第12期RMUクラウン観戦記
~日本プロ麻雀協会には、もう1人の“神様”がいる~
1回戦(石川→松ヶ瀬→西岡→朝倉)
①国士無双をアガり決勝に残った朝倉、相手の国士無双テンパイは難なく凌ぐ。
東2局2本場 ドラ
松ヶ瀬 251
西岡 330
朝倉 290
石川 329
オープニング。対局者の1人、西岡慎泰は少し緊張した面持ちで自己紹介を終えると、解説の阿部孝則が第27期マスターズの決勝に進んだように、自分も他団体の決勝で良い対局を見せたいと抱負を述べた。
その合間、隣に立つ阿部が照れながらコソリと言う。
「役満打ったやつね(笑)」
それに対して西岡、表情を少し崩すと、最後に「国士はちょっと打ちたくないです(笑)」。
その後に登場した朝倉ゆかりの表情は対照的だ。先週に開催されたオータムチャンピオンシップを優勝。そこでも決勝という舞台でこの同じスタジオに足を踏み入れているからだろうか。そもそも緊張というものを感じさせない柔らかな雰囲気や佇まいのせいだろうか。
そして最後にサラリと言う「わたし、2日前(本戦)、昨日(準決勝)と国士アガってるんですよ。……これはガレナー(流れ)です(笑)」
12巡目。ガレナーやらフラグやらをそこまで信じている筆者ではないが、画面には早くもそんな大物手の予感が映し出されていた。
その手の主は「振り込む側」のフラグを立てていた?西岡。国士無双イーシャンテン。
澱みない摸打を続けていた残りの三者だったが、まず石川の手が止まった。
13巡目。石川。
ツモ ドラ
は1枚切れ。
は3枚切れ、は枯れている。
おそらく最高形として見据えていたであろう456の三色は非常に苦しくなっていた。打。
タンヤオ確定とドラ引きにだけは備えたものの、明らかに受けに回った選択だ。
次に止まったのは松ヶ瀬だ。
数巡後の上家の石川の打牌。そこで少考に入る。
ドラ
チーすると片アガリ三色ドラ1のテンパイ。
石川がを掴み、慎重に受けた次の手番、松ヶ瀬は初牌のをノータイムでツモ切っていた。ただし、その間に朝倉が仕掛けを入れていた。
ポン 打 ドラ
西岡はそこに、無筋のを滑らすように河へ置いていた。松ヶ瀬がを切ってから、西岡はツモ切りを続けている。
松ヶ瀬、チーせずにツモ山に手を伸ばす。
おそらく情報の修正が行なわれたのだろう。朝倉に対する西岡の打牌。これは本物が入っているかもしれない。をツモった松ヶ瀬、朝倉の現物であるを抜き撤退。
次の瞬間、西岡の手はついに本物へ。
は山に1枚。
その1枚が海底で朝倉の手元に送り込まれた。
ざわめく解説室と控室。しかし朝倉は当たり前というように表情一つ変えず、を抜き打つ。
その瞬間、ざわめきの波が、あっという間に引いていく。
これは惚れますって。阿部さんでなくても。
流局。
②西岡と朝倉、半荘の明暗を分けた奇手の裏表。
南2局0本場 ドラ
松ヶ瀬 248
西岡 323
朝倉 223
石川 406
5巡目。西岡。
さて。何を切る。
アンケートを取ったら、おそらく投票はとの2つに集まるのではないだろうか。
西岡の選択は。これは奇手だ。
ただ河に目を落とすと、石川の第一打が。松ヶ瀬が萬子バラ切りからの手出し。自分の目からが4枚見えている。が山にいることへの手応えがあったのだろう。最高形に234の三色も見ていたに違いない。
そして、下の最終形。
だが河と照らし合わせると分かるように、この奇手は裏目を引いている。
もしかを切っていれば、このアガリ形になっていたに違いない。
リーチツモ ドラ 裏
対局後、西岡に話を聞くとやはりに照準を合わせての一打であったが、一方で定石通りの一打を選んでいれば捉えられていた2000-4000を悔やんでいる様子だった。
南3局0本場 ドラ
西岡 363
朝倉 213
石川 396
松ヶ瀬 228
6巡目。朝倉。
これはアンケートを取れば、回答は先ほどよりも1択に集まるのではないだろうか。切り。
だが朝倉の選択は違った。打。が3枚切れていること、そしてその先に678の三色を見据えての選択ということは受け取れる。とはいえ、こちらも明らかな奇手だ。だが、こちらの奇手は最速かつ最高で、唯一のアガリを手繰り寄せた。
相手の捨て牌と山読みに沿った両者の奇手。どちらも実りこそしたがその裏表が、この半荘の結果に明暗を付けた気がしてならない。
1回戦終了
朝倉 22.0
石川 11.6
西岡 △4.7
松ヶ瀬 △29.9
2回戦(朝倉→石川→松ヶ瀬→西岡)
③松ヶ瀬に訪れた3つの分岐点と、その先に待ち受ける最悪の結末
東4局1本場供託1 ドラ
西岡 311
朝倉 289
石川 261
松ヶ瀬 329
6巡目。松ヶ瀬。第一の分岐点。
ドラ
純チャンイーペーコーのイーシャンテン。ここから形を決める切り。
このとき早くも控室には、3回戦からの解説を担当する多井隆晴の姿があった。
その多井の口から不安の言葉が漏れる。
「裏目にならなきゃいいけど……」
8巡目ツモ。打。
まだ明確な裏目を引いてはいない。
ただし、を1枚抱えたことで、
ドラ
上の14枚からの選択をできなくなったのは確かである。
その場合、萬子の高い各者の捨て牌から、イーペーコーにはこだわらずに、打とする構えを取れたかもしれない。
次巡、をツモ切り。
最速の役アリテンパイを逃した格好。
さらに次巡。全てが台無しになるツモ。
少考ののち、切り。ここが第二の分岐点であった。ダマテン。
そしてポンから打の役アリテンパイへと組み替える。
だが、ここからの牌の巡り合わせが、朝倉へと利していくことになる。
松ヶ瀬に最初のテンパイが入ったときはこの形。
配牌ならば心躍る牌姿だが、既に11巡目である。こそ1枚切れだが、は生牌。仕掛けられるかどうかもあやしい。はっきり言って、遅い。
しかし13巡目。松ヶ瀬の仕掛けによって、メンホンチートイツのイーシャンテンになると
ドラ
16巡目、松ヶ瀬がツモ切ったを仕掛けてからが一瞬であった。
すぐさま松ヶ瀬の当たり牌、をツモってテンパイ。
ポン ドラ
松ヶ瀬の最後のツモは、。ここが最後の分岐点。
松ヶ瀬は一瞬止まりこそしたものの、そのはこれまでの因果に吸い込まれるように河へと置かれた。
控室の多井がボソッと言った。
「最悪(の結果)だ」
その風貌とは裏腹な、繊細かつ慎重な打ち回しが松ヶ瀬の強さだとすれば、第一と第二の分岐点での選択、そしてそこからの役アリテンパイにする仕掛けは控室で観ていた筆者にとっても違和感のないものであった。だからこそ最後のは止めて欲しかったと感じてしまうのは、私だけではなかっただろう。そういう場面が訪れたときのための、リーチをしないという選択だったはずだ。
吸い込まれるように河に置かれたは、視聴者に今日が松ヶ瀬の日ではないことを予感させるに十二分であったように思う。
④朝倉の危機回避についての思考、それを演出した石川の待ち選択
南1局0本場 ドラ
朝倉 382
石川 261
松ヶ瀬 246
西岡 311
RMUクラウン終戦直後から、Twitterや近代麻雀内の角谷ヨウスケプロのコラムでも取り上げられたこの局面を取り上げないわけにはいかないだろう。
西岡と石川の2軒リーチを受けて、どう凌ぐか?
手牌には片方の現物すらない状況。
パッとみた候補としては……
……2人の筋で、1枚通れば2枚通せる
……生牌だが七のノーチャンス、自分の手牌を崩さないでおける
……字牌かつ、1枚通れば2枚通せる
……2人の筋で、自分の手牌を崩さないでおける
以上の4種だろうか。
ただ解説でも触れられていたように、両者の捨て牌、何やらきな臭い。
ともに字牌から始まっているが、西岡はそこから真ん中の数牌がまんべんなく捨てられて、リーチ宣言牌が。何らかの手役への意識があったことが慮られる。
追いかけリーチの石川の方が、より顕著である。3巡目にのリャンメンターツを嫌ったうえで真ん中の数牌を並べて、切りリーチ。
筆者なら放送事故並みの苦悶の表情が画面左下のワイプに映されてしまうこと間違いないが、眉ひとつ動かさずに河を見つめる朝倉が選んだのは、そこには含まれていなかったであった。
これは2巡凌げるということに加えて、手役が絡んでいた場合に当たりづらいかつ当たっても安めで凌げるということと思われる。
西岡の捨て牌からはチャンタ含みの手牌構成になっている可能性があり、ともすればは当たっても安めになりえる。実際、西岡は下記のリーチ。
一方の石川は、特に大きな情報の出ていないところでのリャンメンターツを嫌っている。678の三色は無さそうな上に、コーツ形でと何かのシャンポンになっているのであればの手出しが早過ぎる。またチートイツであれば、追いかけリーチで待ちというのは、やや心もとなく感じられる。
筆者はノーチャンスの八を選びそうであるが、シャンポン待ちやチートイツへの放銃を考えたときに、両者の手牌に萬子の上が何らかの形で組み込まれているのではという読みもあったのだろう。
さて終戦後に朝倉側の視点でこの局が多く取り上げられることになったのはさも自然なことと思われるのだが、個人的には同じ局の石川のチートイツリーチの待ち選択を取り上げたく思った。
西岡のリーチ直前に1枚切られたと、リーチ者と自分の筋になっている1枚切れの、この選択を石川はノータイムで行なった。
後日、石川にこのことを訊いてみると、こんな回答。
・一言で言えば直感なんです。5巡目あたりでをツモった時に、
・この待ちにしよう、って感じたんです。
・求められている回答とは違うかと思いますが、たまに訪れるこういった感覚は大事にしています(´・ェ・`)
天鳳位から「直感」という言葉が出てきて、非常に驚いたのだが、筆者はこの直感が導き出された理由を考察してみたくなった。すると……あることに気づいた。
1回戦からここまで15局あったのだが、実はここまで、役牌を鳴いてのアガリは、④で取り上げたホンイツのアガリのみであること。それどころか、役牌のイチ鳴きすら起こっていないのである。
なお、まとめると下記の通りとなる。
<1回戦>
東1局1本場 ……西岡、鳴かず、道中トイツ落とし
東3局3本場 ……松ヶ瀬、鳴かず、とのシャンポンリーチ。流局
南3局 ……松ヶ瀬、鳴かず
<2回戦>
東1局 ……石川、鳴かず、松ヶ瀬のリーチ後にトイツ落とし
東3局1本場 ……西岡、鳴かず
東4局 ……西岡、鳴かず、そのままアタマにしてリーチ。流局
……石川、鳴かず、西岡のリーチ後にトイツ落とし
東4局1本場 ……朝倉、1枚目鳴がず、終盤に2枚目を鳴いてアガリ(④の局)
仕掛けるには不格好な手牌が多かったこと、そして門前主体で受けの強い4人が揃ってしまったこともあるだろう。にしても、このような展開が続いたのは珍しいのではないだろうか。また、道中のトイツ落としやリーチ後の流局を見て、役牌を鳴かずに手牌進行をしたことを想定させる局も多かった。
そういった展開を経て、上記の場面である。
は自分とリーチ者の筋になるだけでなく、捨て牌から考えて山にも残っていそうである。ともすれば、自分のツモアガリと相手からのオリ打ちの両方を望むことができる。
一方のは、オリ打ち期待こそできるものの、その在り処が非常にわかりにくい。松ヶ瀬の捨て牌も変則的であるし、これだけ門前主体の打ち手が揃うと意識的に鳴かない選択肢を取っているかもしれない。
石川の頭の中には、「役牌が鳴かれなかったこと=その牌が山に残っている可能性が高い」ではないというのを印象付けられていたのではないだろうか。
ゆえにチートイツをにらんだ段階から、字牌よりも数牌の優劣にアンテナを張り巡らせていた。だからこそ、を持ってきた時点から、この待ちでのフィニッシュを強く想定していたのであろう。
2回戦終了(カッコ内はトータル)
朝倉 20.7(42.7)
松ヶ瀬 9.0(▲20.9)
石川 ▲9.6(2.0)
西岡 ▲20.1(▲24.8)
3回戦(松ヶ瀬→西岡→石川→朝倉)
⑤西岡と石川の共同戦線? 朝倉包囲網なるか?
東4局3本場供託1 ドラ
朝倉 210
松ヶ瀬 239
西岡 385
石川 356
朝倉の2連勝で迎えた3回戦。残る三者のテーマは朝倉にラスを、最低でも3着を押しつけるところだろう。そのテーマで考えたとき、最初の山場が朝倉の親番である。よりにもよって3本場に供託が1本。
好配牌をもらった西岡、3巡目にはドラのを放す。
これに対して、石川、をポン。ここまで打点と受けを意識した打ち筋を披露していた石川だが、ここは親落としが先決とばかりに、ドラを手放す。
興味深かったのはこの後の西岡の選択である。
のトイツ落としか、のトイツ落としか。は生牌、は1枚切れ。
解説の多井は、の横伸びをみるか、二のコーツをみるかでどちらもメリットがあると触れる。
西岡の選択は、打。これを石川が仕掛ける。
これがもう1つのポイントであろう。
今回のテーマの1つに朝倉の親落としがあるのなら、それは1人より2人がかりで行ないたい。そこに下家の石川が明らかに安い仕掛けである。
もちろん自分の手も好形リーチを望めるし、リーチを目指すのであるが、石川が1000点で朝倉の親を蹴ってくれるならそれも良しとの判断であろう。あえて石川が鳴けそうな方を選んだ。
結果、西岡はリーチまでたどり着くも、もう1枚のを仕掛けられた石川のアガリが先。
石川の掲げたテーマに西岡が打牌で答える。その共同戦線が朝倉の親番をきっちり封じ込めた形であった。
だが朝倉は南2局の1本場にリーチツモタンヤオリンシャンをアガって3着に浮上してのフィニッシュ。とはいえ、このポイント差であれば4回戦は三つ巴の戦いである。
3回戦終了(カッコ内はトータル)
松ヶ瀬 ▲28.4(▲49.3)
西岡 28.0(3.2)
石川 10.5(12.5)
朝倉 ▲10.1(32.6)
4回戦(朝倉→西岡→石川→松ヶ瀬)
⑥朝倉ゆかり、これが「戦いの女神」のバランス
3回戦で朝倉は下のリーチを打っていた。
東3局2本場 7巡目
打リーチ ドラ
三面張のリーチのみを拒否しての選択である。
だがよりにもよって、これが暗刻の松ヶ瀬に地の果てまで押されるという背筋の寒い展開。流局に終わったため最悪の結末こそ免れたものの、この朝倉のリーチ判断を見て、リスクよりも打点を重視するというのがこの1局での筆者の印象であった。
東2局1本場供託1 ドラ
西岡 305
石川 315
松ヶ瀬 285
朝倉 285
嬉しいドラのを重ねてのテンパイ。打点ができた。だからこそ、場に2枚切れとはいえドラが2枚あるカン待ち。リーチに行くのではというのが、筆者の想像であった。
だが、朝倉の選択はヤミテン……否。それどころか生牌のを抑えて、メンツを崩していった。
下家の西岡が親である。を仕掛けている。ポイント状況的にも、西岡が最後まで押してくることは想像に難くない。
朝倉はこの局、徹底的に親の西岡に厳しく打ってきた。この形も、絞りに絞って作られた牌姿である。
でも、1枚くらい、字牌くらい、この手が成就すれば、優勝が一気に近づく。それでも朝倉は引き絞ったその矢を放つことはなかった。
その結果、リーチしていたらすぐさま朝倉の手から切られたであろうを、西岡が鳴くことはできなかった。そしてヤミテンを入れていた松ヶ瀬に朝倉が1600は1900の放銃。
放銃にはなったが、トータルラス目に対してのものであり、浅い傷を負っての局消化という、朝倉にとっては御の字の終局となった。
東4局1本場供託1 ドラ
松ヶ瀬 464
朝倉 226
西岡 255
石川 245
親の松ヶ瀬がをポンしている。石川はをポンしている。ドラの所在は不明。
とはいえ今回は好形である。だが朝倉は、これもテンパイに取らなかった。そして選んだのは打。松ヶ瀬と石川の現物である。
そこから朝倉の手は育つ。
ピンフとドラの2ハンアップ。この間に3枚目のが打たれたものの、自分の目からが4枚見えた。これならば、打点、待ちともに十分。リーチ。だが流局。
南1局0本場 ドラ
朝倉 231
西岡 276
石川 214
松ヶ瀬 479
11巡目、西岡、リーチ。
だが、その1巡前に朝倉は下のテンパイを入れていた。
朝倉、そのリーチに無筋の、とかぶせていく。その手はかすかに震えている。武者震いだろうか。アガれば今度こそ、優勝がよりはっきりとした輪郭を帯びてくる。
残り4巡。朝倉を試すように、最大の分岐点が訪れる。
長考に沈む朝倉。
一番安全そうなを切ってダマテン。中筋のを切っての確定四暗刻。
だがこの半荘において、朝倉は待ちの良さと打点の両方にこだわっていた。ならば、この選択しかない。
「リーチ」
朝倉の口はそう動き、ドラのを横に置いた。
リーチというその言葉と置かれた牌によって、局面が動いた。
石川が朝倉に合わせた。その瞬間最も安全であり、かつ松ヶ瀬が一発を消し得る牌。そして、松ヶ瀬が何かを確認したのち、呼応してチーの発声。これでハイテイも朝倉に回らなくなるのだ。
次の瞬間。
朝倉、4000オール。
ここから一層、朝倉の攻めと守りが冴えわたる。
南1局1本場
西岡の先制リーチに対して、盤石の手変わりを待ってから追いかけリーチ。
ドラ
南1局2本場 ドラ
西岡の先制リーチに現物待ちで追いついた朝倉。
次巡引いてきた、西岡の当たり牌を引くとシャンポン待ちに変えてテンパイ維持。今度は一転しての受け。
結果、西岡が1フーロしていた松ヶ瀬への放銃となり、自身は無傷での局消化。
南2局1本場
ドラドラのシャンポンテンパイから、両面に手変わったところで、満を持してリーチ。
リーチツモ ドラ 裏ドラ
2000-4000は2100-4100。
朝倉は4回戦を終えて一人浮きの首位に立つと、新決勝もわずか1局で終わらせ、一気にRMUクラウン優勝のゴールテープを切った。
4回戦終了(カッコ内はトータル)
朝倉 14.9(47.5)
西岡 ▲36.5(▲33.3)
石川 ▲17.2(▲4.7)
松ヶ瀬 37.9(▲11.5)
新決勝方式終了(カッコ内はトータル)
朝倉 7.8(55.3)
西岡 ▲2.6(▲35.9)
石川 ▲2.6(▲7.3)
松ヶ瀬 ▲2.6(▲14.1)
優勝 朝倉ゆかり
2位 石川遼
3位 松ヶ瀬隆弥
4位 西岡慎泰
最後に、放送の中でこんなやり取りがあった。
局数がかさんだ4回戦、南1局2本場終了後に小休憩が設けられて、映像が一旦解説室へと切り替わる。
そこまでのゲームを観ていた解説室の多井の声がひときわ大きくなる。
「あいつ(朝倉)、ゼウスってる!」
「鈴木たろうが“ゼウス”ならば、彼女は“女神”みたいな!」
ともすれば、朝倉にはぴったりの女神がいるので、ここに記すことにしよう。
アテナ(Athena)
ギリシャ神界最大の女神。大神ゼウスの頭から生れたといわれ、学問・技芸・知恵・戦争をつかさどる。アッティカの守護神。アテネ。→ミネルヴァ
『広辞苑』より
① アテナとは
知恵や戦略を司る「知性の女神」であり、ゼウスやポセイドンなどが属する「オリュンポス十二神」のひとり。
② アテナの能力
アテナは「アイギスの盾」と呼ばれるゼウスから譲り受けた盾を持っている。アイギスの盾には魔除けの能力が備わっており、邪悪な力や災厄などを防ぐ力がある。
③ アテナの性格
アテナは知性に溢れたとても美しい女神である。また、戦略を司るアテナは、気高く理性的な戦いを好んだといわれており、さらには非常に思慮深い女神としても知られている。
(参考URL:http://www.gibe-on.info/entry/athena/)
高い危機回避能力と、局回しで見せたゲームメイク。
待ちと打点の両方が備わった勝負手を作り上げ、そのときには真っ直ぐに攻め込む、その理知的な判断力。
朝倉はこれからも知恵と戦略に富んだ「アテナの選択」によってさらにタイトルを積み重ねていくに違いない。そしてその先に女神が見ているものは、優勝後のインタビューで語られた、来期のMリーグと、前人未到の協会内全タイトル制覇である。
強者は勝利の後に次の勝利を見据えており、それこそが強者が強者たる所以なのではないか。
そんなことを感じさせる第12期RMUクラウンであった。
(文中敬称略 文責・狩野哲郎)
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