7月5日、RMUリーグ第4節が麻雀柳勝どき店にて行われた。
1~3節では役満が三度飛び出すなど、打撃戦の様相を呈しているが、随所にS級ならではと感嘆させられるような読みの鋭さや、膨大な経験則から生まれる、効率などでは語ることの出来ない打牌が確実に存在している。
RMUリーグでは1回戦が始まる前に、対局者である5人がコメントをする。前節までの対局内容についてであったり、今日の対局に臨むにあたっての心構えであったり各人それぞれではあるが、非常に面白い試みであると思う。
対局前の選手から生の声が聞けるというのは、今までなかったものだし、心意気や迫力、オーラみたいなものまで伝わってくるものなのだ。
これは文章に直してしまうと、ニュアンスや口調に垣間見える感情などが伝わりづらい。
ぜひ直接観戦に足を運んでいただいて、麻雀以外の部分まで味わって欲しいと思う。
前置きが長くなってしまったが、前節までの成績と共に各選手のコメントを紹介しよう。
古久根英孝(▲185.3)
「前節はやっと自分らしい麻雀が打てた。数字的には少し離れてしまったが、まだ3節が終わったところ。巻き返していきたい。」
多井隆晴(▲28.9)
「1節から3節までの牌譜を読みこんできました。目の前に見えるモノだけにとらわれずに、立体的な麻雀を打ちたい。」
河野高志(▲12.3)
「前節は不甲斐ない麻雀を打ってしまった。内容はもちろん、それに付随して結果が付いてくるような麻雀を打つ。」
土田浩翔(+83.9)
「後半になるにつれて、内容が悪くなってしまっている。最後まで集中力を切らさずに、感性を研ぎ澄ませて打つ。」
阿部孝則(+111.6)
「内容や結果はもちろん大切だが、この5人で打つ麻雀の中で、自分自身の課題と向き合っていきたい。」
メモを片手に、コメントを聞いていて感じたことがあった。
各選手のRMUリーグに対する想い。そしてそれ以上に、麻雀界最高峰と言って過言ではない、この5人のS級ライセンスプロ達であって尚、課題や目標を持ち、己の打つべき麻雀を模索しようとする姿に麻雀という山の高さを見たような気がした。
1回戦
起親から河野、土田、多井、古久根の座順に決まる。抜け番はトータルトップの阿部。
この観戦レポートを担当することが決まった時、この1回戦に焦点を当てたものを書こうと決めていた。
というのも、全5回戦のアガリの牌姿や点棒移動を書き連ねるのは個人的に違和感を感じていた。もちろんレポートなのだから、それが本来あるべき形なのだろうとも思うのだが、少し違った角度からRMUリーグというものを、S級ライセンス5人によって創造される麻雀というものを伝えてみたかったのだ。
なぜ1回戦なのか。
これまでの3節を振り返ると、誰の目にも明らかな不調からなかなか脱せない古久根。役満親かぶりが2度と親の役満へ放銃を考えればポイント的には戦えているのだろうが、どうもらしさが出ていない多井。第1節に四暗刻をアガり、勢いに乗るかと思われたが、いまいち突き抜けきれない土田。前節で親の役満をアガったものの、その後まさかの3ラスで傷口を広げてしまった河野。
当り前の話ではあるが、手合いのレベルが高くなればなるほど、その戦いは拮抗する。その中で、もがきながらも今まで培ってきた、自分の麻雀をぶつけ合うのだ。
その戦いの中で、未だ完全燃焼しきていない四人の麻雀をクローズアップしてみたかったのだ。飄々と物静かにトータルトップをいく阿部が抜け番であるこの1回戦への臨み方、そういう視点で、折り返し手前の第4節を見ていきたいと思う。
東1局
前3節があったとはいえ、第4節としては初戦の東1局。各選手がどのように戦いに入っていくのか興味深くあったが、やはりというべきか、開局から個性のぶつかり合いになった。
起親の河野に手が入る。 、 と立て続けにソウズが埋まり、6巡目にはイーシャンテンに。9巡目には絶好のドラ を引いて、12,000のテンパイを果たす。
            ドラ
入り目に勢いというものがあるのならば、リーチをかけて6,000オールをツモりにいくという選択もあるのかもしれないなと思っていると、河野はノータイムでダマテンを選択。
河野がテンパイを入れた時の土田の手牌が
            ドラ
東はションパイで誰の手にも持たれていない。フラットな見方をすれば、やや危険に見える だが、漠然と土田が を河に置くことはないのだろうなと思った。
ここから数巡ツモ切りを繰り返し、 をツモったところで、 のトイツ落としへ移行し、14巡目に河野がツモ切った をチー。 になんらかの懸念がなければ、この仕掛けは成立しないだろう。河野が前巡にドラを手出し(空切り)していることとの関連性ももちろんあるだろう。東が当てにできない状況ではチーするしかアガリがないと踏んだのだ。
北家の古久根は3巡目にリャンシャンテンとなるが、その後ツモがきかず、下家の親をケアしながらの打牌となるが、河野のドラ切りを見てギブアップ、オリに回る。
親がドラを切り、その下家が仕掛けを入れた13巡目。
東1局とはいえ、状況は煮詰まりすぎているほど、煮詰まっている。
この場面で西家多井がリーチ。
            ドラ
前巡に三色が崩れる を引き、息を潜めるようにダマテンを入れていた。
西が出ればアガれるテンパイ は1枚切れであるから、妥当なダマテンだと思っていた。しかし、土田のチーに呼応するように、食い流れてきた を空切りしてリーチと切り込んだのだ。
食い流れてきた を見て、土田の仕掛けにズレがあるとみたのか、強引に主導権を取りに行ったのかはわかりかねるが、ある意味で非常に多井らしいリーチだなと感じた。
結果は15巡目に河野の4,000オールのツモアガリとなった。
河野のダマテン、土田のチー、多井のリーチ、古久根の丁寧な打ち回し。
それぞれの個性がぶつかり合いながらも、絶妙なバランスの上に成り立っている1局であったと感じた。
東1局1本場は多井が6巡目にピンフドラ1でリーチを打つも、土田、古久根は早々と退散し、終盤まで粘った河野もオリにまわり流局。
東2局2本場
親の土田の配牌が
             ドラ
そして第1打が 。紛れもなく土田流である。宇宙流である。結果から言ってしまえば、河野からドラ2枚使いのリーチが入ったこともあり、ノーテンで流局してしまうが、こういう細かい部分にも、プレイヤーの矜持が見られて、毎局毎局が非常に濃密で面白い。
東3局3本場は、ここまでじっと耐えてきた古久根がその技術力を魅せる。
配牌にも恵まれ2巡目には以下の手牌に
            ツモ ドラ
手拍子で をツモ切ってしまいそうになるが、東を鳴いたところで愚形待ちが残る1000点のテンパイにしかならない。ならば、メンゼンで進めリーチといったほうが、打点力や相手に対する脅威も強力になる。テンパイが遅くなったケースで 待ちになった時の河の印象もかなりの違いがあるように思う。
古久根は親の現物である を残し、打 とした。経験則と理が結実した、バランスの良い1打である。
次巡、構想通り を引き入れて、即リーチ。4巡後には高目をツモアガり、2000.4000。
            ツモ ドラ 裏ドラ
手応えのありそうなアガリだ。
東4局
前局をアガった古久根が親番で仕掛ける。發とダブ東を続けて仕掛け、8巡目に
          ドラ
マンズが高い場況でもないので、ホンイツに行く選択もあったと思うが、 、 と切ってきている河野のスピードも加味してか、ここは自然に打 。
しかし、数巡後 、 と続けて引いてしまう。この時点でまだ河野はイーシャンテンのまま。
これは私見であるが、河野は戦略的に字牌を扱うタイプではないように思う。打ち出されるのは手牌に忠実な牌である。だからこそ古久根はテンパイを取ったのだが、現実にはホンイツに移行するのが、最速のアガリだった。結果論ではなく、好調時ならば古久根は のトイツ落しをするという確信がある。誰もが首を傾げるRMUリーグにおける古久根の不調は、このような間合いの取り方のズレも一因になっているのかもしれない。
終盤に河野もテンパイを入れ、古久根との二人テンパイで流局となった。
東4局1本場
結果を先に言ってしまえば、古久根が河野にハネマンの放銃となる局である。
「前局と本局には何の関連性もない」麻雀におけるデジタルといわれる考え方の基本条理の一つである。それに則ってしまえば、たまたま運が悪かった、打つこともあれば打たないこともある。そう結論付けるのだろうか。
そのような考え方があることは理解できるが、そういう言葉で片付けられはしないものが、麻雀の深淵には横たわっていると、やはり思わされてしまう。
7巡目に古久根の手牌が
            ツモ ドラ
自分以外の三者の切り出しが若干変則的だが、ここでは 以外に切る牌はない。
打 とすると下家の河野がポンして打 。
次巡 をツモ切ると河野がロン。
           
ホンイツ小三元の12000。このアガリだけを見て単純に、前局からのアヤだとか、当然の帰結だとか言うつもりは全くないが、アガリ形を睨むように見つめる、古久根、土田、多井の表情に、なにか共通の認識があるのではないかと思った。
東場終了時の持ち点は以下の通り。
河野55,500点
土田20,200点
多井20,200点
古久根24,100点
南1局
南入しても、各人の自己主張は止まない。この局も四者の手牌がぶつかる。
最初のテンパイは多井。
             ドラ
ピンズのホンイツ模様の河野とのぶつかり合いを避けて、5巡目に上記の手牌からテンパイ取らずとすると
次巡 をツモってのリーチ。
            ドラ
先に仕掛けていた親番河野も、リーチ同巡に切られた をチーして、ホンイツのテンパイ。
         
最後の チーに関しては、様々な考え方があると思う。チャンタが付けば12,000は確定するが、リーチ者以外からの の出アガリは期待しづらいので、5,800でも良しとポンした方がアガリがあるような気もする。
下家に2枚鳴かせた古久根だが、こちらもチートイドラ2のイーシャンテン。形だけなら勝負手だが、残りの3牌がいずれもションパイの字牌というのはキツイか。
           
土田も河にチュウチャンパイを並べて、チートイツのテンパイを入れていた。
河野がリャンメン待ちにしていれば、ロン牌となっていた を多井がツモ切る。古久根はピンズを引かされた所でオリとなる。
土田はピンズを押したものの、自分で5枚使いとなる多井のアガリ牌を止めて、チートイツからホンイツトイトイへ移行する。
           
次巡土田が をポン。この仕掛けで多井が河野への放銃となっていた が土田の元へ。スジではあるが、これが切りきれずに土田もここまでの様子。
最終的には多井が安目ではあるがマンガンのツモあがりとなった。
全員がギリギリまで踏み込んで創られる。そんな局、半荘がこのRMUリーグにはいくつも存在している。
南2局 ドラ
古久根が6巡目に配牌から抱えていたドラを重ねてイーシャンテンに。
それに合わせるように、土田、多井もイーシャンテンとなり追いつく。不思議なもので、牌譜を追っているとこういうケースに良く遭遇する。巡目が進むにつれシャンテン数が減っていくのは当たり前だが、時に呼び合うように、手牌が同じような速度で進んでいくことがあるのだ。オカルトだとか、そういう印象が強いだけだと言ってしまえばそれまでだが、不思議だなと思いつつも、この5人で打っていれば、こういうことが起きるのも当然だと思う気持ちも心のどこかに確かにあるのだ。
テンパイ一番乗りは土田。11巡目に
            ツモ
少考後打 としダマテンとした。
古久根がテンパイを果たしたのは奇しくも土田のテンパイと同巡だった。
            ツモ 打
リーチを打つが、この時点で山に残っているのは が1枚だけ。
同巡土田は入り目の をつかんでしまう。待ちが絞りづらい古久根のリーチに対して、現物の を切り、一歩後退。その にチーの声をかけたのが多井。
           
は古久根の現物となっており、1,000点の手だがアガリがあれば、その価値は大きい。難を言えば、多井の河がマンズのホンイツっぽくも見えることか。勝負手をぶつけているようにも、見ようによっては見えてしまうかもしれない。2巡後に無筋をつかみオリることになるのだが、これもまた土田がオリた牌と同じ だった。
親とはいえ土田の手は押して行ける手ではないし、多井の仕掛けも瞬間芸的な要素を持った仕掛けなのは確かだが、リーチ者の入り目を止めてテンパイを崩したところに、やはり対局者の中の共通認識を感じてしまうのは私だけだろか。
一人旅となった古久根のリーチだったが、ツモることはできずに、一人テンパイで流局となった。
南3局1本場
イーシャンテン、テンパイまではいくものの、なかなかアガリに結び付かない古久根だったが、この南3局では、
            ドラ
この配牌から、淀みない手順でテンパイを果たす。
            ドラ
ツモ の打 のテンパイである。なんとも古久根らしいなと感じた。
南1局のマンガンツモで2着に浮上した多井も、この親番はそう簡単に落としたくはない。
その7巡目の手牌が、
            
前巡 をツモってノータイムでドラを切っている。
どういう風にテンパイするのかな、などと考えていると、古久根からツモの声。
山に3枚生きのカン をツモり、大きなマンガンツモとなった。
南4局
オーラスでの持ち点は以下の通り。
河野48,400点
土田15,100点
多井23,100点
古久根33,400点
古久根が親なので、全員マンガンツモで着順が一つ上がる状況だ。
もちろんそれを狙いに行くのが本筋なのだろうが、リーグ戦ということを考えれば、残りの27半荘を見据えての麻雀を打つということも大切になる。
考え方はそれぞれだが、この局に関しては、三者とも上を狙いに行った。
多井は中チャンタのリャンシャンテン。
            
土田は平凡な配牌をジュンチャンイーペーコーのイーシャンテンへ。
            
親の古久根はドラは1枚ながらもチートイツのイーシャンテン。
            
それぞれが形を作りにいく姿勢をみせる。無理に手役を深追いして、着順をキープする打ち方をしないのはヌルいのではないかという見方ももちろんあると思う。けれど、その妥協点ギリギリまで可能性を追うのが、プロの麻雀なのではないかとも思う。
結果は最も軽い配牌をもらった、条件のない河野が土田から2600をアガり半荘終了となった。
            ロン ドラ
前3節と比較することに意味はないかもしれないが、これまでと比べると、四者が四者ともに「らしさ」を存分にみせた1回戦の戦いだったと感じた。
もっとも、土田は対局終了後に語ってくれたように、終始受けを意識していたようだったし、古久根の読みや手組みの精度も、好調時とは違っただろうが、要所を締めて2着を守った。多井にしても、調子が上がるにつれもう少し思いきりの良い打牌がでてくると思う。河野は持ち前のふてぶてしさを発揮してトップを取った。
トータルトップの阿部がこのまま走ってしまうことはない。もっともっと混戦になっていく。そんなことを予感させるには十分な戦いだった。
河野+36.0 古久根+8.4 多井▲14.5 土田▲29.9
2回戦
起親から多井、河野、阿部、古久根。
東1局
10巡目、親の多井にいきなり大物手が入る。
            ドラ
これに高目のドラで飛び込んでしまったのが、先に仕掛けをいれテンパイしていた古久根。2,600点のカン テンパイだったが、点数よりも精神的なダメージが気になった。
東1局1本場
突然ですが、何を切りますか?
東家 8巡目
             ドラ
関連牌は が場に3枚、 が1枚切れていて、 はションパイです。
個人的に打 のダマテンに構えることが多い。しかし打っているのは多井隆晴。 を叩き切ってリーチを打つだろうと確信していた。抜け番で観戦中の土田も興味深そうな顔で卓を見つめている。少し呼吸を置いてから、やはり多井は打 のリーチとした。
しかし、リーチ時に5枚生きだった が多井の手許で踊ることはなかった。対局終了後、多井に「ずいぶん考えていましたね」と質問すると、「前局の12,000をどう捉えていいのか、はっきりわかっていなくて迷っちゃった」と答えてくれた。つまり前局のアガりが体勢的な観点で良いアガリだったのか、イレギュラー的なアガリだったのか、その判断が待ち取りやリーチ判断に迷いを生じさせたということだった。なるほどと思うと同時に、その先の答えが気になり、観戦していた土田、 をつかんでいた古久根の両氏に質問し検証してみたが、カン のダマテンでもアガリはなかったのではないかと結論付けられていた。
東1局2本場
多井の連荘は続く。6巡目、
             ドラ
ソウズの場況が良いと判断し、ここから打 のテンパイとらず、次巡構想通りのツモ でリーチ。
            ドラ
最速最強っぽいリーチだなと思っていると、メンホンのテンパイが入った古久根から が出て、5,800のアガリとなった。
東1局3本場
古久根のリズムが悪い。これ以上の連荘を止めるべく、3巡目に仕掛けを入れると4巡目に河野からリーチがかかる。
            ドラ
同巡にテンパイするも、すぐに をつかみ3,200は4,100の放銃となってしまう。
多井の親は流れたものの4局連続での失点はかなり痛いだろう。しかし古久根の表情に焦りは見えなかった。
東2局は親の河野が11巡目リーチの一人旅。しかしツモることはできずに一人テンパイで流局。
東3局
ここまで、多井の連荘にも河野のリーチにも付き合わず、静観していた阿部が高目イーペーコーのピンフをダマテンで河野からアガって親番を迎えた。
なんとも気持ちの悪い阿部の親。東4局は2打目にダブ東を河に置いた、阿部の切り出しが強く、三者とも引き気味に打って、阿部の一人テンパイ。
1本場で打点が欲しいであろう古久根が、 アンコのリャンメン待ちをダマテンにして、1,300のアガり。リーチといってしまいたくなるが、それよりも大事なことがあるということだろう。古久根の冷静さを再確認させられた。
東4局の親で古久根が多井に5,200を放銃し、
            ロン ドラ
箱を割ってしまうが、南3局に電光石火のチンイツを6巡目に河野からアガり、オーラスの親に望みをつないだ。
          ロン ドラ
南4局
阿部が何の変哲もない配牌を仕上げる。
            ドラ
これが8巡目には
            ドラ
となり、ツモ 打 で四暗刻のイーシャンテンへ。
また役満が出てしまうのか!?とドキドキしていると、チートイツをテンパイしていた河野から がでてポンテンを取る。
3巡後、古久根にテンパイが入る。テンパイしたというより、テンパイしてしまったと表現した方が良いかもしれない。熟考した末打ち出されたリーチ宣言牌はドラの であった。
           ロン ドラ
この16,000で約14,000点あった多井をまくり、阿部のトップとなった。
阿部+41.3 多井+29.1 河野▲16.4 古久根▲54.0
3回戦
起親から阿部、古久根、多井、土田
東場前半は流局と古久根の500オール、阿部のピンフツモと小場で進み、迎えた東3局。
ドラは 。まずは多井が を仕掛けて1,500のイーシャンテン。
           
土田も負けじと をポンしてトイトイのみのテンパイ。
          
古久根と阿部は河にチュウチャンパイを並べ、チートイツ志向だ。巡目こそ違うが、二人の待ちはドラの となった。
阿部
            
古久根
            
軍配が上がったのはノーミスで手を組んだ阿部。メンツ手が見えるような局面もあったが、奇妙な場に手を合わせ、チートイツに絞ったのが功を奏した。大きなマンガンとなった。
東4局は、多井がメンタンピンを一発ツモ。ツモった牌が裏ドラとなり3,000.6,000のアガリ。
            ツモ ドラ 裏ドラ
このツモに感触がないわけがない。しかしこのような手で何度もトップを決めて来たであろう多井の表情には、慢心も緩みも全く見えない。2回戦東1局の長い連荘、大きな放銃もしていない、しかし阿部の倍満によって2着へ転落してしまった。「麻雀だからしょうがない」では片付けられない大きな意味が、そしてこのRMUリーグの厳しさが、その表情に映し出されているように感じた。
そして、やはりとは言うまいが、このアガリは決め手にはならなかった。
東場のせめぎ合いと相反して、南場は四者が慎重になっているのか手探りのような麻雀が続き、南1局、2局、3局と流局となった。
2回戦の結果からか、土田は受けに回るというよりも、完全撤退せざるえない局面が多くなっていき、古久根は受けながらも、なんとかテンパイしテンパイ料を重ねていく。
そして迎えた南4局3本場
持ち点は以下の通り。
土田14,100点
阿部33,200点
古久根32,600点
多井40,100点
阿部、古久根は3本場なので1,300、2,600のツモアガリでトップとなる。
多井はタンピン系の手牌だが、なかなかリャンメンが埋まらない。仕掛けるには少し遠いし、反撃されたときに受けがなくなってしまう。それでも仕掛けて行くのかなと思っていたが、結局動くことはなかった。
8巡目古久根が長考に入った。その時の手牌が、
            ツモ ドラ
このままピンフのみまたはタンピンをアガれば、阿部をかわして2着浮上。 をツモるか、裏ドラが1枚乗ればトップまで行くという場面。
は場に2枚切れ。即リーチの選択ももちろんあったと思うが、古久根本人にしかわからない感性が働いたのだろう、そして決断の一打は を空切りしてのリーチ。
これを一発でツモりあげた。裏ドラは乗らず、まさに針の穴を通すような、ピンポイントのアガリだった。
これで古久根は先ほどのラスを解消するトップ。多井は2戦連続のまくられとなってしまった。
古久根+23.7 多井+13.5 阿部▲3.4 土田▲33.8
4回戦
起親から 土田、河野、古久根、阿部
3回戦まで終始守備的な麻雀を打ってきた土田が、その状況を打破するためなのか、あるいはシステムに殉じたものなのか、強烈な仕掛けをいれる。
           
ここから をポン。セットなどで打つ実験的な麻雀ではない公式戦において、この牌姿から仕掛けるのは勇気がいることだと思う。少なくとも私は怖くて声が出ないだろう。
これは一つの「強さ」だ。自分の状態が悪いと判断を下した時に、躊躇なく戦線に飛び込んでいこうとする、その心の強さそのものだと思う。RMUリーグには、見習うべきところ、学ぶべきところ、努力すべきところ、たくさんの発見が転がっている。
7巡目には
           
のイーシャンテンまで漕ぎつけ、数巡のツモ切りの後、河野からタンピン3色のリーチ。同巡 を重ねると、ノータイムでドラを勝負。その後もここだけは引かないとばかりにすべてを切っていく。
結果は流局となったが、その気迫にあてられたように、ペンを握る手が汗ばんでいた。
次局はドラの が散らばり、全員ノーテンで流局。
しかし東1局の仕掛けを機に、土田の姿勢がより攻撃的にシフトしていく。
東3局には古久根が、場況を読み切った会心の4,000オールをアガる。
            一発ツモ ドラ
先ほどのトップで古久根の表情や牌捌きにも躍動感が見てとれる。
その土田、古久根の気迫に押されてか、河野は東場ではアガリがなく、阿部も手牌進行を読み間違えて、チャンス手であったメンホンチートイツの単騎選択にミスがでてしまう。
しかし、そこはS級ライセンスの猛者達、それだけでは終わらない。点棒の動きが小さくなった南場前半で落ち着きを取り戻したのか、南2局に阿部がリーチ。
            ドラ
今日の戦いでこのような手は、リーチをかけずに交わし手のようなニュアンスで使っていた阿部が、勝負所とみたのか。安目ながら裏ドラが乗り2,000、4,000のアガりとなった。
河野もリーチを効果的に多用し他者にプレッシャーをかけにいくなど、食らいつくような戦いをみせる。
南4局
トップ目の古久根が40,600点。追う二番手土田が27,800点、ハネマンツモがトップの条件でもらった配牌が
            ドラ
土田は一色手まっしぐらとばかりに、マンズを集める。
12巡目までに 、 、 と引き込み、リャンシャンテンへ漕ぎつける。厳しいことは厳しいが、古久根、阿部にドラが1枚ずつ行ったことによって、進行が遅くなっているのが救いか。
同巡、ラス目の河野からリーチがかかる。
            ドラ
は場に2枚切れと苦しい待ちだが、すべてが四者の手牌に死んでいるような牌ではなさそうであるし、ツモれば2着浮上となる。
このリーチで親の阿部は退却を決意。現物が少なく、河野のリーチ宣言牌であった を抜いた。
この隙を土田は見逃さなかった。
           
ここから をチーで打
2巡後、予定通りとばかりに をツモってテンパイ。
は姿を見せずに、河野がホウテイで置いた牌は であった。
果たしてどこまでが構想通りだったのか。東1局の仕掛けさえ布石だったのか。土田が「全部そうだよ」と言えば、信じてしまいそうな気にすらなる。しかし、少なくとも、強い意志と信念がなければこのアガりは存在しないのではないか。
           ロン ドラ
チンイツにホウテイがついて12,000は12,300。
土田は常日頃から、麻雀を作品だと比喩している。この半荘を観戦していて、これは紛れもなく対局者が作り上げた作品なのだと感じた。
土田+27.1 古久根+15.6 阿部▲6.4 河野▲36.3
5回戦
起親から多井、河野、阿部、土田
第4節の最終戦となる5回戦。東場は阿部の一人テンパイ、土田のピンフのみ、阿部のタンヤオのみ、多井一人テンパイ、河野がホンイツのみの2,000点と非常に小場となった。
南1局で多井が2,000オールをあがる。
           ツモ ドラ
場が動き出すかと思っていたら、この後も3局連続で流局となり、南3局を迎える。
親の阿部が先制のリーチ。
            ドラ
これに飛び込んでしまったのが、
            
このテンパイをいれていた多井。
アガッた阿部にとっても、放銃になってしまった多井にも大きな7,700は8,900となった。
5本場となった次局は土田がハネマン級のリーチ。
            ドラ
ダマテンであがっても、大きなアドバンテージになる手だが、迷わずリーチにいけるのはやはり強いなと思った。
多井もドラ2枚使いの仕掛けを入れていたが、終盤オリにまわって、土田の一人テンパイ。
南4局は親の土田がトップの阿部を追随すべく連荘する。
            ロン ドラ
4,800は6,600。
放銃した多井はタンヤオのテンパイ。アガれば2着になるテンパイだったが、またもやつかまってしまった。
さらに加点を目論む土田、今度は6巡目にこんな形のリーチ。
            ドラ
このリーチに役ありテンパイを組んだ河野が単騎選択の末、放銃してしまう。
このアガリで土田の持ち点は40,000点を超え、阿部まで2,000点差と肉薄する。
積みも積んだり8本場。土田がタンピン三色のイーシャンテンまで漕ぎつけるも、最後は阿部が自らトップを決める、チンイツをアガりきった。
         チー  ツモ ドラ
阿部+39.0 土田+11.8 多井▲20.3 河野▲30.5
第4節終了時
阿部+182.1 土田+59.1 多井▲21.1 河野▲59.5 古久根▲185.5
阿部が相変わらずの安定感でポイントを上乗せした。次位の土田との差は120ポイント程だ。この差は大きいが、土田、多井、河野、古久根も持ち味を全面に押し出し、決して阿部に楽はさせていない。
折り返しの第5節となる次節。このままで終わるメンバーではない。追われる立場の阿部の苦しさもあるだろう、巻き返しは必至である。
最後に。
当然と言えば当然の話なのだが、私の雀力は対局者の5人に遠く及びません。
それでもレポートの担当を任せていただいた限り、RMUリーグで行われている麻雀が、観る者を決して飽きさせず、数々の発見があり、技術と技術、意志と意志がぶつかり合う素晴らしい対局であることを、少しでもHPを見ていただいている方々に伝えたいと思いました。けれど、書き終えてみて、やはり全てを伝えるのは難しいなと、直接観戦に来て頂きたいなと感じました。
対局場の張りつめた空気、対局者の表情や息遣い。これだって麻雀の一部だと思います。
選手たちは、対局の合間などの時間に、どんな質問に対してもとても気軽に答えてくれます。その内容は実に真摯です。
一流プロ達の麻雀を五感で感じ取り、気になることがあればそれを訊いて。
こんなに素敵な対局はそうそうないと思います。
しつこいようですが、一度でも良いので、会場に足を運んでみてください。
次回、第5節は9月19日(土)麻雀柳勝どき店にて13時より行われます。
(文中敬称略 文責:飯島健太郎)
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