RMUリーグ第3節

苦悩するS級ライセンス

RMUリーグ第3節を迎えた。
1、2節が終わって、「さあ、これから」の戦いではあるが、ここまでの結果を踏まえた上での戦いになる。
当日の選手コメントとここまでの、それぞれのポイントは以下。

古久根英孝(▲183.6)
「ここまでの結果・内容ともに不満が残る。打ち手としての進退を賭けた戦いになりそう。」
のっけから、不穏な発言。

多井隆晴(▲57.8)
「おはようございます。」
古久根のコメントで緊張した会場にさわやかな声が流れる。
「ストライクゾーンはフルスイングして、場外に飛ばせるような麻雀が打てるように調整してきました。」

阿部孝則(+49.5)
「自分なりに、課題を持って、それをクリアーするようにしていきたい。」

河野高志(+63.7)
「再三繰り返すようだが、メンタル面が弱いことを自覚している。集中力を切らさず内容重視の麻雀が打ちたい。」

土田浩翔(+128.2)
「この対局でそれぞれの個性を引き出しあいながら一つの作品が届けられれば。個人的には一般のストライクゾーンではない球をホームランにしていく麻雀が打てれば。」

1回戦

ルールはRMU・Aルール(一発・ウラドラあり)
並びは親から古久根・河野・阿部・多井(抜け番は土田)。

東1局。ドラ。 

その日一番最初の配牌を取る時、麻雀打ちは何を考えるのだろう。
その日の自分の持つ運量を計る部分もあるだろう。
幸運を祈るかのように静かに手牌を並べていく。

多井が積極的に打っていく。
迎え討つのは河野だ。
12巡目にドラを重ねて、14巡目には多井のテンパイ打牌ののポンテン。
タンヤオドラドラの待ちに取る。
多井も引かず最終打牌はドラ
がっぷり四つの二人テンパイ。

東2局、1本場。

親の河野の5巡目。

 ツモ ドラ

チートイツのテンパイが入る。

しかし、河野の選択は打のテンパイとらず。
河野「マンズ部分の待ちが良く見えただけに、最高形(リャンぺーコー)を目指した。」

しかし、この手がテンパイしないうちに、古久根、多井と続けてリーチが入る。

古久根の手牌

 ドラ

かたや多井の手牌

 ドラ

多井が一発ツモ(ウラドラ)でハネ満のツモ。河野の親カブリとなる。
5巡目に河野がチートイツのテンパイを取ったとしても待ち牌のは多井にアンコ。
どうにも救われない。

東3局。

場に対子場傾向が現れる。

河野の11巡目打牌が阿部のヤミテンに刺さる。

 ドラ

ロンは6400。河野の動揺が見えた気がした。

東4局。

河野の迷いを断ち切るかのようなリーチが10巡目。

 ドラ

またしても対子場の様相。
後日土田から教えてもらったのだが、テンパイ選択で対子理論だと待ち牌がになるとのこと。確かにそれだと流局間際にツモっている。
求める待ち牌のは脇に入り一人テンパイの流局。

南1局1本場。

ドラ。ヤミテンで阿部が古久根からピンフの出アガリ。
供託積み場込で2300点のアガリ。

南2局。ドラ

今度は一色場なのか。
古久根にソーズの色が入り、河野にマンズの色が入る。
親番でアガリを優先させた河野が1色手になる前にテンパイを入れドラ1のツモアガリで連チャン。

南2局1本場。

しゃにむに河野が連チャンを計る。
11巡目のリャンシャンテン、

 ドラ

カンのチーから入る。
15巡目にツモで打のテンパイ、次巡のツモをカラ切りしてワナを張る。
あたかもピンズのセットを嫌ったかのような形。
対して多井も河野のツモ切りにチーを入れ、明らかなチーテン。
手詰まったのは阿部、珍しく長考。そしてオリ打ちので河野が連チャン。

南2局2本場。

ここが問題の局になる。
親の河野が古久根の第1打をポン。
4巡目にを引きこんでこの形

  ドラ

河野の後ろで観戦していた私は、かえってアガリにくくなったのではないか、と見ていた。
河野自身もそう感じていたと思う。7巡目多井がドラを打ち出す。河野のポンは当然。
「いったい何が起こったのだろう」これが正直な感想だった。
そして河野の9巡目のツモがで小三元から大三元へとイーシャンテン渡り 

   ドラ

11巡目にをひき入れてテンパイ、とりあえずのタンキ。
同巡古久根がそれを交わすべく河野のロン牌のを重ねてピンフのテンパイ。
13巡目の河野のツモが。マチをに受け替える。
多井のツモ切りで大三元の48000。仰天の瞬間である。

この時の多井の手牌。

こちらもツモれば役満、四暗刻のテンパイだった。
はそれぞれ山に1枚ずつ残っている。

対局後の河野「変なリーグ戦だよ、毎節役満が出るなんて考えられない。」
そして対局後の多井
「待ちに自信があったし、今度はオレの番が来たと思ったんだけど…。」

南2局3本場。

役満放銃でもめげない多井がドラを鳴かせてリーチでツモアガる。

 ツモ ドラ

安めながらウラドラで、1300・2600。

南3局、南4局は2局ともに流局決着。

河野 +58.4 阿部 ▲1.2 古久根 ▲15.0 多井 ▲43.2

2回戦

並びは親から古久根・多井・阿部・土田(抜け番は河野)。

東1局。

親の古久根が12巡目にリーチ。
手牌は

 ドラ

本人曰く「少し無理メのリーチ」、だそうだ。

多井が危険牌を切り飛ばしていく。

アガッたのは多井。

 ツモ ドラ

北家土田にもテンパイが入っていた。

 

こちらもドラを求めるチートイツ。どうやらまたしても対子場らしい。

東2局。

この局は不可解。
親の多井が2フーロ。
西家土田が1フーロ。
北家古久根が2フーロ。

結果は古久根のアガリ。

   ツモ ドラ

チンイツのツモアガりとなった。
この時の多井の手牌

  

どう見ても形テンドラドラ、役はない。

そして土田の手牌

 

西家だけにドラの西を引き入れるか鳴けるかすれば役ありになるが、
これも限りなく形テンにちかい。

アガリに向かう鳴きをしていた古久根がアガッた。

多井と土田がシャッフルしていた印象。
大局観がもたらしたのか、戦略的な鳴きなのか。

東3局。

古久根が2フーロして多井が放銃。
古久根に風が吹き始めた。

東4局。

静かに打ち進めてきた阿部に手が入る。
10巡目のテンパイ。そして即ツモ

 ツモ ドラ

メンホン一通のハネ満。

南1局。

とにかく多井が積極的に攻める。そして手が入る。この局も8巡目のリーチ。

 ドラ

他家を尻目に安めのツモながら1300・2600。

南2局。

親を迎えた多井の配牌がこれ。

 ドラ

2巡目にドラを重ねてアタマが振り替わる。
マンズの1メンツを引き入れテンパイの直後にヤミテンで阿部から出アガる。

 ロン ドラ

トップ目からの直撃で自らがトップ目にたつ。

南2局1本場は流局。

南2局2本場。 ドラ

またしても多井の連チャン。
ソーズメンホン指向の土田からポンテンのタンヤオを出アガる。

南2局3本場。ドラ

親落としで動いた阿部がタンヤオのチーテンで2000点。
やっと親が落ちた。
そして放銃は多井。毎局点棒の出入りに参加している。

南3局。

南家土田の配牌

 ツモ ドラ
第1打に字牌を選ばない土田の選択は打
確かに常人とは、ストライクゾーンが違う。

分岐点の7巡目、

 ツモ ドラ

ここからなんと

第1打にをチョイスしているのに、は切らずにを引き入れたのが6巡目。
フリテンを恐れずバランスを取りながら、手役を求めていく。
そしてドラツモで手牌に修正を加えていく。

14巡目の出アガリがこの形。

 ロン

放銃は阿部。この放銃でラスを引かされることになる。

南4局。ドラ

多井がポンテンのタンヤオドラドラをツモ。
トップ目みずからの手で終局させた。

多井 +35.0 古久根 +3.8 土田 ▲13.9 阿部 ▲24.9

3回戦

並びは親から古久根・多井・土田・河野(抜け番は阿部)。

東1局。

今日は3回戦ともに、古久根が起親のスタートになった。
時間打ち切りのないルールでは、起親は少し損かも知れない。
北家スタートの場合、最終局に至った時、選択権がある分優位に思える。

河野が7巡目にイーシャンテンでアンカン。新ドラは

同巡、古久根がテンパイを入れて即リーチ。

 ドラ

高めタンヤオピンフで曲げた。

河野のテンパイ打牌のがつかまり2900。

古久根の連チャンとなるが、未だ流れが来ない感がある。

東1局1本場。

多井の仕掛けが5巡目、のポンから入る。

9巡目の親、古久根のリーチ。

 ドラ

足止めとか、押さえつけというべきリーチ。

しかし、こんなリーチで止まる多井ではない。

  ドラ

ここから数枚押しツモは1000・2000。

東2局。ドラ

多井の親は土田がヤミテンのタンヤオで流す。

放銃は河野だが、点数の問題ではなく、チートイツのドラタンキのテンパイを入れていた河野にとっては巡りが悪い。

東3局。ドラ

多井がヤミテンピンフを古久根からアガる。
古久根がドラ対子でを仕掛けていたので、またしてもチャンス手をつぶすアガリとなった。

東4局。

古久根にチャンスが訪れる。
分岐点は8巡目。

 ツモ ドラ

ソウズのドラ受けターツを外し12巡目のツモアガリ。

 ツモ ドラ

は三色高めでハネ満。

南1局。ドラ

きっかけをつかんだのか古久根の連チャン。
1枚目のをスル―。
ちょうど、ポンテンが入るタイミングで鳴き2900をアガる。
イーシャンテンからテンパイ、テンパイからアガリまでのスピードが、飛躍的に早くなってきている。

南1局1本場。ドラ

ドラを序盤で重ねた古久根が連チャン。
他の3者は手が進まない。古久根の一人テンパイ。

南1局2本場。

古久根がドラを重ねたのが4巡目、
そしてその時点でチートイツドラドラのテンパイ。
待ちはタンキ。次巡を引いて待ち替え。
どちらもション牌なのだが、字牌を選び、ゆったりとヤミテン。

 ドラ

このままヤミテンかと、観ていると10巡目にツモったタンキでリーチを打つ。
この時点では全部山残り。他の誰も使っていない。
山読みと筋対子理論が合致した待ちなのだろう。
「興奮の一発ツモ」となった。
ギャラリーにとっては唖然とさせられる、S級プロの待ち取りとアガリであった。

も悪い待ちじゃないけど、自信の持てる待ちになったら、リーチでいい」

古久根の対局後のコメントである。
の方が自信がある。これがS級ライセンスなのだ。

「古久根さん、引退だの進退だの言う前にこんなシーンをもっと見せてください。」

これは、私の勝手な独り言である。

南1局3本場。ドラ

多井が古久根から1000点。やっと親を流した。

南2局。ドラ

古久根と多井の二人テンパイで流局。

南2局1本場。ドラ

土田がリーチを打つも流局、多井と土田の二人テンパイ。

南2局2本場。ドラ

古久根ののポンテンが6巡目。すぐに河野がつかまり1000点。
本当にテンパイからアガリまでのスピードが速くなってきている。

南3局。ドラ

多井がヤミテンのままのシャンポンを高めでツモりあげ、
ツモドラ1は1000・2000。

南4局。

ラス親の河野の持ち点はの5900。
放銃の失点が大きい訳ではない。
3回の放銃はあるが、2900・1300・1000の3回だけである。
ノーホーラでノーテン罰符を払ってツモられて、こんな状況に追い込まれている。

開き直ったリーチを打つと終局を目指してテンパイしている古久根から望外な出アガリ。

 ロン ドラ

ウラドラにが1枚乗って7700。

南4局1本場。ドラ

しかし河野の追撃もここまで、執念を見せて河野がリーチを打つもほぼ純カラでは勝ち目がない。古久根が役なしヤミテンを、静かにツモって終局となった。

古久根 +44.7 多井 +6.7 土田 ▲18.4 河野 ▲33.0

4回戦

並びは親から阿部・古久根・河野・土田(抜け番は多井)。

東1局。ドラ

4者の手が遅く重い。

最初にテンパイしたのが土田。
強引に123の三色作りに向いカンをチーしてテンパイ。
テンパイ打牌のを西家の河野がポンしてテンパイ。

一人がテンパイをすると、ドミノを倒したようにテンパイが入っていく。
親の阿部にもテンパイが入り結果は古久根の一人ノーテン。

東1局1本場。

最速のテンパイは古久根。
7巡目にチートイツのテンパイを入れ、待ちを探りはじめるヤミテン。

追いついたのは阿部で9巡目、

 ドラ

このタンヤオ三色に飛び込んだのが河野。

このヤミテンの7700は痛い。
イーシャンテンの河野には、止め切れない牌だ。
この放銃は体勢の差なのか。

東1局2本場。

阿部に手が入る。

11巡目の選択。

 ツモ ドラ

阿部の選択は打のテンパイ取らず。
が場に2枚切れとはいえどうなのだろう。

13巡目にをポンしてのテンパイだが、この時点で阿部のアガリはなかった。
もう山にアタリ牌がないのだ。

しかし、11巡目のテンパイ取りでもおそらく阿部のアガリはない。
こちらの牌も使い切られている。
河野を除いた3人テンパイの流局。

東1局3本場。

を叩いた阿部が古久根から出アガる。

  ロン ドラ

7700の3本場は8600。

東1局4本場。ドラ

親の阿部が手牌をぶくぶくなまでに広げていく。
タンヤオ形だが、メンゼンテンパイから即リーチの思惑か。

叩ける時に叩けるだけ叩く。ビッグイニング作りの狙いが伝わってくる。
古久根がピンフのみのヤミテン。親落としに成功した。
放銃は土田だが、思いは犠打かもしれない。

東2局。

阿部の手が軽く早い。6巡目に

 ドラ

のテンパイ。

ヤミテンなのはイーペーコーか三色の手替わり待ちだろう。
今の阿部の態勢なら、手替わればおそらくリーチに踏み切るのだろう。

しかし、手替わる前にロン牌が出て2000点。

東3局。ドラ

この局も阿部のアガリ。一通の手替わり待ちのうちにツモってしまう。

東4局。

河野のテンパイが12巡目。

 ドラ

ドラを対子にしてのリーチだが、実はそれより早く阿部にテンパイが入っていた。

阿部のテンパイは10巡目。

 ドラ

受けの良し悪しなど関係ない。
態勢に差があれば、のリャンメンよりカンが勝つのは自明の理なのか。

リーチの河野がを引かされてハネ満の放銃。

阿部が東場で3万点以上を叩きだした。

南1局。

終盤テンパイが入っているのは土田だけ。

手牌は

 ドラ

流局間際にイーシャンテンの阿部がで放銃。

8000点をアガッた土田本人がびっくりしていた。
後ろで観戦していた私のメモには「ナメ打ち?」と書かれた不思議な放銃。

どうやら、阿部は最終ツモでテンパイを果たし、連チャンして、まだまだ得点を叩きだす思惑があったらしい。
より貪欲に戦う意思表示だ。

南2局。

河野が10巡目にリーチ。
積極的に出たものだが、果たしてどういうものか。

 ドラ

確かに高めのツモならマンガンだが、リーチ打牌がである。
彼我の態勢を考えれば、打のヤミテンか、打のリーチが取るべき手段ではなかったか。

相変わらず好調の阿部が追いついたテンパイが

 ドラ

またしてもメンホン。
ハラハラしたが流局。

南3局1本場。

親の河野が連チャン志向の仕掛け。
このままではロクなことにならないと土田も仕掛けテンパイを入れる。

阿部のリーチが10巡目。

 ドラ 

マンガンあれば、もはや手替わりを待つ必要すらない。

河野のツモ切り牌が阿部への一発放銃牌になった。
集中力の切れた河野。坂を転がり落ちる石。

南4局。ドラ

河野が敗戦を認めるアガリ。
チートイツのみの1600だが、これが次回以降につながれば、と思う。

阿部 +52.5 土田 +9.4 古久根 ▲15.2 河野 ▲46.7

5回戦

並びは親から阿部・多井・土田・河野(抜け番は古久根)。

東1局。ドラ

親の阿部が11巡目にリーチ。

土田がそのリーチをタンヤオで捌きにいく。
ドラのまで打ちだしての1000点仕掛けだが、2フーロ。
メンゼンで指をくわえて見ていられない危機感がある。

しかし阿部のツモアガリ。

 ツモ ドラ

4000オールのツモ。

東1局1本場。ドラ

土田が3巡目からポンの仕掛け。
テンパイの入った多井のもポンして、ホンイツのツモはマンガン。
やっとエンジンがかかってきたか。

東2局。
阿部が12巡目にリーチ。

 ドラ

高めのツモは3000・6000。
阿部の勢いは止まらない。

東3局。

土田の3巡目の手牌。

 ツモ ドラ

当然のテンパイ取らずで打

7巡目のツモでもテンパイ取らずの打

親だけにドラドラの役ありテンパイなら取ってしまいそうだが、そこは土田浩翔。

待望のを引き入れたのが11巡目。
で高めリャンぺーコーのテンパイとなる。

態勢の違いをヤミテンでカバーするも、流局。

このあと誰もアガれない流局が続く。

東3局1本場。ドラ

土田が5巡目ポンから仕掛けて一人テンパイの流局。

東3局2本場。ドラ

土田のリーチに他者は向かえず、連続の一人テンパイ。

東3局3本場。ドラ

河野のリーチ、多井もピンズ仕掛けが入り土田の連チャンもここまで。
4連続の流局となる。

東4局4本場。ドラ

親の河野がリーチを打ち、他者はオリて一人テンパイ。

これで5連続の流局だ。

東4局5本場。

重苦しい流局が続いたがこの状態を抜け出したのは、やっぱり阿部だった。

土田と多井が仕掛けを入れる中、阿部のリーチ。

 ドラ

単騎以外はどの待ちに取っても三色が崩れてしまいそうなだけに多メンチャンを優先しリーチと出た。

実は河野がそれより先にひっそりとヤミテンを入れていた。

 ドラ

河野のツモ切りはお約束の阿部への放銃牌。
安めながら一発放銃は5200。

南1局。また阿部の親番が回ってきた。

10巡目のリーチ。

 ドラ

ドラ入り高め一通のピンフリーチ。
安めのツモながら、開かれたウラドラがその。結局は6000オール。

南1局1本場。ドラ

ここまでアガリのない多井だが、渾身のポンテンタンヤオ、300・500のツモで阿部の親を流す。

南2局。

前局で初アガリの多井だが、ここまで放銃もない。

それでいて持ち点が9300点まで追い込まれている。
このことが、この乱打戦のすごさを物語る。

そしてここから多井の逆襲が始まる。
この乱打戦の主役はここから多井に代わる。

多井の10巡目のリーチ。

 ドラ

ドラ入りチートイツ。

待ち牌は奇しくも古久根がアガッた牌と同じ

並びトイツが3組という、これもS級の対子理論らしい。
当然のようにツモって6000オール。

南2局1本場。

続いて多井がたたみかける。

9巡目のリーチ。時間はかかったが

 ツモ ドラ

ピンフ三色は4000オール。

南2局2本場。

河野の意地のアガリが出る。

 ドラ

でリーチ。
ツモで2000・4000。

南3局。

流局間際、場に2枚切れのを河野がツモ切るとそれが多井にジャストミート。

 ドラ

前局の身入りをほぼ全部吐き出させられる。

南4局。

このハンチャン後半の多井の集中力は、最後まで続く。

8巡目リーチで1発こそなかったものの2巡後には

 ツモ ドラ

ハネ満のツモは南場だけで50000点を叩きだした。

阿部 +45.7 多井 +30.4 土田 ▲21.4 河野 ▲54.7

第3節終了時

第3節結果

阿部 +62.1 多井 +28.9 古久根 ▲1.7 土田 ▲44.3 河野 ▲76.0


総合成績

阿部 +111.6 土田 +83.9 河野 ▲12.3 多井 ▲28.9 古久根 ▲185.3

あとがき

究極の乱打戦となった第3節。
親役満放銃の多井がプラスを計上し、役満和了の河野が大幅なマイナスをするという派手な打ち合いは観ていて面白かった。
野球に例えればデッドボールやパスボールもたくさんあったし、タイムリーエラーも出た。
しかし、場外ホームランも見ることができた。
緊迫した投手戦はまたの機会に取っておくことにして筆を置く。

(文中敬称略 文責:真下修)