2009 スプリントファイナル

日時:2010/02/20(土)、21(日)
場所:柳 勝どき店

【大会ルール】
RMU Aルール(一発・裏ドラ・カンドラあり、赤牌無し)

【対局者(主な戦績)】
 1位 有田幸司   (ウラヌスカップ優勝)
 2位 水沼利晃   (ジュピターカップ優勝)
 3位 仲大底充   (ヴイーナスカップ準優勝)
 4位 飯島健太郎  (ウラヌスカップ3位)
 5位 安達瑠理華  (サターンカップ優勝)
 6位 竹中誠    (マーズカップ準優勝)
 7位 山下健治   (ジュピターカップ3位)
 8位 鈴木大成   (ウラヌスカップ準優勝)
 9位 多井隆晴   (サターンカップ準優勝)
 10位 藤中慎一郎  (マーズカップ優勝)
 11位 坂巻稔永   (ヴイーナスカップ優勝)
 12位 吉田信之   (マーキュリーカップ優勝)

■準々決勝(半荘3回戦、 各卓得点上位2名が準決勝に進出)
 A卓 安達 山下 多井 坂巻
 B卓 竹中 鈴木 藤中 吉田

準決勝シードだった私は、対戦相手が気になるので早めに入って様子を見る。
部屋に入ると、既に3回戦が始まっていた。

<A卓>
 多井プロが連勝していてほぼ当確、2位を坂巻選手と安達選手が争っている。
 3回戦目に坂巻選手が序盤から満貫・ハネ満ツモを重ね、
そのリードを生かして多井プロとともに準決勝へと進んだ。

<B卓>
 吉田選手が独走状態、他3名はいずれもチャンスありという状況。
 トータルラス目の竹中プロが猛追するも、
 藤中プロがなんとか凌いで最後のイスを手にした。

■準決勝(半荘3回戦、 各卓得点上位2名が決勝に進出)
 C卓 有田 仲大底 多井(A卓1位) 藤中(B卓2位)
 D卓 水沼 飯島 坂巻(A卓2位) 吉田(B卓1位)

ここから私も参戦。
有田選手にはこの前の決勝(ウラヌスカップ)で痛い目に遭ったからリベンジしたいなぁ…なんて。
それよりも多井プロ・藤中プロを相手にするとは、嬉しいやら厳しいやら…。

そして対局開始。
しばらくの間、変な緊張感が体を襲い、手が震えている。
普段の大会やリーグ戦とはまた違う感覚で、慣れるのに3局くらいかかってしまった。

幸いだったのは、序盤はずっと流局続きで場が重たかったこと。
誰もアガれず、積棒とリーチ棒だけが重なっていく。
そして東2局5本場に有田選手から満貫を出アガりし、
溜まった点棒ごと回収して一気にトップ目へ。
次局も2,000オールをツモり、かなり有利な展開となる。
この頃には手の震えも収まっていた。

しかし相手は強者ばかり、そう簡単に逃がしてはくれない。
ジリジリと追い上げられ、最終的にはオーラスで藤中プロに捲られてしまい2着に終わる。
プラスではあったが、少し微妙な感じで次戦へ進むことに。

2回戦目も似たような展開で進む。
序盤は自分がツモって点棒を増やしトップ目に立つが、徐々に点差が縮まりいつの間にか逆転されている。
2着目で迎えた今回も、オーラスで藤中プロに逆転されてしまい3着に。
ただ序盤の貯金があったので、ポイント的にはまだプラスしている。
3位の多井プロとは30ポイント離れているが、当然安心出来るわけがない。

3回戦。
トータルラス目の有田選手(起親)が東1局から攻める。
一瞬ウラヌスカップの決勝でやられた大連チャンが頭をよぎった。
「このままだとマズイ」と感じたので、
鳴いて捌きに向かう(その決勝では捌くことが出来ずに大敗してしまったので、
「捌こう」という意識が強く働いたのかも)。
そして300-500ツモとし、嫌な流れを断ち切る。

その後も有利に進めトップ目に立つが、またしても途中有田選手に逆転される。
最終戦なのでポイント状況が気になるところだが、
着順差が1つだけで素点は離れていないので、
あまり意識することなく目の前の対局に集中することが出来た。

そして最後は流局で終了し、トップ通過の藤中プロとともに私も決勝戦へ進むことになった。
もう一方の卓からは、坂巻選手と飯島プロが勝ち上がり、これで決勝メンバーが出揃った。

■決勝戦(半荘5回戦)

まさか自分が対局者としてこの場にいるとは…。
当然常にタイトル奪取を目標としているが、いざその状況になると非現実という感じ。
観戦(自戦)記者でもあるので、自分以外の対局者から事前コメントを集める。

□事前コメント

<坂巻稔永>
いつもはリードすると淡泊になりがちだが、昨日(準々決勝、準決勝)は粘り強く打てたと思う。
今日も粘り強く打てればと思います。

<藤中慎一郎>
自分の麻雀を打つだけです。

<飯島健太郎>
前回の優勝は何で勝ったのか良く分からないけど、逆にそれが良いのかも。
2回目の決勝戦なので、前回同様頑張ります。

■対局

<1回戦>
起親から、藤中・飯島・坂巻・仲大底

開始直後からいきなり場が動く。
東1局、9巡目に藤中プロがテンパイ即リーチ!

 ロン ドラ

飯島プロが1枚切れのを一発で放銃し、藤中プロが親マンを直撃する。
いきなり本命の人に乗られるとまずいな…と思いながら次の局へ。
今度は自分に好手が入る。
配牌では2トイツしかなかったが、最後にはチートイツドラ2の手へ。

 ドラ

自分の最後のツモで引けなかったので「ダメか…」と思っていたら、
リーチしていた飯島プロがを掴み、ホウテイもついて満貫となる。

飯島プロは開始2局で2万点以上失う苦しい立ち上がり。
しかし、すぐに藤中プロからチートイツドラ2をアガり返し復活する。
このまま流れを取り戻したい飯島プロ。
が、すぐさま藤中プロが満貫ツモで襲いかかる。
東1局から、4局連続で高打点が飛び交う激しい展開。

東3局は私の1人テンパイで流局し、迎えた自分の親番。
前局はリーチして流れてしまったので、今回は自重してダマテンに構える。
それが功を奏して5,800を出アガりし、この時点でトップに立つ。
次局で親は流れたが、南1局に入って満貫をツモり更にリードを広げる。

「今日はよくアガれてるな」なんて思いながら、1回戦が終了。
途中追い上げられるパターンが準決勝と同じで嫌だったが、
何とかリードを守りきりトップを取ることが出来た。

幸先良いスタート、このまま最後までリードを守ることが出来るか?

 1回戦終了時点
  仲大底 +27.6
  藤中  +10.3
  飯島  ▲13.0
  坂巻  ▲24.9

<2回戦>
起親から、坂巻・飯島・仲大底・藤中

1回戦は出だしから大きく沈んでいた飯島プロだが、終わってみれば追い上げての3着。
勢いそのままに、東1局から一発ツモ2回を含めた4連続のアガりで一気に6万点近くへ。
何も抵抗できない私は点棒が減っていくばかり…。

そんな中、藤中プロが東4局(5本場)の親マンツモをきっかけに飯島プロを追い上げる。
更にアガリを狙った藤中プロだが、
私が役満もホンイツも見切って急いで仕上げたテンパイに打ち込み、追撃はストップ。

 ロン  ドラ

それでも手が落ちない藤中プロ。
南1局1本場、配牌で1枚しかなかったドラをアンコにしてリーチ!
ツモって裏も乗せハネ満とし、3万点以上あった点差を7千点差まで縮める。

 ツモ ドラ ウラドラ

ここまで2人に置いて行かれた感じだったが、南2局に少しだけ光が見える。
配牌でダブ南がトイツ、そして4・5巡目にドラを連続してツモり満貫が見える手に。
このまま何も出来ずに終わったら、せっかくのトップが台無しなる…。
アガりたい!

すると藤中プロからが出る。
迷わずポン!
4巡後にをツモり、望み通りこの手をアガり切った。

 ツモ  ドラ

2回戦はこのまま終了となる。
持ち点は少なく3着に終わったが、この満貫は精神的にも助かったように思う。

 2回戦終了時点(2回戦成績)
  藤中  +22.7(+12.4)
  飯島  +19.9(+32.9)
  仲大底 +17.2(▲10.4)
  坂巻  ▲59.8(▲34.9)

<3回戦>
起親から、藤中・仲大底・坂巻・飯島

飯島プロの勢いが衰えない。
いきなりリーチ一発ツモから始まり、次局私に5,800を放銃するも、
その後2局を連続してアガり、この半荘もトップ目に立つ!
南場に入っても、この日4回目のリーチ一発ツモで更にリードを広げる。

 ツモ ドラ

この半荘、藤中プロと私は抵抗出来ずに終わった感じだった。
特に藤中プロは、東3局の勝負手が逆に飯島プロへの満貫放銃となってからは、
ほとんど勝負にいけていないように思えた。

飯島プロが2連勝となったこの半荘だが、オーラスは坂巻選手が鳴きチンイツをツモって終了する。
これまで展開に恵まれなかった坂巻選手だが、このアガリで流れを変えることが出来るか?
そして、親カブリで終わった飯島プロは…?

 3回戦終了時点(3回戦成績)
  飯島  +49.7(+29.8)
  仲大底 +6.0(▲11.2)
  藤中  ▲5.8(▲28.5)
  坂巻  ▲49.9(+9.9)

<4回戦>
起親から、仲大底・藤中・飯島・坂巻

あと2半荘、さすがにここで飯島プロとの差を詰めないともう後がない。
そう思い、東1局から果敢に攻めに出た。
15巡目にテンパイ即リーチ、1人テンパイで親権を維持する。
続く1本場は藤中プロから2,900点を出アガり、供託もゲット。
「いける…」と思ったのも束の間、藤中プロに満貫をツモられ親カブリ…。
でも気落ちする訳にはいかない。
続く東2局、坂巻選手がマンズのホンイツ、7巡目にペンのテンパイ。

   ドラ

そこへ私が16巡目に生牌のを勝負してリーチ!

 ドラ

親の藤中プロには鳴かれたが、強引に攻める。
そして次巡ツモ。
ウラドラは乗らなかったが、またトップを奪い返す。

東場はトップ目のまま終了、ここから後半の南場へ。
トータルトップの飯島プロは、ここまでテンパイすら入らない。
3回戦オーラスの親カブリから風向きが変わったのか?

南1局、飯島プロが坂巻選手に満貫を放銃、更に点棒を減らしてしまう。
南2局は坂巻選手が1,000-2,000をツモり、トップ逆転。
そのまま坂巻選手がトップを維持し、この半荘が終了する。

私としては当然自分がトップになることが一番嬉しかったが、
あくまでもこの半荘の目標は「飯島プロより着順が上」になること。
オーラスもピンズのホンイツまで見える手だったが、
無理せず1,000点で流して最終戦に懸けることにした。

結局飯島プロはこの半荘ノーホーラ、
唯一テンパイした南1局には宣言牌で満貫放銃と良い所なし。
この時点でほとんど点差がないため、勝負は最終戦での着順勝負に持ち越された。

 4回戦終了時点(4回戦成績)
  仲大底 +19.3(+13.3)
  飯島  +18.7(▲31.0)
  藤中  ▲14.5(▲8.7)
  坂巻  ▲23.5(+26.4)

<5回戦>
起親から、藤中・仲大底・坂巻・飯島

いきなり東1局から大きく動く。
チートイツイーシャンテンの私が、
マンズのホンイツ気配を出している下家の坂巻選手に対してを鳴かせてしまう。
その直後に、飯島プロがドラ3枚使いの満貫をツモ。

 ツモ ドラ

自分のミスでライバルに先手を奪われてしまう。
しまった…。
だがまだ東1局。
「オーラスまでにチャンスはきっと来る」
そう信じて局を進める。

しかし4回戦とは打って変わって、飯島プロが着実に得点を重ねる。
東場終了時点で4万点のトップ目、対する私はラス目でその差は1万点以上。
「もう無理か?」
いや、まだ諦めない。南場の親番でチャンスがあれば…。
と思っていたが、親番(南2局)は飯島プロに1,000点であっさりかわされてしまう。

親番もなくなり、逆転はさすがに厳しいかな…と弱気になりかけていたが、
ここから少しずつ風向きが変わってくる。

南3局、親の坂巻選手が6巡目にリーチ。
私も14巡目にテンパイして追っかけリーチ、そのまま流局で2人テンパイ。
続く1本場も、坂巻選手と私の2人テンパイで流局する。

1万点以上あった飯島プロとの点差が、ジワジワと9,000点まで縮まってきた。
この時点で供託が3,000点もあり、逆転も見えてきた。

そして南3局2本場。
有効牌をザクザク引き入れ5巡目に先制リーチを打つ!

 ドラ

親の坂巻選手も10巡目にリーチし、またしても2人の勝負に。
しかし坂巻選手の待ちであるは、その時点で純カラとかなり厳しい。
そして…15巡目に私がをツモ!
安目ではあったが、積棒と供託もゲットして飯島プロを逆転。
逆に2,000点差とする。

何度も諦めかけたが、ついに逆転することができた。
しかしまだ終わっていない。ラス親は飯島プロだ。
意地でもアガり、またはテンパイに向かってくるだろう。
気が抜けない。

オーラス。
自分の手が遅い…。
テンパイもだいぶ遠く感じる。
何とかテンパイさせようとも考えたが、
「ここで飯島プロにテンパイされても次局がある」
と思い、途中からは自分のテンパイよりも流局を信じて打牌を繰り返す。

そして流局。飯島プロは…
ノーテン!
全員ノーテンとなり、ここで決勝戦が終了となった。

 最終成績(5回戦成績)
  仲大底 +42.4(+23.1)
  飯島  +29.7(+11.0)
  坂巻  ▲30.1(▲6.6)
  藤中  ▲42.0(▲27.5)

□感想

<4位:藤中慎一郎>
準決勝まで調子が良かったから、逆にバランスが崩れていたような気がする。
感覚が違ったのかな…勉強不足です。
でもいくつか良いアガリがあったので、次に繋げたいと思います。

<3位:坂巻稔永>
お疲れさまでした。
序盤はなかなか手が入らず苦しい展開が続いたが、
何とか粘って後半は接戦に持ち込むことが出来た。
また来年も頑張ります。

<2位:飯島健太郎>
4回戦のラスは仕方ないように思う。
それより5回戦のラス前で攻めきれなかったのが敗因です。
最初浮き足立っていたけど立て直せたのは良かったと思います。

<優勝:仲大底充>
1回戦でトップを取りましたが、その後マイナスが続き苦しかったです。
でもそれは相手が強いから当然と思っていたので、あまり気になりませんでした。
勝因を挙げるとするなら、最後まで強気に攻めることが出来たところかなと思います。
強気にリーチした場面、あえてリーチせずダマテンでツモったところ、
ホンイツを深追いせずに相手の勝負手をかわせたのも「攻め」の気持ちがあったからだと思います。
まだまだ未熟な部分も多いですが、この「攻め」の気持ちを武器に、
一生懸命頑張りますので、今後もよろしくお願いします!

(文 仲大底 充)