優勝は新鋭内田良太朗! |
12月14日、スプリントトライアル最終戦であるウラヌスカップが開催された。 今回の予選システムは、抽選により3ブロックに分かれ、各ブロック上位者が準決勝に進出するというもの。 内田 良太朗(一般) +76.6 上記スコアは準決勝終了時のポイントを半分にしたもの。内田のアドバンテージが大きいため、優勝するためには他の3人は大きいトップか内田を沈ませてのトップが条件となる。 内田 優勝のみ 決勝進出が2回目となる吉田のみファイナルが確定しているが、当然優勝を狙ってくるであろう。福田は吉田優勢で自身のトップが難しくなった時、内田の順位を落とす戦略も有りとなる。全員条件を把握した所で決勝戦が開始された。 東1局、西家の吉田が配牌リャンシャンテンから電光石火の4巡目リーチ。程なく3,900を、好形の手牌で押す南家さくらいから出アガる。 この言葉からもわかるように、彼はどんな形であれ自身が主人公になることを本懐とするタイプ。1回限りの決勝戦では、東1局、立ち上がりでの感触はこの後の展開を指し示すと言っても過言ではない。自分だけが主人公、この手は当然アガれる、と信じていたさくらいにとって、相当先行き不安な放銃であっただろう。 対していいスタートダッシュを切れたのは吉田。 準決勝は時に決勝以上のドラマや名場面を生み出す。それは決勝戦の場を目指すため持てる力を駆使して、必死に麻雀と向き合っているからに他ならないと思う。準決勝で吉田は東場で持ち点が箱下を割り絶望的な状況となるが、オーラスの親で怒涛の追い上げを見せトータル4番手に滑り込んだ。前回のサターンカップに続いての連続決勝進出は見事の一言に尽きる。この決勝でも吉田がキーマンになるのは間違いなさそうだ。 東2局。親のさくらいが5巡目にテンパイ一番乗りだが、待ちが悪いためダマテンとした9巡目。 ドラ ツモ さくらいは打切りリーチとドラ絡みノベタンを選択。 ツモ 打 と強烈なイーシャンテンになる。 ツモ となり、ノータイムで打切りリーチを選択。自分からドラが1枚も見えていない状況であり、一手変わりのサンショクも見えるため、ダマテンという選択肢も十分にあるように思えた。 だが、彼の攻撃的なスタイルからして見れば、この状況でダマテンにするという事はないのだろう。吉田もをチーして高めマンガンテンパイを入れるが、3者の攻め合いを制したのはスタイルを貫いた内田。 しかし東3局、親番の吉田がまたも5巡目の先制リーチ。結局誰も追いつけず、ツモアガリ。 ツモ ドラ 裏 裏が2枚のって4,000オール。吉田もこのアガリにかなり手ごたえを感じたであろう。逆転優勝に向けて大きく前進する。 ドラ アガリ牌はが場に1枚出ているのみで、山に3枚生きている。しかも共に他家は手牌に組み込むのは難しく、前に出ようとするとすぐに打たれるだろう。非常に有効なリーチだ。
とテンパイするが、ツモで打と1シャンテン戻し。その後有効牌は引けなかった。 南2局1本場、さくらい最後の親番。西家内田のマンガンリーチを受けつつ、執念で形テンを取る。 ドラ さくらい「多分最後のチャンスであり、見せ場かなと思っていたので、安手をアガる気はなかった」 さて、続く南3局は内田が2,600を福田からアガり、この半荘の2着目に浮上する。さくらいを潰しファイナル進出にだけ焦点を合わせていた福田にとっては痛恨のフリコミだ。 思えば前局のピンフのみを、リーチとする選択も十分にあった。次局親の吉田が攻め返してくることは余程の手でない限りあり得ないし、トータルで吉田1位、福田3位以上を現実化するには、例え裏ドラがのらずともわずかな加点がオーラス条件を大きく緩和する状況であった。 そして迎えたオーラス。トップ目は吉田だが、トータルで内田を逆転するにはハネマンツモか5,200の直撃が必要だ。すでにファイナルへの進出は決まっているのだが、その目は優勝しか見ていない。そういう男なのである。 福田が11巡目に、 ドラ テンパイするも、リーチして内田直撃のみしか条件を満たさないこの状況では、ほぼ不可能である。前局の2,600フリコミが、そして前々局のダマテンが、大きく響いてしまっていた。彼には吉田がアガリきってくれることを祈るしかない。 ツモ 巡目から言っても最後の選択となるだろう。関連牌で場に出ているのは2枚、1枚、2枚、1枚、1枚だ。吉田は打とツモで無条件ハネマンとなる456のサンショク目を残す選択をした。さくらいがソウズに染めており、周りを引いて高目イーペーコープラス一発ないし裏ドラという期待をするわけがない。 ドラ 仮に吉田が打のリーチ後も福田が打とし、さらにさくらいがをチーすることが条件で、かなり結果論となってしまうが、実際の裏ドラはで、逆転していた可能性も有り得たのだ。 かくして、この局をオリきった内田がウラヌスカップ優勝となった。 彼は決勝までのポイントからして、攻撃特化の選手のように見受けられるが、実際には状況を把握した受けを随所に見せ、数少ないアガリ番を最高点で(組まれた手牌の中での意)しっかりアガリ切ることに長けている。 (文中敬称略 文責・江原 翔) |