、感じるところがありリーチとした」
とのこと。

1回戦守勢に立たされていた河野が、
戦うという意思を出した1局のように自分には感じられた。

1回戦の開局、谷井が12000点をアガッたのだが、河野もその時テンパイ。
役無しドラ無しのノベタンで待ちが良くなかったためダマテンに構えていた。

河野がテンパイ後、谷井にを打たれ、その後12000点のアガリである。
結果論でリーチをするべきだったと考えている訳ではないのだろう。
ただ、その後の展開を振り返ってみると、
「アヤ」のようなものを感じてこのリーチ選択となったらしい。

観戦している自分にとってはこの1局で何かが変わり、
全体の展開は河野に向いて行ったように感じられた。
これは、気のせいだろうか?

2回戦成績

河野高志 +37.0
阿部孝則 +5.0
多井隆晴 △8.5
谷井茂文 △33.5

3回戦

優勝争いをしている多井、河野が互いに1勝づつ、
この後二人の戦いがどうなるのか注目である。

東2局にまず南家の谷井が8巡目にテンパイ。

ドラ

何かを感じたのか、北家の河野が東を鳴いてさばきにいく。
すると、それに呼応するかのように、親の多井が河野の切ったをチー。
多井の捨て牌は、

普通の手にみえるのだが実は、

18000点のテンパイである。

次巡河野もでテンパるのだが、
多井が谷井のアタリ牌でもあるをツモアガリ6000オール。

3回戦は多井の番なのかと思って見ていると、東3局の谷井の親番からそれは始まった。
全員手が進まない展開、多井が15巡目に、谷井、阿部が17巡目にやっとテンパイ。

3人テンパイで流局かと思っていると、
ここで今まで丁寧に打ちまわしていた阿部へのご褒美が来る。
海底で4枚目のドラのでのツモアガリで2000、4000。

ツモ ドラ

迎えた東4局阿部の親番、
まずドラが雀頭のピンフでリーチしてツモアガリ4000オール。

同1本場

ドラ

イーシャンテンのこの手牌に11巡目のをツモ切りテンパイとらず。
その後、を引き入れ高目三色のテンパイにしてをツモアガリ、
連続の4000は4100オール。

次局もドラを一つ使い、ピンフ手をリーチしてツモアガリ、2600は2800オール。

さらに次局もダブ東を鳴いて2900は3800の出アガリ。
怒涛の5局連続のアガリで6万点オーバー。
阿部の過去のタイトル戦決勝での猛連荘を思い起こさせた。

今期不調にあえいでいた阿部が、久しぶりに強い阿部孝則をみせてくれた。

また、ここでは阿部らしい丁寧な1局があった。
南2局多井の親番で、

ドラ

7巡目に阿部が高目タンピン三色のテンパイ。

ソーズは場に高く、待ちとしては苦しそう。
親の多井が積極的にファン牌を切り出していて攻め込んで来そうな勢いがある。
これに加え、その多井の捨て牌にがあるのでダマテンに構える。
将来の多井のリーチを見越して現物待ち狙いである。

目論見通り多井からリーチが入る。
河野、谷井も阿部の勝負気配を感じてなのかオリているのに、
阿部に危なそうなはなかなか出てこない。

そうこうするうちに多井のアタリ牌のを掴みしばし考え、
現物であるを切り出していく。

最後にはツモでテンパイをし直して流局。
丁寧な攻め、いかにも阿部らしい1局だったのではないだろうか。

今期は思わしくない結果となっているが、
この局をみて阿部の復活はそう遠くないことを感じた。

3回戦成績

阿部孝則 +55.5
多井隆晴 +7.8
河野高志 △20.2
谷井茂文 △43.1

4回戦

多井、河野互いに1勝ずつだが、ラスを引かない多井がリードを広げる展開。

河野としては今日の最終戦でなんとかしたいところだが、先手を取ったのは多井。
東2局の多井の親番、北家の谷井に先制リーチをかけられるのだが、押し返し追いかけリーチ。

ドラ

一発で谷井のを捕まえて12000点。

は谷井の現物なのだがあえてリーチ、
対局後に多井は、
「現物待ちで打点も十分だが、待ちにかなり自信があったのでリーチした」
との事。
その読みは的確で、は山に5枚残っていた。

反撃に出たい河野も東2局2本場、7巡目に早いテンパイが入る。

ドラ

ドラ単騎のマンガンなのだが、

いかんせん捨て牌がかなり派手な仕上がり。
そして、多井は当面のライバルである河野の捨て牌を意識してか、
字牌を絞りオリ気味に手を進めている。
3人の手の内にが一枚ずつの展開である。

手が進み、誰かが河野のダマテンに振り込んでしまうのかと筆者は考えていた。
しかし、阿部も谷井もイーシャンテンまで手を進め、を切らず耐えている。
その後、河野のツモ切りが続くのを見てテンパイを察知したのか、二人ともオリて流局。

その後河野にはチャンス手が入らず、2着はキープしたものの、
その後確実に加点していった多井に6万点超のトップを取られてしまう。

対局後観戦に来ていた山田プロが、
「今日の多井さんに振り込みはありました?」
との質問。

思い返せば、今日の多井の振り込みは1回戦の開局のみである。
かといってオリてばかりいたわけではなく、むしろ攻めていたのではないだろうか。

あれだけ攻めながら振り込まないというのは、
相手の手牌や場の状況の読みの精度がよほど高くないと難しいと思う。
例えば、それは、

・自分の手がアガれるかの判断
・相手の攻守の判断の読み(自分が攻めた場合の相手の攻守判断)
・相手に先制された時の攻守判断

などなど、いろいろな読みの正確性が要求されるものである。
改めて多井の技術力の高さを感じさせられた。

4回戦成績

多井隆晴 +46.0
河野高志 +9.9
阿部孝則 △10.9
谷井茂文 △45.0

第9節終了時のトータル

多井隆晴 +303.5
河野高志 +218.1
阿部孝則 △213.4
谷井茂文 △350.2

多井と河野の差は約80ポイントまで開いてしまった。
とはいえ、まだ一節あれば逆転は十分可能な点差ではある。
最終節も熱い戦いを期待している。

(文中敬称略 藤中慎一郎)