| 2012オープンリーグ決勝レポート |
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新年を迎えて、2週間。日々最低気温が氷点下を下回り、本格的に冬に突入である。この日もまた一段と寒く、朝方に激しく降っていた雨は雪へと変わっていた。成人式を迎える若者達はさぞ大変だろう。そんな中で行われるオープンリーグの決勝も今回でもう8回目である。 RMUで最も古いタイトル戦であり、今までたくさんのドラマが見られてきた。 さて、ここで選手を紹介しよう。 平山友厚 RMUライト会員。力強く、どっしりした雀風と長年培ってきた経験で数々の予選を通過し、数多くの決勝戦を戦ってきた強者である。このオープンリーグもすでに2度も制している。 水沼利晃 RMUライト会員。RMU1のファイターと言っても過言ではないだろう。少々乱暴な打牌も多いかもしれないが、それを通していき、アガリきっていく攻撃力はすさまじい。その圧倒的攻撃力で今年度の竹書房主宰麻雀最強戦を制している。RMUの一員として誇らしい限りである。今、一番調子が良い打ち手だけに要注意だろう。 RMU、B級ライセンス。第2期クラウンの覇者。その風貌や模打の速さから、現代的な打ち手に見られがちだが、意外と手役にこだわることが多い。リーチ回数も多く、攻撃力では前の二人にも引けをとらないだろう。 小林景悟 RMUの中でも特に攻撃的な打ち手が集まった。 外では今年一の荒れ模様だが、それに勝るとも劣らない対局が期待できそうである。 1回戦 予想とは反して、静かな立ち上がりとなる。 終盤になってようやく場が動き始める。 南3局 トップからラスまで4000点差という均衡しているなか、親の小林が以下の手牌。 ここまで順調に進み、イーシャンテン。 すぐに しかし、それに待ったをかけたのが渡辺だ。 待ちは薄いが、勝負所と判断したのだろう。 二人のリーチを受けての平山。 共通安全牌はなく、親の現物で オーラス 渡辺が一人抜けた格好。焦点は2着争いだろう。 オーラス 1本場 ラス目の平山から4巡目にリーチがかかる。 ツモると2着になるが、出アガリの場合はラスのままである。
チートイツには見えなく、ラス目のリーチには打ちたくない。困ったら 案の定、トップ目の渡辺が手詰まり、トイツの だが、平山はこれを見逃す。 確かに、アガってもラスのままだが、まだ1回戦であり、先は長い。トップ目から出たのも、悪くない。 ここはアガった方が良いのではないだろうか。ツモアガリを狙うならもう少し場况が出るのを待ってもよかったかもしれない。 結果は一人テンパイで流局となる。 1回戦終了 平山 ▲21.8 2回戦 親の小林が9巡目に仕掛ける。 このときの打牌がドラの 確かに、テンパイだがファンパイが全て見えており、ドラもリリースしている。 待ちが良ければいいのだが、ピンズの場况は三色の中で最も悪く、さらにカン アガれないまま数巡後、平山、水沼と立て続けにリーチがかかる。これに小林も押していくが、やはり分が悪く、水沼に放銃となってしまう。 こうした放銃は、例えばいわゆるアナログ的に表現すると、「体勢を落としてしまう」とでもいうのだろうか。しばらく、小林に手が入らなくなる。 次局は水沼、上手くチートイツにまとめ、終盤にツモアガリ。 連続アガリの水沼の親番。 ここまであまりよくなかった平山がこのアガリで一気に流れを引き寄せる。 次局 さらに と、怒濤の3連続アガリで5万点を越える。 南2局 3連続アガリの平山の親番。 平山の強さを知っている三者からしたら、流れに乗っているこの親は一刻も早く落としたいだろう。 手格好のよかった渡辺、水沼がリーチをかける。 リーチがかかった時点でイーシャンテンの平山。 このカン 南3局 この半荘あまり手が入っていなかった渡辺だが、ソウズの山を引き当てる。 10巡目にこの形 しかし、親の水沼からリーチがかかる。 南3局 1本場 この局テンパイ一番乗りは、先ほど放銃した渡辺。 待ちはドラ表示牌と悪いが、リーチを宣言。 2巡後にこれを力強くツモって2000 4000。 前局の放銃があり、待ちもきびしい。 オーラスは水沼がアガリ、2着をキープする。 2回戦終了 平山 +10.1 小林が一人出遅れている。アガリに結びつかず、我慢が続く展開。何かきっかけが欲しいところだ。 3回戦 東1局 親の水沼の配牌がいい ドラメンツもあり、形も悪くない。内に内に寄せていきたいところだろう。 これに対抗するのは平山。一枚目の トイトイまで育てたい手牌である。すぐに 直後に親からリーチが入る。
狙い通りのトイトイにレベルアップ。 チャンタサンショクのイーシャンテン。 対する親の水沼の待ちも平山にブロックされているが、ドラ表示牌の だが、11巡目にラス牌の まだ最後の すぐに 東2局 ハネマンをアガった渡辺の親。あれをアガれれば、いわゆる「勝負の流れ」を感じて打つ人ならば、それが自分に来ていると思うだろう。少なくとも、精神的にはさらに強気で打てるはずだ。 4連続有効牌であっという間にテンパイ。 ジュンチャンのイーシャンテンになった平山が 東3局 ここまで我慢してきた小林にようやく手が入る。 イーシャンテンになった親の渡辺が 次巡、 完全イーシャンテンの水沼が これがきっかけとなり、これ以降戦える局が増えていく。 東4局 親の平山がダブ これにぶつけたのは、小林。ドラと 同巡、親の平山もテンパイ。しかし、余った牌は 小林のマンガンとなる。 このアガリで4万点を越え、トップ目の渡辺と約1万点差となる。 この調子が上がって来た雰囲気の中、何とかトップに立ちたい。しかし、そう簡単にさせてくれないのが、タイトルホルダーの3人である。 東4局以降、小林中心の局が多かったが、なかなかアガらせてもらえない。 高打点が飛び交った東場とは違い、ノーテン罰符等の細かい点棒移動となる。 3回戦終了 平山 ▲9.2 渡辺のマルA状態。対局も終盤に差し掛かり、トータルポイントも意識し始める。次の半荘、何とか渡辺をラスにしたいところだろう。 4回戦 東1局 小林の起家でスタート。
しかし、なかなかツモれず、流局する。 東1局1本場 配牌ドラドラの渡辺。ソウズに寄せていく。中盤に この仕掛けにたいして平山が、 テンパイは確実だが、待ちと打点はなんとも言えない。 平山の捨て牌に 手痛い放銃となってしまう。 東2局 2巡目に北家の小林が ホンイツやトイトイなどが狙えるが、かなり遠い仕掛けである。 すぐに どんな手から打ったのか、水沼の手牌を見にいくと 形は悪いがホンイツのイーシャンテン。
となるとチャンスなのは親の平山。配牌は微妙だったが、上手くチートイツにまとめ、リーチをする。 この しかし、アガったのは渡辺。水沼の すぐに平山が 東3局 またもや小林が2巡目に仕掛ける。 先程よりきびしい仕掛けだ。ちょっとどうかなと思ったが、これが上手くいく。
これとぶつかったのは、親の水沼。 次巡、水沼がリーチを打つ。 水沼の待ちは 東4局は小林が軽く捌く。 南1局 北家の渡辺の手牌が早い。5巡目にテンパイ。 とりあえずのドラタンキ。 次巡、ツモ 水沼が、マンズの染め模様。他の二人もソウズを切っており、ソウズの場况はかなりいい。 次にツモってきたのは、 痛恨の放銃となってしまう。 精神的にぐらっときそうだが、彼は崩れない。 次局 このきびしい配牌をまとめあげ、リーチの小林から終盤取り返す。 南2局 トップ目の小林に配牌ドラアンコのチャンス手が入る。 4巡目に
この時親の平山はイーシャンテン。 これを小林が鳴いて待ちを変える。 平山が次にツモったのはなんと 南3局 小林は先程のアガリで45000点を越えた。ただ、トータルトップの渡辺が、32000点の2着目。ここの点棒を少しでも削りたい。 しかし、その渡辺が、2枚目のオタ風の 手牌はこちら チャンタとダブ
ここで、トップ目の小林から これを鳴いてイーシャンテン。 小林の牌姿 イーシャンテンだが、さすがに乱暴だろう。この牌姿でアガるにはダブ そう考えると、ここは絞りに徹するべきではないだろうか。トータルポイント的にも渡辺以外がアガるなら構わないのだから。 親の水沼にテンパイが入る。 マンズの何かを切ればテンパイだが、渡辺の捨て牌にはマンズはなく、切りづらい。だが、なかれそうではあるが、ロンはまだ大丈夫そうではある。 案の定、 長考後、水沼は打 流れた牌は、 価値あるマンガンのアガリとなった。 オーラス ラス親の渡辺、トップの小林まで2900点差。 これを捲るとほぼ渡辺の優勝が決まってしまう。ここは一刻も早く終わらせたいところだろう。 テンパイ一番乗りはトップ目の小林。6巡目。 小林はリーチを打つ。 この時親の手牌はというと、絶好のカン 形では親が完全に有利である。しかし、なかなかテンパらない。5巡のムダヅモが続く。 何とか小林のトップで終了する。 4回戦終了 平山 ▲19.9 優勝条件を確認しておこう。 小林は渡辺をトップラスにして、21300点 差が、必要。 平山はさらにきびしく、トップラスにして、51100点差をつけなければならない。 水沼は残念だが、現実的にきびしくなった。 渡辺が圧倒的に有利だが、不可能な数字ではない。小林、平山の優勝の可能性は十分にあるだろう。 5回戦 起家から平山、小林、渡辺、水沼 東1局 先制リーチをかけたのは水沼。 イーシャンテンだった渡辺、テンパイ打牌がこれに刺さる。 この5200の放銃で渡辺がラスになる。小林、平山にとっても嬉しい展開だろう。 東2局 トータル2番手の小林の親番。大事にいきたいところだが、5巡目に場が動き出す。 水沼が すぐに こちらも臨戦体勢だ。 渡辺が 次巡、 数巡後、水沼にテンパイが入る。
長考の末、ドラの 親の小林はというと、ピンズを払えず回っている。 このまま二人テンパイで流局かと思われたが、最後のツモで小林がひいたのは、 これを止めることが出来ず、痛恨の倍満放銃となってしまう。 ホンイツでの地獄待ちは割とあるし、三元牌も見えてない。行き過ぎた結果となる。 倍満放銃できびしい状況だが、まだ最後の親がある。諦めるにはまだ早い。 東3局、4局は軽く流れ、南入。 平山の最後の親番。 ここは渡辺が 南2局 親の小林の手はまだ死んでいない。配牌は苦しかったが、丁寧にまとめて10巡目にダマテンを入れる。 しかし、渡辺は冷静だった。小林のテンパイと同時に、牌を抜き止めている。これ以降、小林の現物しかきらなかった。 流局後の、1本場 渡辺が、ピンフをアガリ、勝負あり。 最終成績 平山 ▲33.7
![]() 最後の最後まで渡辺は冷静だった。手痛い放銃もいくつかあったが、その後も焦ることなく、冷静に対応していた。 その冷静さがあったからこそ、勝負どこでは、果敢にリーチを打ち、自分のものにしていけたのだと僕は思う。 クラウンに続いて、2つめのタイトル獲得。 これからの彼の活躍をより期待したいと同時に、僕ら若手も負けてられないなという気持ちが強くなった。
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