
8月23日、RMUスプリントの第3戦であるマーズカップが、銀座柳本店で開催された。
色々な趣向で行われる本大会だが、今回はCルール。
このCルールというのは巷のフリー雀荘のルールをモチーフにしたルールで、赤5牌が各1枚ずつ入っているのが最大の特徴です。RMU唯一というよりも競技麻雀界唯一と言っても良い。
RMUの公式A・Bルールがともに「30,000点持ちの30,000点返し」で「5-15」の順位点がつくだけなのに対し、Cルールはこれに加え、これまたフリー雀荘では一般的な「25,000点持ちの30,000点返し」に上記の順位点が加わるというシステムになっており、トップと2着とで最低30P差がつくので、トップ取りの比重がいつもより大きくなる。
また、最初の持ち点が少なく打点が高くなる分、いつもの大会よりもハコ割れが発生しやすい。しかし、フリー雀荘と違って『トビ終了』が存在しないため、トップの点数は大きなものになりやすい。
今回、私は運営に携わっていたのだが、開始早々からCルールらしく、高得点のアガリが頻発。会場の立ち回りをしていて、どの卓でも高打点の争いをしていたように思う。
予選4回戦が終了し、首位通過は出だしの3連勝でいち早く通過を確定させていたのはライセンスAの藤中。以下、100ポイント超えの阿部、山田、3,4回戦の連勝で急浮上した多井と続き、ライセンスプロが上位4位までを独占していた。
一方、+30ポイント前後で推移していた準決勝進出のボーダーラインは4回戦終了時には+44.0ポイントまで跳ね上がり、ここでは飯島(B)がわずか0.1ポイント(100点)差で仲川(B)ともう1名を抑えてベスト16に滑り込むという、大味に思えるCルールに似つかわない(?)、ミクロの争いが繰り広げられていた。
そして、点数持越しの半荘1回で行われる準決勝。先ほどの上位4人のうち、1人抜け出した感のある藤中はラスさえ引かなければ決勝へ残れそうだが、残り3人は、先ほど述べたようにトップを逃がすだけで最低30ポイント詰められるので、2着だとポイント次第、3着だとほぼ絶望と、決して楽ではない。同卓者は逆に、この条件をクリアすれば決勝進出が可能であり、それを確認した上でスタート。
その途中、観戦記を書くことに決まったので、私は上位4人に着目して各卓を回っていた。
藤中:早くも5万点オーバーで、これは確定か。
阿部:有田氏の連チャンを自身の満貫ツモで止め、ポイント的に優位も差はわずかでまだまだこれから。
山田:竹中(最高位戦)と4万点台で競り合い。竹中の通過順位が低いこともあり、このくらいの点数なら2着でも残れる。
多井:女性3人との対戦。ドラの
をアンコにした18,000をアガるなど早くも5万点オーバー。かつて読んだ「多井は女性相手だとトップ率が下がる」というフレーズが脳裏をよぎったが、今となっては杞憂か。
そんな中、いち早く決勝進出を決めたのはやはり藤中慎一郎(+209.1)。
まだ相手は決まっていませんが、という筆者の問いに対し、
「残れたのはドラのおかげ。決勝は誰が相手でもトップ取りになるので、好調の波に乗っていくだけ」との返答。
準決勝もトップで200ポイント超え、堂々の首位通過。説明不要、不動の本命か。
続いて決勝進出を決めたのは、最高位戦所属の竹中誠(+158.2)。
「準決勝でもの凄くツイていたので…同じ最高位戦で、ちょうど今行われている「最高位戦クラシック」の決勝で戦っている坂本にあやかって頑張りたい」
その準決勝、東場までは上記のように接戦だったが、南1局の親で












ドラ
でリーチすると、対面のカン
待ちイッツー確定リーチとぶつかってのめくりあい。ドラ待ちがある分竹中有利も、そのドラ含みペンチャンが他家の手中にあるから、実際はほぼ互角かなと思い見ていると、両者が待ち望む
をツモったのは竹中。しかもその
が裏ドラ表示牌にもいて、6,000オールのアガりに。他の卓を回って戻ってきた頃には6本積む猛連チャンで10万点を超えていて、結果、予選をほぼ最後尾通過ながら一気にマクっての2位通過となった。
一方、好調に思えた多井は、失点こそ少ないものの南場に入って手が止まってしまう。他の2人がハコ下になるという大荒れの展開の中、一気に駆け抜けた武田留理子(+122.4)が3位通過。
「残っちゃいました。手が結構入ってくれて、リーチしなくてもアガれたりした。決勝は、記念、思い出になればいいかな」
そして、決勝最後の椅子は、同卓の阿部を削ってトップを取るという条件をクリアした有田幸司(+114.2)。
2着に粘った阿部を約10ポイント、別卓の多井を約20ポイント抑えての4位通過だ。
「スプリント戦なので攻めるだけ攻めたらツモが効いた。格下なので、やれるだけやりたい」

決勝戦はポイントが半分になって行われるので、現時点での持ち点はこの通り。
藤中 +104.6
竹中 +79.1(差25.5)
武田 +61.2(差43.4)
有田 +57.1(差47.5)
一見大差だが、トップを取れば最低30ポイントを詰められるので、まだまだ逆転可能。その条件は、
竹中:トップを取れば無条件
武田:藤中が2着の場合13,400点差
有田:藤中が2着の場合17,500点差
武田、有田は藤中をできれば3着以下にしたいところ。
場決め、親決めの結果、(起家)藤中-有田-武田-竹中に決まり、決勝戦がスタート。
東1局 親:藤中
点数が完全にリセットされて数半荘で行われる決勝だと、出だしの東1局から局面が動くことはそう多くないと思われるが、このスプリントの場合は半分とはいえ点数持ち越しの一発勝負。しかも、有田、武田にとっては、優勝条件の対象である藤中の出親であるがゆえ、早くも勝負所だと感じつつ藤中の配牌を見ると













ドラ
改めて見ると3シャンテンなのだが、最後の2枚でトイツの白をアンコにしたこともあって、瞬間的にシャンテン数以上によく見え、(いい配牌だな)と思いつつ他家を見てまわる。
南家有田












ドラ
西家武田












ドラ
北家竹中












ドラ
(やはり藤中がいいな)と思い、藤中の後ろに戻った5巡目、












ツモ
ドラ
一周する間にドラメンツができ、さらにはカンチャンが赤で埋まってのテンパイで、打
。形だけ見ればシャンポンに取るところだろうが、河を見ると
がもうすでに2枚。次巡
を引いてくるが、このシャンポンにはさすがに取れない。藤中はここから、このペンチャンも外してくっつき待ちのイーシャンテン戻し。
藤中が結果論とはいえアガリを逃しているので、間に他家が追いつければ面白くなるのだが…。
有田は手にならず、オリ気味。
一方武田は藤中同様にツモが効いて












ドラ
4巡目まで無駄ヅモがなくこのイーシャンテンにこぎつけたのだが、ここから
が出ることもないままツモ切りを繰り返し、11巡目に
を引いてやっとテンパイしたものの役なし。
竹中は8巡目に












ドラ
このイーシャンテンから2巡ツモ切った後、
を引いたところでテンパイトラズの打
。すぐに武田の切った
を鳴くことができ、











ドラ
の5メンチャン、
を引く前に
を切っているのでフリテンだが、これまた致し方なしか。しかし、テンパイした次巡にツモ切った
に藤中が声を掛けた。
「ロン、7,700」












ロン
ドラ
局後にコメントを求めた際、勝因、敗因それぞれに挙がった局である。
藤中「あのアガリが大きかった。(
でのアガリ逃しは)手順上、仕方がない。で、待ちを探していたらバタバタとソーズが安くなったタイミング(10巡目)でカン
のテンパイが入ったので取った。ダマにしていればどこからでも出ると思っていた」
竹中「藤中さんが来ていたのは感じていたけど…もう少しスリムに構えるべきだったかもしれない」
藤中にしてみればどこからでも良かったところだろうが、結果最もマークすべき2番手からの直撃になり、最高の滑り出しといったところか。
東1局1本場
引き続き藤中の配牌とツモが噛み合い、

と引いて4巡目で













ドラ
打
で早くもイーシャンテン。と思っていたら、武田はもっと早く、












ドラ
第1ツモでペン
が埋まり(打
)、早くもイーシャンテン。すると直後の2巡目に藤中が
を切る。腰の軽い筆者などはとっととポンテンに取ってしまうこともあるが(それだとおそらく1,000点のアガリ)、武田はスルー。結局、10巡目に
を引いてテンパイし、シャンポンではなくドラのペン
待ちでリーチ。しかしその直後、5巡目以降ずっとツモ切りが続いていた藤中に












ドラ
が入っての打
で追いかけられる。結局、武田が
をつかんでしまい、3,900のアガリに。
東1局2本場
これ以上藤中に走られると追う方は苦しくなる。
(そういえば、筆者が3位だった前回のオープンリーグ決勝の時も、(優勝した)藤中に序盤から走られて嫌だったな)
ふとそんなことを思っていると、またもイーシャンテン一番乗りは武田。












ドラ
5巡目でこの形。さらに次巡
を引いて赤にくっついて
をトイツ落としし、リャンメン2つ残りで最高345の三色まであるピンフ形のイーシャンテンだが、ここで手が止まる。そうこうする間に、藤中が13巡目に一番乗りでテンパイを入れる。












ドラ
ドラと
とのシャンポンは、打点十分かつ終盤でもありヤミテン。
これがアガれると決まりかねないなと思っていると、南家有田が手牌を倒した。
「ツモ、700-1,300は900-1,500」












ツモ
ドラ
こちらも6巡目イーシャンテンだったが、藤中よりも遅い15巡目のテンパイ。テンパイ直前の13,14巡目に藤中、武田に
を連続でツモ切られていたが、17巡目にツモ。ようやく藤中の親を流す。
東2局 親:有田
ここまで毎局、イーシャンテンまでは早い武田、またしても4巡目に












ドラ
この広いイーシャンテンに。これまで、ここからが長く苦しんでいたが、7巡目に
が重なってテンパイ。ピンフは潰れてしまったが、次巡ドラを引いてきたところで意を決してのツモ切りリーチ。












ツモ
ドラ
2巡後にツモって満貫。
東3局 親:武田
北家有田が、6巡目までに2つ鳴いて










ドラ
このテンパイ。打点は低いが藤中とはまだ1万点差、南場の親につなげるためにも差は詰めておきたいところだろう。そこへ、10巡目に藤中がリーチ。












ドラ
でアガれば決定打にもなりうるリーチである。これに対し、有田は赤
を引いて
と入れ替え、真っ向勝負。一方、親の武田はリーチの現物を切りながらイーシャンテンを維持していたが、現物がなくなったところで、自身が2巡目に切っている
を引かされ、ワンチャンスでもあることからこれをツモ切り、藤中への放銃となる。裏は乗らずに3,900。
東4局 親:竹中
東1局の放銃以来出番のなかった竹中。配牌は平凡だったが、

と3連続で重なり、













ドラ
チートイツ赤赤の9,600テンパイ。どうするのかと思っていたら、竹中は
切りダマを選択。その後、藤中の
ポンで流れてきた
単騎に切り替えてダマを続行するが、

とツモ切った藤中、











ドラ
ツモ
でシャンポン待ちに取ると、すぐに有田から
が出てくる間のよさで、竹中を追い越しての3,900のアガリ。
竹中が、対局後真っ先に挙げたのがこの局である。
「
をツモってのテンパイで、逆に大事に行き過ぎてしまった。赤じゃなかったら
単騎あたりで足止め狙いのリーチに行くことも考えたけど…」
東場が終了し、点棒状況は
藤中 42,200
有田 20,400
武田 23,000
竹中 14,400
藤中有利は変わらず。しかし、6,000オールがいつもより簡単に作れるこのルールでは、まだ安全圏とは言いがたい。
南1局 親:藤中
藤中が10巡目にカン
を引いて












ドラ
この手をテンパイし、ダマに構える。しかし、高目の
はすでに場に2枚、しかもそのうち1枚は国士無双狙いの武田が早々にツモ切ったものであったため残っておらず、山には
が1枚だけ。武田の国士はリャンシャンテンまで行くが、結局、藤中が12巡目にツモ切った
で












ロン
ドラ
竹中の平和のみに放銃となる。
南2局 親:有田
4巡目までに南を2枚引いた北家藤中












ドラ
一方、5巡目の西家竹中













ドラ
このイーシャンテンから
を切ると、いくら腰の重い藤中といえども、さすがにチー。そして、打
。(?)
ここまで安定した打牌を続けていた藤中、初めてと言っていい疑問手である。
トイツが全部役牌なのでホンイツまで狙わなくても最低3,900にはなる。ホンイツを狙うにしても
は不要なのでは…
藤中「カン
だけはふかす手はないのだが、鳴いて
切らずに両面切ってホンイツに向かったのは、さすがに(対戦相手を)ちょっとなめていたかもしれない。ダブルバックの満貫で十分だったのに」
マンズを1メンツ並べた藤中は
を引いた時点で











ドラ
のテンパイ、一方、
を食い流された竹中は、
を鳴かれた直後に
をトイツ落とし。14巡目にやっとテンパイが入り、次巡












ドラ

を引いてリャンメンに振り替わったところでリーチ。この時点で藤中の待ちの
は1枚残っていたが親の有田に流れ、1枚ずつ残っていた
はいずれも王牌。この親が流れると苦しくなる有田だったが、テンパイすると
が出て行く形。結局2人テンパイの流局。
南3局1本場 親:武田
南家竹中












ドラ
この配牌でピンズから外し、6巡目の
ポンをはさんで、途中ツモってきていたドラカンチャンを外してワンズのホンイツ一直線。そして、











ドラ
で、上家の武田が
を切る。どっちで鳴くのかと思っていたら、
をさらして
待ちテンパイ。
竹中「
が1枚見えていたので、単純に枚数で選んだ」
とのことだが、2巡後に
をツモって裏目。その後、タンヤオ三色含みで手を進めていた藤中が、竹中の切った
をポンして
を切り、











ドラ
このテンパイ。その2巡後、竹中のアタリ牌である
を食い下げたところで、竹中の切った
に合わせる形で冷静にオリに回る。
一方、この親を流すとオーラスが厳しくなる武田、
をツモ切った時点では












ドラ
このイーシャンテンだったが、ここからなかなかテンパイしない。そこからマンズをつかんでまわし、最後
を勝負すればテンパイが取れるところまで持ってきたが、これを打ち切れずにノーテンで親を流してしまう。
1人テンパイの竹中の手を見た藤中「あれで勝ったと思った」そうである。
オーラスを迎えて(2本場)
藤中 41,700
有田 17,900
武田 20,500
竹中 18,900
(供託 1,000)
有田、武田は藤中から倍直でもトータルで届かないため、藤中への挑戦権があるのは現状ラス親の竹中のみ。
南4局2本場 親:竹中
アガれば優勝の藤中、7巡目に












ドラ
のリャンシャンテンから、
連続ツモでテンパイ。ソーズの下が安いから、カン
での待ち取りも考えていたらしいが、役ありテンパイになれば話は別、












ドラ

待ちでダマに構える。
一方の竹中、6巡目には












ドラ
となっていた。10巡目、
ツモでイーシャンテンとなり、打
。とりあえず放銃は回避したが、
は重ねるか、せめてその両隣を引いてリャンメンターツにでもならない限り出て行く形。そこでなんと、ラス牌の
を重ねてのテンパイが入り、リーチ。一発目、藤中がつかんだのは通っていない
、しかしこれをツモ切り。
竹中の一発ツモはならず、藤中の次巡は安全牌。その直後、竹中が牌を横に置く。












ツモ
ドラ
「4,000は4,200オール」
裏は乗らず逆転までには至らなかったが、急所で赤をツモっての満貫で、藤中との差を一気に詰めた。
南4局3本場
藤中 37,500
有田 13,700
武田 16,300
竹中 32,500
5,000点差の竹中は、ここで2,000オールツモか9,600出アガリできれば、次局ノーテンで終了できる。また、並びができたので、武田に倍満直撃条件が発生した。
しかしながら、次局。藤中に配牌でトイツだった
が8巡目に竹中から鳴け、ポンテンの形に。











ドラ
一方、
を切った時点で竹中の手は、












ドラ
この、チートイツイーシャンテンながらメンツ手にも行ける手格好。ここで、武田から出た
をチーして
を切り、ホンイツのイーシャンテン。確かにこの方が手広く、かつ動けるため、テンパイしないといけない親としては理にかなっているのだが、チーして流れてきた牌が
では万事休す。結局、この牌で放銃となり、決着。
終局後のコメント
4位 有田 幸司
「最初に藤中さんが走ってしまったので条件が厳しくなり、ここを潰すにはどうしたらいいかを意識しすぎて何もできなくなった」
3位 武田留理子
「1回でもアガれたのでよかったです。狙った国士が成就できなかったのが残念だったけど」
2位 竹中誠
「この中で一番呑まれちゃいけない人のはずなのに、藤中さんに呑まれてしまった。最後に4,000オールアガれてどうにか帳尻があったかな、と思ったけど」
優勝 藤中慎一郎
「やっと勝てました。ライセンスプロがずっと勝っていなかったので、ホッとしています」

言われてみれば確かにそのとおりで、2007年度こそペルセウスカップを多井が制している(ケフェウスカップ&ファイナルを制した谷井はライセンス付与前)ものの、昨年度はライセンスプロが1勝もできず、ファイナル進出も逃がしているので、それ以来の勝利となる。
そして、最後に竹中がポツリと一言。
「今日優勝していればファイナルが確定したから残り3回サボれたのに(笑)」
確かにその通り。このRMUスプリントは、1回1回が単独のワンデーマッチであると同時に、ベスト16以上に残ることによってポイントが付与され、全6戦におけるトータルポイント上位12人が、来年の2月に行われる「スプリントファイナル」に進出して優勝を争うシステムになっている。
ここまで、2回以上決勝に残った者はいないため、ポイントが2桁なのは優勝した3人だけ。しかも去年とは異なり、次回からの後半3大会での付与ポイントは前半3大会のそれと比較して、決勝進出で2ポイント、準決勝進出で1ポイント多くなるため、ここまでポイントを獲得していない人でも、上位12人残ることはまだ十分可能。もちろん、私もファイナル進出に向け、残り3回頑張りたいと思っている。
そのRMUスプリントカップ第4戦・ジュピターカップは、10月25日(日)に開催される。皆様のご参加、心よりお待ちしております。
文中敬称略 文責・宮田信弥