2010マーキュリーカップ 優勝は平山友厚 |
(文中敬称略) このスプリントカップは、来年に行われるスプリントファイナルの予選でもあるという位置づけ自体は変わっていないが、年6戦だった昨年と異なり、今年は年8戦行われることになった。これにより、1回の優勝だけではファイナルへ進出できない可能性が高くなるなど、1戦単位の比重は軽くなったと言えるかも知れない。 勝ち上がった16人による準決勝には、大会前に昨年度のRMUアワードで表彰された4人のうち、私以外の3人全てが残っていた。予選を16番目で通過した谷井の決勝進出は厳しいだろうが、多井、平山は決勝も見える上位での通過だった。 その準決勝、平山は、スプリントカップでNO.1の実績を挙げていると言っていい吉田と対峙していた。 ドラ タンピンドラドラ+345三色確定の待ちで追いつき、追いかけリーチ。とうにオリている他の2人から平山の現物のが切られていないので山にいるかも、と思っていたら、一発で平山がを掴み、倍満放銃となる。 その後、吉田は決勝進出のためにやや無理目の形から攻めたところ、開始時点で卓内トップだった鈴木の反撃に遭い、ここで脱落。最後は鈴木と平山の一騎打ちになり、これを鈴木が制してスプリント3度目の決勝進出が確定。平山は2着で結果待ちとなる。 結局、決勝進出者は、鈴木、来賀、平山、小原の順で決まった。 起家から鈴木-平山-来賀-小原と座順が決まり、対局開始。 東1局、16巡目と深い巡目ながら小原がリーチ、宣言牌を鳴いてチーテンに取った親の鈴木に一発ツモだったアガリ牌が下がり、これを抱えて親流れ。 東2局1本場、小原が今度は6巡目に中ドラ1のリャンメンリーチ。とはいえドラ表示牌待ちなので容易には出ないしツモれない。2局続けて流局だったら嫌な感じだっただろうが、自身最後のツモで引き当て、満貫で一歩リード。 東ラス、流局間際に入ったドラドラチートイツのテンパイでテンパイ料3,000点を得て手応えを感じていたであろう次局、 ドラ この配牌が6巡目に ツモ ドラ と三色手のイーシャンテンとなり、一瞬手が止まった後、牌音高くが打たれる。すると、直後にが小原にポンされた次のツモがで、くっつきが弱くなったと入れ替えると、次巡ツモで、ドラを切ってのフリテンリーチに打って出る。2巡後、鈴木に ドラ で追いかけられるが、平山が4枚目のを力強くツモって満貫。局後の平山 「6巡目の選択は少し迷ったが、くっつきの優秀性を信じた。をポンされたので切りも迷うことなく、をツモれば当然のリーチ。アンコで持たれていたをツモれたのはラッキーだったが、はいると思っていた」 実際には残り3枚山におり、これで平山が微差ながらトップ目に立つ。 しかし南2局1本場、2巡目にして四暗刻のイーシャンテンだった小原のドラ切りに注目が集まる中、 ドラ ロン 気配を消していた来賀がメンホンの5,200を平山から打ち取って原点付近まで回復。 続く南3局、平山が、と続けて仕掛ける。北のみの1,300の仕掛けだったが、これに親の来賀が対応してしまい、ション牌のを切りきれず、結果アガリを逃す形になる。 東:小原 32,600 となり、スプリントカップでは稀に見る僅差でオーラスを迎える。それぞれの現実的な優勝条件は 小原:鈴木はおろか、平山ともテンパイ料で変わりうる差で、よほどの確信がそろわない限りノーテンで終了させることはできないので、実際には1回連チャンしてから。 鈴木:小原から直撃でない1,000や1,300以外はどうアガってもよく、テンパイノーテンでも逆転なので、条件的には一番楽かも。 平山:700-1,300ツモか3,900出アガリ、2,600直撃 来賀:1,000-2,000ツモか6,400出アガリ、5,200直撃 という、誰にでも優勝の目がある状態。そして、それぞれがもらった配牌が 小原 ドラ シャンテン数は3~5、一番少ない鈴木は受け入れが少ないため、速度的には大差ないといっていい。小原はクイタンの仕掛けが利けば一番早そうだが、その場合、ドラを生かせない安手だとあまり条件が変わらずにもう1局ということになるので、楽ではない。 「上家(鈴木)の第1打がドラで、この時点では動けなかったけどが重なったことでホンイツに行けるようになったし、ドラも早い巡目ならまた切られるかも、という期待ができた。」 と、平山の指針に影響を与える形になってしまったからである。 ドラ 「チー」 待ってましたとばかりにをさらし、打。イーシャンテンのままだが、ホンイツドラ1で3,900以上は確定したので、テンパイすればどこからでもアガれる形に。 ドラ この形でテンパイする。しかしその次巡平山が、小原の待ちでもあるラス牌のを引いて勝負あり。最後は小原がツモ切ったで 「ロン、5,200」 平山がアガって対局終了。 対局後のコメント
終始劣勢だっただけに、1つのミスがこの結果につながってしまったように思えるが、そこに至るまでの戦いぶりはさすがと思わせるところがあった。
普段はよくフリー雀荘へ行かれるということで、これを機にまた大会に参加して楽しんでいただけたらと思う。
決勝に3回残るのは並大抵のことではないが、そこで勝てないのは、何かが足りないのかもしれない。ただ、これは彼に限ったことではなく、私を含めた多くの人に言えることかも知れないが。
チャンスはそれほど多くなかったように思うが、その僅かなチャンスを確実に物にできるあたりはさすがである。
こうして、今期のスプリントカップ初戦のマーキュリーカップは、実力者・平山の優勝で幕を閉じた。 しかし、スプリントファイナルはまだ始まったばかりで7戦残っており、今回敗退した人にも不参加だった人にも、皆ファイナル進出のチャンスが十分にある。 スプリントカップ第2戦・ヴィーナスカップ(Bルール)は、5月29日(土)、銀座『柳本店』で行われます。 (文責 宮田信弥)
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