RMUリーグ第4節 |
7月5日、RMUリーグ第4節が麻雀柳勝どき店にて行われた。 RMUリーグでは1回戦が始まる前に、対局者である5人がコメントをする。前節までの対局内容についてであったり、今日の対局に臨むにあたっての心構えであったり各人それぞれではあるが、非常に面白い試みであると思う。 前置きが長くなってしまったが、前節までの成績と共に各選手のコメントを紹介しよう。 古久根英孝(▲185.3) 多井隆晴(▲28.9) 河野高志(▲12.3) 土田浩翔(+83.9) 阿部孝則(+111.6) メモを片手に、コメントを聞いていて感じたことがあった。 1回戦
起親から河野、土田、多井、古久根の座順に決まる。抜け番はトータルトップの阿部。 東1局 前3節があったとはいえ、第4節としては初戦の東1局。各選手がどのように戦いに入っていくのか興味深くあったが、やはりというべきか、開局から個性のぶつかり合いになった。 ドラ 入り目に勢いというものがあるのならば、リーチをかけて6,000オールをツモりにいくという選択もあるのかもしれないなと思っていると、河野はノータイムでダマテンを選択。 河野がテンパイを入れた時の土田の手牌が ドラ 東はションパイで誰の手にも持たれていない。フラットな見方をすれば、やや危険に見えるだが、漠然と土田がを河に置くことはないのだろうなと思った。 親がドラを切り、その下家が仕掛けを入れた13巡目。 ドラ 前巡に三色が崩れるを引き、息を潜めるようにダマテンを入れていた。 河野のダマテン、土田のチー、多井のリーチ、古久根の丁寧な打ち回し。 東1局1本場は多井が6巡目にピンフドラ1でリーチを打つも、土田、古久根は早々と退散し、終盤まで粘った河野もオリにまわり流局。 東2局2本場 親の土田の配牌が ドラ そして第1打が。紛れもなく土田流である。宇宙流である。結果から言ってしまえば、河野からドラ2枚使いのリーチが入ったこともあり、ノーテンで流局してしまうが、こういう細かい部分にも、プレイヤーの矜持が見られて、毎局毎局が非常に濃密で面白い。 東3局3本場は、ここまでじっと耐えてきた古久根がその技術力を魅せる。 配牌にも恵まれ2巡目には以下の手牌に ツモ ドラ 手拍子でをツモ切ってしまいそうになるが、東を鳴いたところで愚形待ちが残る1000点のテンパイにしかならない。ならば、メンゼンで進めリーチといったほうが、打点力や相手に対する脅威も強力になる。テンパイが遅くなったケースで待ちになった時の河の印象もかなりの違いがあるように思う。 ツモ ドラ 裏ドラ 手応えのありそうなアガリだ。 東4局 前局をアガった古久根が親番で仕掛ける。發とダブ東を続けて仕掛け、8巡目に ドラ マンズが高い場況でもないので、ホンイツに行く選択もあったと思うが、、と切ってきている河野のスピードも加味してか、ここは自然に打。 東4局1本場 結果を先に言ってしまえば、古久根が河野にハネマンの放銃となる局である。 7巡目に古久根の手牌が ツモ ドラ 自分以外の三者の切り出しが若干変則的だが、ここでは以外に切る牌はない。
ホンイツ小三元の12000。このアガリだけを見て単純に、前局からのアヤだとか、当然の帰結だとか言うつもりは全くないが、アガリ形を睨むように見つめる、古久根、土田、多井の表情に、なにか共通の認識があるのではないかと思った。 河野55,500点 南1局 南入しても、各人の自己主張は止まない。この局も四者の手牌がぶつかる。 ドラ ピンズのホンイツ模様の河野とのぶつかり合いを避けて、5巡目に上記の手牌からテンパイ取らずとすると ドラ 先に仕掛けていた親番河野も、リーチ同巡に切られたをチーして、ホンイツのテンパイ。
最後のチーに関しては、様々な考え方があると思う。チャンタが付けば12,000は確定するが、リーチ者以外からのの出アガリは期待しづらいので、5,800でも良しとポンした方がアガリがあるような気もする。
土田も河にチュウチャンパイを並べて、チートイツのテンパイを入れていた。
次巡土田がをポン。この仕掛けで多井が河野への放銃となっていたが土田の元へ。スジではあるが、これが切りきれずに土田もここまでの様子。 南2局 ドラ 古久根が6巡目に配牌から抱えていたドラを重ねてイーシャンテンに。 テンパイ一番乗りは土田。11巡目に ツモ 少考後打としダマテンとした。 ツモ 打 リーチを打つが、この時点で山に残っているのはが1枚だけ。
は古久根の現物となっており、1,000点の手だがアガリがあれば、その価値は大きい。難を言えば、多井の河がマンズのホンイツっぽくも見えることか。勝負手をぶつけているようにも、見ようによっては見えてしまうかもしれない。2巡後に無筋をつかみオリることになるのだが、これもまた土田がオリた牌と同じだった。 南3局1本場 イーシャンテン、テンパイまではいくものの、なかなかアガリに結び付かない古久根だったが、この南3局では、 ドラ この配牌から、淀みない手順でテンパイを果たす。 ドラ ツモの打のテンパイである。なんとも古久根らしいなと感じた。
前巡をツモってノータイムでドラを切っている。 南4局 オーラスでの持ち点は以下の通り。 河野48,400点 古久根が親なので、全員マンガンツモで着順が一つ上がる状況だ。
土田は平凡な配牌をジュンチャンイーペーコーのイーシャンテンへ。
親の古久根はドラは1枚ながらもチートイツのイーシャンテン。
それぞれが形を作りにいく姿勢をみせる。無理に手役を深追いして、着順をキープする打ち方をしないのはヌルいのではないかという見方ももちろんあると思う。けれど、その妥協点ギリギリまで可能性を追うのが、プロの麻雀なのではないかとも思う。 ロン ドラ 前3節と比較することに意味はないかもしれないが、これまでと比べると、四者が四者ともに「らしさ」を存分にみせた1回戦の戦いだったと感じた。 河野+36.0 古久根+8.4 多井▲14.5 土田▲29.9 2回戦
起親から多井、河野、阿部、古久根。 東1局 10巡目、親の多井にいきなり大物手が入る。 ドラ これに高目のドラで飛び込んでしまったのが、先に仕掛けをいれテンパイしていた古久根。2,600点のカンテンパイだったが、点数よりも精神的なダメージが気になった。 東1局1本場 突然ですが、何を切りますか? ドラ 関連牌はが場に3枚、が1枚切れていて、はションパイです。 東1局2本場 多井の連荘は続く。6巡目、 ドラ ソウズの場況が良いと判断し、ここから打のテンパイとらず、次巡構想通りのツモでリーチ。 ドラ 最速最強っぽいリーチだなと思っていると、メンホンのテンパイが入った古久根からが出て、5,800のアガリとなった。 東1局3本場 古久根のリズムが悪い。これ以上の連荘を止めるべく、3巡目に仕掛けを入れると4巡目に河野からリーチがかかる。 ドラ 同巡にテンパイするも、すぐにをつかみ3,200は4,100の放銃となってしまう。 東2局は親の河野が11巡目リーチの一人旅。しかしツモることはできずに一人テンパイで流局。 東3局 ここまで、多井の連荘にも河野のリーチにも付き合わず、静観していた阿部が高目イーペーコーのピンフをダマテンで河野からアガって親番を迎えた。 なんとも気持ちの悪い阿部の親。東4局は2打目にダブ東を河に置いた、阿部の切り出しが強く、三者とも引き気味に打って、阿部の一人テンパイ。 東4局の親で古久根が多井に5,200を放銃し、 ロン ドラ 箱を割ってしまうが、南3局に電光石火のチンイツを6巡目に河野からアガり、オーラスの親に望みをつないだ。 ロン ドラ 南4局 阿部が何の変哲もない配牌を仕上げる。 ドラ これが8巡目には ドラ となり、ツモ打で四暗刻のイーシャンテンへ。 ロン ドラ この16,000で約14,000点あった多井をまくり、阿部のトップとなった。 阿部+41.3 多井+29.1 河野▲16.4 古久根▲54.0 3回戦
起親から阿部、古久根、多井、土田
土田も負けじとをポンしてトイトイのみのテンパイ。
古久根と阿部は河にチュウチャンパイを並べ、チートイツ志向だ。巡目こそ違うが、二人の待ちはドラのとなった。 阿部
古久根
軍配が上がったのはノーミスで手を組んだ阿部。メンツ手が見えるような局面もあったが、奇妙な場に手を合わせ、チートイツに絞ったのが功を奏した。大きなマンガンとなった。 東4局は、多井がメンタンピンを一発ツモ。ツモった牌が裏ドラとなり3,000.6,000のアガリ。 ツモ ドラ 裏ドラ このツモに感触がないわけがない。しかしこのような手で何度もトップを決めて来たであろう多井の表情には、慢心も緩みも全く見えない。2回戦東1局の長い連荘、大きな放銃もしていない、しかし阿部の倍満によって2着へ転落してしまった。「麻雀だからしょうがない」では片付けられない大きな意味が、そしてこのRMUリーグの厳しさが、その表情に映し出されているように感じた。 東場のせめぎ合いと相反して、南場は四者が慎重になっているのか手探りのような麻雀が続き、南1局、2局、3局と流局となった。 そして迎えた南4局3本場 土田14,100点 阿部、古久根は3本場なので1,300、2,600のツモアガリでトップとなる。 多井はタンピン系の手牌だが、なかなかリャンメンが埋まらない。仕掛けるには少し遠いし、反撃されたときに受けがなくなってしまう。それでも仕掛けて行くのかなと思っていたが、結局動くことはなかった。 8巡目古久根が長考に入った。その時の手牌が、 ツモ ドラ このままピンフのみまたはタンピンをアガれば、阿部をかわして2着浮上。をツモるか、裏ドラが1枚乗ればトップまで行くという場面。 古久根+23.7 多井+13.5 阿部▲3.4 土田▲33.8 4回戦
起親から 土田、河野、古久根、阿部 3回戦まで終始守備的な麻雀を打ってきた土田が、その状況を打破するためなのか、あるいはシステムに殉じたものなのか、強烈な仕掛けをいれる。
ここからをポン。セットなどで打つ実験的な麻雀ではない公式戦において、この牌姿から仕掛けるのは勇気がいることだと思う。少なくとも私は怖くて声が出ないだろう。
のイーシャンテンまで漕ぎつけ、数巡のツモ切りの後、河野からタンピン3色のリーチ。同巡を重ねると、ノータイムでドラを勝負。その後もここだけは引かないとばかりにすべてを切っていく。 次局はドラのが散らばり、全員ノーテンで流局。 東3局には古久根が、場況を読み切った会心の4,000オールをアガる。 一発ツモ ドラ 先ほどのトップで古久根の表情や牌捌きにも躍動感が見てとれる。 しかし、そこはS級ライセンスの猛者達、それだけでは終わらない。点棒の動きが小さくなった南場前半で落ち着きを取り戻したのか、南2局に阿部がリーチ。 ドラ 今日の戦いでこのような手は、リーチをかけずに交わし手のようなニュアンスで使っていた阿部が、勝負所とみたのか。安目ながら裏ドラが乗り2,000、4,000のアガりとなった。 河野もリーチを効果的に多用し他者にプレッシャーをかけにいくなど、食らいつくような戦いをみせる。 南4局 トップ目の古久根が40,600点。追う二番手土田が27,800点、ハネマンツモがトップの条件でもらった配牌が ドラ 土田は一色手まっしぐらとばかりに、マンズを集める。 ドラ は場に2枚切れと苦しい待ちだが、すべてが四者の手牌に死んでいるような牌ではなさそうであるし、ツモれば2着浮上となる。
ここからをチーで打 ロン ドラ チンイツにホウテイがついて12,000は12,300。 土田+27.1 古久根+15.6 阿部▲6.4 河野▲36.3 5回戦
起親から多井、河野、阿部、土田 第4節の最終戦となる5回戦。東場は阿部の一人テンパイ、土田のピンフのみ、阿部のタンヤオのみ、多井一人テンパイ、河野がホンイツのみの2,000点と非常に小場となった。 南1局で多井が2,000オールをあがる。 ツモ ドラ 場が動き出すかと思っていたら、この後も3局連続で流局となり、南3局を迎える。 ドラ これに飛び込んでしまったのが、
このテンパイをいれていた多井。 ドラ ダマテンであがっても、大きなアドバンテージになる手だが、迷わずリーチにいけるのはやはり強いなと思った。 南4局は親の土田がトップの阿部を追随すべく連荘する。 ロン ドラ 4,800は6,600。 さらに加点を目論む土田、今度は6巡目にこんな形のリーチ。 ドラ このリーチに役ありテンパイを組んだ河野が単騎選択の末、放銃してしまう。 チー ツモ ドラ 阿部+39.0 土田+11.8 多井▲20.3 河野▲30.5 第4節終了時
阿部+182.1 土田+59.1 多井▲21.1 河野▲59.5 古久根▲185.5 阿部が相変わらずの安定感でポイントを上乗せした。次位の土田との差は120ポイント程だ。この差は大きいが、土田、多井、河野、古久根も持ち味を全面に押し出し、決して阿部に楽はさせていない。 最後に。 (文中敬称略 文責:飯島健太郎)
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