ヴィーナスカップ優勝は山下健治

6月1日、銀座ヤナギカルチャースクールにおいて2008RMUスプリントトライアル第2戦となるヴィーナスカップが行われた。

大会参加は52名。ルールはBルールを採用。いわゆる一発裏ドラ無しの競技ルールだ。
全5回戦を終え上位4人が決勝卓に上がる。決勝ではそれまでのポイントを半分にして持ち越し、それに決勝のポイントを加算して優勝者が決まる。
本決勝では全員のポイントが近いために、決勝卓でトップを取った者が優勝というわかりやすい図式になった。

それでは決勝に残った面子を紹介しよう。


左から中村浩三、山下健治、山谷克也、元木淳

中村浩三(決勝時ポイント129.4)
RMUアスリート。
先日のマーキュリーカップ覇者である。連続での決勝進出は見事であり、モチベーション・内容ともに充実しているようだ。
本大会史上初の連覇を目指す。

元木淳(決勝時ポイント125.4)
麻雀好きの好青年といった印象。麻雀は受けも攻めもバランスよくこなすようだ。チャンスは十分にあるだろう。

山下健治(決勝時ポイント122.7)
RMUアスリート。
昨年のアンドロメダカップに続いて2度目の決勝進出。ひたむきに冷静に麻雀を打つ姿勢は好感が持てる。悲願の初優勝なるか。

山谷克也(決勝時ポイント112.4)
2007RMUクラウンの覇者。麻雀はスピード重視の印象。2つ目の栄冠を手にできるか。

決勝は全10局と短く、展開も小場になった。

東1局10巡目、東家中村がドラ切りのテンパイ。
   ツモ ドラ

西家の山谷も仕掛けて追いつく。
   チー

しかしアガったのは北家の山下であった。
   ポン ロン
山谷から1,000点のアガリ。

東2局。南家の山谷が仕掛けて軽快にアガる。
   ポン ロン ドラ
中村から2,000点のアガリ。

東3局5巡目。東家の山谷が先制リーチ。
   ツモ ドラ
入り目が絶好でツモれば大きい。

しかし西家中村が9巡目に追いつき積極的に追っかけリーチ。
   ドラ 

実はこの時点で山谷のは山になく、が3枚生きている中村の勝ちはほぼ保障されていた。中村は首尾よくツモの1,300・2,600。

この局陰でファインプレーをしていたのが元木。123の三色イーシャンテンでツモった不要牌を止めて回っている。冷静な判断だった。

東4局7巡目。南家中村が攻める。ドラのを打って先制リーチ。
   ドラ
リーチのみだが待ちは良い。1局つぶせば優勝に1歩近づくのだ。
そこへ独走許すまじと押し返したのは東家山下。
   ツモ ドラ
この手で現物のではなく打ちづらいを叩ききって追いかけリーチ。中村からを召し取って3,900。
この局山下の手順で感心したのが、メンゼンでテンパイする直前に中村が打ったにポンテンをかけていないこと。この場合打ち出す牌がリーチに中スジのなので、私なら動いてしまったであろう。山下はどっしり構えて好結果に繋がった。

東4局1本場10巡目。西家元木にチャンス手が入る。
   ドラ
が3枚切れていたこともあり、ヤミテンに構える。
なら文句なしのハネマンだ。

北家山谷はトイトイのポンテンをいれる。
  ポン ドラ
ツモってサンアンコをつけたい手だ。がキー牌となるのか。

しかしアガったのはまたしても山下。
   チー ロン ドラ
元木から1,500は1,800。
危険な気配を察知したかタンピンサンショクを見切ってチーテンをとり、そしてアガリきる。本人はわからないかもしれないが、大きなアガリとなった。

南1局。ここで波乱が起きた。
まず西家山谷が積極的に動く
   ポン チー チー ドラ

それに対してドラ2枚の元木がカンでリーチ。
  ドラ

山谷のはテンパイ時にすべて他家に押さえられていて純カラ。
そして元木のも山下が4枚持ちでこれも純カラ。
当然流局かと思いきや、終盤手詰まった山下が中スジを追って放銃してしまう。
トップ目からオリウチで5,200。心中いかばかりか。

南2局、東家元木。アガって親を迎え気分よく先制リーチ
   ドラ

しかし1度もツモらせてもらえない。
西家山下。
   ロン ドラ
リーチと同巡にテンパイした山下、親リーチの現物待ちなのでヤミテン。
さきほどの放銃はひきずっていないようだ。

オーラス流れ1本場(供託1本)。
小場なのでまだ全員にチャンスがある。
得点状況と優勝条件は以下の通り。
中村 28,700 山下から2,000、他からは3,900以上の出アガリ、または700・1,300以上のツモアガリ。
元木 26,900 山下から3,200、他からは5,800以上の出アガリ、または1,000・2,000以上のツモアガリ。
山谷 29,600 山下から1,600(1,300で同点トップだが決勝進出時のポイント差で足りない)、他からは3,200以上の出アガリ、または500・1,000以上のツモアガリ。
山下 33,800 流局1人ノーテンでOK。しかし他家の条件があるのでアガれる手ならアガりに向かうべきか。

山谷がを仕掛けるもテンパイが入ったのはツモが残り1回という局面。さすがにアガれず、流局となった。

優勝 山下健治
「今日は恵まれていたと思います。二回目の決勝なので緊張せずに打てました。最後まで山谷さんを警戒していました」

2位 山谷克也「自分なりに精一杯やりました」

3位 中村浩三「東4局のリーチのみの手でふたをしてしまったのがもったいなかったです。放銃して失ったリーチ棒は大きいですから」

4位 元木淳「悔しいです。南2局の親で待ちでリーチすればよかったか…」

最後まで誰が勝つのかわからない戦いだった。ただ優勝した山下は終始マイペースで落ち着いていた。オリ打ちをしても心は折れなかった。麻雀においてメンタルが如何に大事かを感じさせられる決勝戦であった。 

                 
(文中敬称略 伊東直毅)