RMUリーグ開幕!!

ついに、はじまる。戦いを繰り広げるのは、RMUのS級ライセンスを持つ、5名の選手たち。楽しみでワクワクしている。期待でドキドキしている。問題は、この観戦記で、それが伝えられるかどうか。伝えられたら、第2節を、観戦にいらしてください。伝えられなかったら、それは、観戦者の筆力の至らぬところなので、第2節以降で、ご自身でご確認ください。どっちにしろ、この対局の観戦をお勧めいたします。

選手の紹介を対局前の各選手のコメントを交えてご紹介したい。

古久根英孝
「まだ自分自身進化の途中であり未熟な部分もあるが、観戦料をいただく価値のある対局を見せたい」
この御大にしてこの謙虚さ。

土田浩翔
「この5人で良い作品を仕上げられたらいい」
この対局は麻雀打ちにとって作品なのだ。

河野高志
「5人の中で、一番メンタルが弱いと自覚している。内容重視の麻雀を打ちたい」
メンタル面がどうかは知らないが、雰囲気のふてぶてしさは、最上位かも。

阿部孝則
「このメンバーに入っているのは、幸せなこと。自分の勉強になると思う」
謙虚で、正直な一言、この人が言うと、それは本音なのだ。

多井隆晴
「日本屈指の4人に挟まれて、実績にコンプレックスがある。素直に謙虚に打ちたい。」
そんなこともないと思うが、麻雀に「ピュア・イン」

システムは5人のリーグ戦。1節5回戦。それぞれに1回の抜け番があり、年間を通してのトータルで優勝を争う。ルールはRMU公式Aルール(一発・ウラドラあり。)

1回戦

並びは親から古久根・土田・多井・河野(抜け番は阿部)。

東1局。親の古久根、まとまりにくそうな配牌から対子を重ねて5巡目には、チートイツのイーシャンテン。しかし、対面の多井が自風のを対子で落として早そう。案の定、8巡目にリーチを打ってくる。多井のアガリ手牌は

 ロン ドラ

放銃は土田。リーチドラ1の2,600。この時の土田の手牌は

イーシャンテンながら十分形で迷いがない。放銃を恐れる局面ではない。

東2局。またしても、多井のリーチ。今度は7巡目の即リーだ。 

 ドラ

イッツーも見えるが、ドラなし手牌なら「手変わり待ちのヤミテン」、ドラ入り手牌なら「リーチ」がセオリーか。しかし、親の土田はそれより早く5巡目のテンパイがこの形。

テンパイの過程に不満があるのか、土田はヤミテンだった。多井のリーチにもヤミテンを通す。すると、古久根が多井にで放銃。ウラドラは、8,000。連続のアガリは、多井自身手ごたえを感じたか。

東3局。前局、放銃の古久根が7巡目のリーチ。

手変わりを待たないこのリーチは古久根の勝負感か。対する一発目の多井の打牌がション牌ドラの。対局場に緊張が走る。はたして多井の手牌は…。

 ドラ

「早い・高い・広い」三拍子揃った手牌だ。すぐにをツモって4,000オール。多井の3連続ホーラが決まった。

東3局1本場。多井以外の3者が親落としを狙う。古久根はマンズのホンイツ模様で5巡目にペンのチー。土田も6巡目に自風のをポン。親落とし戦線を張る。しかしアガッたのは多井。

 ロン

でヤミテン。安めのながら土田の放銃。

東3局2本場。ドラ。やはり目的は親落としなのだ。古久根が5巡目にカンのチー。河野がのポン。すると多井のリーチ打牌が古久根のタンヤオに刺さる。アガリ点はともかく目的を果たした感があった。

東4局。親の河野に好手が入る。6巡目のテンパイ。

 ドラ

ダブ東アンコのメンホンは強力だ。場はの2枚切れ、の1枚切れ。対局後土田をして、「テンパイかどうかは確信が持てなかった」と言わしめた局だ。多井のテンパイが9巡目。一手替わりサンショクのテンパイになり、テンパイ打牌が。河野の手牌が倒れた。

東4局1本場。ドラ。親の河野がタンヤオのカンで9巡目にテンパイ。前局、放銃に回らされた多井が10巡目にのポンから仕掛け、河野から1,000点。容易に連チャンは許さない。

南1局。古久根にとっては大事な親番。12巡目に待ちの3メンチャンでリーチを打つ。親番主張のリーチだ。だが次巡、土田の不思議な追いかけリーチ。

 ドラ

の手牌から、を打ってのリーチ。どうやら、下家の多井を気にしてが切りづらいための選択のようだが、どういうものか?次巡の土田のツモ切りには、ギャラリーが目をむく。このアガリ逃しにハマったのが河野。手詰まって切ったは土田のシャンポンの餌食になった。ウラドラで8,000。

南2局。親番の無くなった古久根が6巡目にをポン。マンズの一色手に向かう。タンヤオ形の土田がのアンカンをしたのが10巡目。新ドラはで、その手牌はこう。

  ドラ カンドラ

アンカンをしたことによってお誂えむきに新ドラが乗る。その時点での古久根の手牌、 

 ポン

そこへ次巡のツモが、問題の。珍しく古久根が長考に沈む。結果、切り出しは。下家の土田がこのでチーしてテンパイ。マチはのシャンポンだ。そして次巡の古久根が、らしくない連続長考。古久根には、異常な喰い仕掛けに映った。土田の喰い仕掛けには、もう行けない。そう判断し、の対子を落としてまわった。結果流局に持ち込む。「(土田の上家は)気を使うね」対局の合間に古久根がつぶやいた。

南2局1本場。チャンタ形の古久根が4巡目にツモ切ったを土田がでチー。この時点でタンヤオの2シャンテンなのだが、古久根の手牌を想定して、まだ要牌が鳴けると確信しているのか、または古久根が引くであろう要牌を喰い取る目的なのだろう。アガリを想定してはいるが、いわゆる宇宙流、ブラックホールチーである。河野が7巡目にテンパイ即リーチ。その手牌は…。

 ドラ

対する古久根も、9巡目にテンパイ。 

ジュンチャンイーペーコーでヤミテン。土田もノミ手でリーチに対して無筋を切るが、古久根のツモ山から喰い取ったをアタマにしている。河野のアガリは高めのツモ。ウラドラはないが、2,000-4,000。

南3局。河野が、10巡目にタンヤオのポンテン。多井の親を流しにかける。とはいえ 

 

この手牌は高くなる可能性も残している。そんな折、親の多井が終盤のリーチ。 

 ドラ

高めツモならマンガンだ。すると、1巡前にテンパイしていた土田も追いかけリーチ。

は場に1枚切れ。アガったのは、当然のようにをツモった土田だった。
この時点で持ち点が土田35,400・多井36,300・河野36,900。3者がほぼ横一線に並ぶ。

南4局。ドラ。親の河野が6巡目にのポンテンを入れる。1枚目のをスルーしてポンテンの入るタイミングでが出たもので、受けはカンと苦しいが、アガるのだろうと思ってみていると、これがなかなかアガれない。結果流局は河野の1人テンパイ。勝負を次局に持ち越す。

南4局1本場。またしても土田のチーから仕掛けが始まる。5巡目のをチーしてドラのを切り出す。すると親の河野にすぐテンパイが入る。

 ドラ

最後の勝負所と河野がリーチ。この時点で土田は2シャンテンなのだが、アガリ切るのは土田なのだ。

  ツモ

かくて記念すべきRMUリーグ最初のトップは土田となった。

1回戦結果 土田 +28.7 河野 +9.8 多井 ▲2.8 古久根 ▲35.7

2回戦

並びは親から阿部・河野・土田・多井(抜け番は古久根)。

東1局。ドラ。みな一様に手が重い。河野が自風の南をポンして300-500のツモ。麻雀の戦局的には、関係ない話だが、点棒支払のマナーについて一言。この場合、子の1人が100点棒を3本、もう1人が500点棒を1本、親が1,000点棒を1本支払う。すると、アガッた者が、1人の子に100点棒を2本、親に500点棒を1本返すことで、点棒の箱を開けることなく卓上で清算がつく。フリー麻雀ではなかなか見られない光景だが、S級4人の対局では、当たり前に行われた。こんなところにマナー美を感じるマニアックな人は、多くはないと思うが、RMUアスリートの若い人たちには、勉強になると思う。

東2局。南家土田の8巡目 

 ツモ ドラ

捨て牌は 。この捨て牌になる人も、そうはいないと思うが、土田と同じ選択をする人もほとんどないと思う。ドラトイツの手牌はメンゼンリャンハン手と同じことなのだから、カンでのリーチがほとんどの選択ではないか。捨て牌にが2枚離れて、ツモ切られているのもいい。確かにのくっつき(サンショク)は見えるが、崩れた場合にフリテンになる可能性もある。土田は打と構えてテンパイ取らず。2巡後には、ドラのを引いて打単騎を選択。14巡目にはリーチ 

 ドラ

当然のように流局。テンパイ表示の手牌を見た対局者はどう思うだろうか。少なからずショックを受けると思う。少なくとも私はショックを受けた。

東3局1本場。親の土田のリーチが7巡目。捨て牌は(リーチ)。おそらく、前局のリーチとこのリーチは連動しているのだろう。前局はアガれないと踏んでのリーチ。この局のリーチはそれを修正するためのリーチ。そして、それに捕まったのが多井だ。

 ロン ドラ

アガリ点こそ3,900だが、これが次局にも影響を残す。

東3局2本場。土田の仕掛けが5巡目、カンチー。これが、河野の6巡目リーチを呼び起こす。

 ツモ ドラ

ホンイツへのワタリも視野に入れて打っていた河野だが、親に仕掛けられて、テンパイが入ると引くに引けない。安め外側では、役なしだけにリーチと出る。打点より主眼は親落としなのだ。しかし、またしてもアガったのは土田。

  ロン

勝負牌でもないのに2連続で親に放銃する多井を、初めて見た。明らかに、土田ワールドに侵食されている。

東3局3本場。この日の土田はあまり好調とは言えない。少なくとも、本人はそう思っているだろう。だから、それを修正するための、仕掛け(鳴き・リーチ)を多用しているのだと思う。おそらく、麻雀の本質に近いものとは破壊と構築を伴う修正なのかも知れない。となると、2連続放銃の多井も修正を仕掛けてくる。8巡目にリーチ。

 ドラ

土田の追いかけリーチを受けるが多井がツモ。ウラドラは、ハネマン。マイナスがプラスに転じる。

東4局。1回戦が抜け番の阿部になかなか手が入らない。毎局のように、我慢した手組を強いられている。しかし淡々と、それでいて粘り強い打ち筋が阿部の魅力である。この局も確実に牌勢を積み上げている。流局になったが、南家、阿部の最終形。

 ドラ

河野のリーチを受けて粘る。いつか、爆発の予感。しかし、残念ながら、このハンチャンではそれは訪れなかった。

南1局1本場。土田にギャラリーびっくりの手牌が入っていた。土田の4巡目の手牌がこれ。 

 ドラ

スーアンコまで見えるイーシャンテン、ましてやアンコのはドラである。そこへ、河野が10巡目にリーチ。

 

同巡、多井が追いかけリーチ。

これは、河野のアガリを阻止するのが目的のリーチだ。土田は2軒リーチに全部向かう。阿部は完全に受ける。きっとリーチをした方が不安になるくらいの状況。阿部の手牌に河野のマチのが吸い込まれていく。土田の必要牌であるは1枚配牌から握りつぶしている。阿部以外の3者の必要牌は、が1枚、が一枚、が1枚、が1枚、が1枚、が1枚。まず、土田がをつかみテンパイにならなければ出ない状況、阿部に手牌にが入り収納される。河野も多井もアガれず、土田の必要牌も出ずにハイテイが河野へ。河野のハイテイツモは自身8枚目のマチであるとなった。何か不思議な局。河野のマンガンツモアガリ。

南2局。ドラ。4者ともに手が入らず、珍しい4人ノーテンの流局。

南3局1本場。ドラ。多井と河野がリーチを打ちあうも、阿部と土田が受け切って流局。

南4局2本場。オーラス時持ち点が河野36,600・土田30,400・多井30,400。供託のリーチ棒が2本ある。1回戦に続き、またしても接戦。河野のテンパイが5巡目。

 ドラ

定法通りにヤミテンに構える。多井も6巡目にのポンテンを入れるが、河野のロン牌のを掴んでしまう。2回戦のトップは河野で終局した。

2回戦結果 河野 +26.8 土田 +5.4 多井 ▲7.8 阿部 ▲24.4

3回戦

並びは親から古久根・多井・土田・阿部(抜け番は河野)。

東1局。やっと、阿部に手が入る。丁寧にまとめて9巡目にドラ切りリーチ。

 ドラ

2巡後には親の古久根が追いかける。

ここまで、見せ場のない2人の対決だが、勝負はつかず、流局。

東1局1本場。親の古久根が7巡目に のポン。連チャンをもくろむ。流局かと思っていると、終局間際にヤミテンの土田がツモ。

 ツモ ドラ

先取点を奪った形。

東2局。8巡目、親の多井がイーシャンテンでツモッたドラをアンカン。プレッシャーをかける。ドラのカンツをさらすだけに、次巡当然のようにリーチ。

  ドラ カンドラ

手にならない土田と阿部は受けにまわる。古久根が果敢に捌きに行く。阿部のを鳴いて、不自由な形ながらテンパイ。

 

土田が古久根に打って2,000点。いわゆる「差し込み」緊急避難の手筋で逃げた感がある。多井の待ち牌であるは、この時点で山に2枚残り。この局落胆するは、多井。胸をなでおろすは、放銃した土田の図式か。

東3局。全員の手が重い。終盤土田が親番維持の片アガリテンパイ。

  ドラ

古久根もテンパイした土田のを叩いて最後にテンパイを果たすも、流局。

東3局1本場。ドラ。にらみ合いの様相。4者の手牌がゴツゴツしたトイツ含みになっていく。ファン牌は対死で動きが取れない。土田のテンパイはチートイツで13巡目。2巡後にドラを引いてドラ単騎のヤミテン、手は高くなったが、重苦しい。かえってアガリが遠のいたようだ。しかし、テンパイを変える理由もない。またしても、流局。

東3局2本場。阿部の7巡目。普通にタンピンサンショクまで望める手牌。テンパイへの受け入れ牌種はの10種。これだけの手牌がもつれる。2巡後にテンパイするが、

 ツモ ドラ

普通はどうするのだろう。阿部の選択は打。とりあえずのドラ単騎。次巡ツモでピンズの5メンチャンになり、ドラ切りリーチ。2巡後テンパイした多井の打でロン。ウラドラで8,000のアガリになった。だが、ここで1つの問題提起。ツモのところでテンパイ取らずの打はいかがだろうか。出来上がったイーペーコー形を壊すのは「スジ悪」な気もするが、もう少しサンショクを追うことができる手筋ではある。

東4局。多井が動く。と続けてポン。ドラもツモ切って8巡目のテンパイ。

   ドラ

土田がチャンタ模様で仕掛け返し、流局。

南1局1本場。親番の古久根が6巡目にリーチ。

 ドラ

親番主張のリーチだ。ほどなくツモって連チャン。

南1局2本場。ドラ。古久根が3巡目にをポン。土田が打って1,500の2本場。
南1局3本場。ドラ。しかし、古久根の連チャンもここまで、4者の手が重く誰も前に出ない。流局。

南2局4本場。土田が6巡目から仕掛ける。

 ドラ

からチーの打を引きいれ、ダブルバックの形で多井のロンは1,000点。

南3局。9巡目に古久根がリーチ。

 ドラ

土田も遅れてテンパイするが、マチが古久根の現物なのでダマる。すぐに、阿部から出てピンフのみは1,500点。南場になってジャブの応酬である。ジャブは古久根や土田のイメージにそぐわない感があるが…。ジャブの打てないボクサーにノックアウトパンチが打てるわけがないように、1ハン手がアガれない麻雀打ちにマンガン・ハネマンはアガれないのかもしれない。

南3局1本場。2巡目に古久根がのポン。3巡目にはドラのをポン。急に乱打戦の様相。を鳴かせたのは土田。対局後「鳴かされた感がある」と古久根が言う局面だ。2巡後に古久根がを加カン。8巡目に多井がリーチ。これが勝負感なのだろう。もちろん待ち牌の読みの裏付けがあるのだろうが。土田も当然の追いかけリーチ。土田がドラを鳴かせた時からこうなることは、わかっている。

 ドラ カンドラ

新ドラがトイツのタンピン含みのリーチ。ジャブの応酬から、一転、3者で足を止めてのノックアウトパンチの打ち合いだ。古久根のテンパイ打牌で多井がアガる。多井のアガリがこの形。

 ロン 

ウラドラがで12,000。

南4局。トップ目の土田が4巡目から仕掛ける。

 ドラ

の手牌からペンをチーし、打。この仕掛けは紛れもない宇宙流。このあと多井から打ちだされるをスルーし、2つ目の仕掛けが14巡目のチー。なおも、2着を競り合う古久根のリーチ打牌のを、ポンしてテンパイ。古久根のリーチはサンアンコ出来合い、絶テンの
だが制したのは土田、その最終牌姿はこれ。

    ツモ

点数的にではなく、どよめきの起こるアガリでトップを決めた。

3回戦結果 土田 +29.6 阿部 +4.1 多井 ▲9.3 古久根 ▲24.4

4回戦

並びは親から阿部・古久根・土田・河野(抜け番は多井)。
東1局。ドラ。土田のテンパイ打牌の東に親の阿部からロンの声。ダブ東だけの3,900だが、無理をしない阿部らしいアガリ。

東1局1本場。河野が6巡目リーチ。

 ドラ

親の阿部がション牌のドラを切って追いかけリーチ。

体勢に感触を得たかのよう。河野がをツモってアンカン。カンドラ。いつも思うのだがリーチ後のカンはポーカーのレイズのような気がする。レートアップを引き起こすという意味だ。土田も追いついて3人目のリーチ。

河野が一発で高めのを掴む。ウラドラで12,000。

東2局。またしても土田が宇宙流。3巡目のをペンチャンでチー。6巡目のもチーしてこの形だ。 

   ドラ

そしてその捨て牌は。土田が喰い流したかのようなを河野が切ると、その牌に古久根がアガリの声をかけた。

 ロン 

ダブ東ドラの7,700にササる。河野にしてみれば2局続けて、不幸のドラマが訪れた。1回目の不幸を呼ぶドラマの主役は土田であり、2回目の主役は古久根である。しかし、両方共に作・演出は土田なのだ。

東2局1本場。土田の後ろ側、阿部の対面で観戦していた。5巡目に阿部がション牌のを切る刹那、「アレッ?」と思った。「まさかテンパイ?イーシャンテン?」卓内の注視を受けている。阿部のアガリ形。 

 ツモ ドラ

は1,000-2,000。

東3局。阿部が5巡目にをポンして打ドラの。98%テンパイだろう。残る2%はドラを手放しても価値あるイーシャンテンの筈だ。そのドラを河野がポン。戦う姿勢をみせるが、すぐに阿部のツモアガリ。

  ツモ ドラ

やっぱりネ。

東4局、阿部の手牌、8巡目。 

 ドラ北

阿部に流れが来たのか、そう思っていると阿部のツモ切りが古久根にササる。古久根の捨て牌は手牌は 

 ロン 

メンチンタンヤオは12,000。まったく油断も隙もない人だ。阿部にとっては「好事魔多し」といった感じか。

南1局。東場で傷を負い、持ち点がわずか7,500に追い込まれた河野がマンズのメンホン指向の捨て牌。ドラも6巡目に飛ばしている。河野に注目が集まる中、阿部が10巡目にテンパイ。

 ドラ

を引いてのテンパイだけにリーチもありそうだが、阿部はダマる。
だったら、1枚目は見逃そうと思っていた」

局後に聞いた阿部のコメントだ。これにハマったのが古久根。マンズのホンイツ仕掛けの古久根、直前の手出しで、を狙われた感じ。打ちは12,000、前局のお返しをさせられた。

南1局1本場。傷ついた野獣、河野が4巡目のリーチ。この時点での持ち点は、阿部38,700・古久根35,200・土田38,600・河野7,500。ラス目のリーチに、競り合う他の3者は戦えない。時間はかかったが河野が14巡目にツモ。

 ツモ ドラ

ウラドラで、なんとバイマン。やっぱり、S級ライセンスは油断のならない人達ばかりだ。

南2局。全員の手が重い。1番最初にテンパイしたのが古久根。牽制の意味合いもあり、リーチと出る。

 ドラ

その時、河野の手牌は

 

しかし、アガったのは阿部。

 ロン 

古久根がロン牌を持って来てしまう。

南3局。7巡目に、阿部からリーチ。ダウンを奪ったボクサーが一気にノックアウトを狙ってくるかのよう。リーチの2巡後にはツモ。

 ツモ ドラ ウラドラ

南4局。着順は変わらないが古久根がヤミテンで河野から1,000点。終局となった。

4回戦結果 阿部 +29.8 土田 +5.5 古久根 ▲11.1 河野 ▲24.2

5回戦

並びは親から阿部・多井・古久根・河野(抜け番は土田)。
東1局。配牌で4トイツの西家古久根ががアンコになった所で仕掛け始める。のポン、のポンを連続で入れて12巡目のテンパイ。

   ドラ

じつは、このテンパイ以前10巡目に北家の河野がテンパイ。 

受けは苦しく、役はなく、ドラもない。そのうちに古久根の仕掛けを受けてしまった。いつでも受けに回ってテンパイをはずす時がきそうだ。13巡目に河野の手牌にが入りリャンメン、ドラ受け、に振り替わる。しかし、まだ河野は戦う意欲を見せない。14巡目に古久根がドラをツモ切る。形上の河野のロン牌だが、役なしのためアガれない。河野はどういう思いだろうか。17巡目古久根がをツモりアンカン。新ドラはダブって。そして流局かと思ってみていると、河野が手牌を倒した。

 ツモ

ハイテイツモドラドラは2,000-4,000。8枚めのが高めでハイテイに居た。

東2局。配牌4トイツの西家河野が、3巡目にトイツを重ねてテンパイ。

 ドラ

マチを探っている。ドラなので、このままの形ではリーチに行きづらい。北家の阿部も4トイツの手牌で、チートイツに手役を絞って打としたのが、5巡目。同巡の古久根の手牌 

 ツモ 

古久根のは止まらない。河野の6,400のアガリ。2局続けて、展開の援護を受けた河野が先行した。

東3局。5巡目に多井がドラのを切る。手役が入っているようだ。テンパイだろうか、イーシャンテンか、怖い手役はサンショクか、そう思って見ている。他の3者も引き気味に打ち結果多井の1人テンパイ。

 ドラ

案外苦しい形だ。しかし、古久根の最終形がこれ。 

 

テンパイすると打たされる形だった。

東4局1本場。4者の手が重く、親の河野の一人テンパイで流局。

東4局2本場。河野が親番主張のリーチ。

 ドラ

同巡多井が追いかけリーチ。

2巡後、河野がツモって1,000オールの2本場。

東4局3本場。重い手牌を抱えて打ち進む中で親の河野が14巡目のチーテン。

  ドラ

タンヤオ系に見える仕掛けで、で出アガリ。サンショクのみのアガリだが、河野の持ち点は5万点を超えた。

東4局4本場。連チャン中の河野が手牌を目一杯に広げテンパイ即リーチ。

 ドラ

しかし、この局では、戦いを挑むチャレンジャーがいた。南家の阿部は河野のテンパイ以前にヤミテンを張っていたが、河野のリーチを受けて追いかける。

 

サンショク手替わりマチと親落としの意味合いでのヤミテンだったが、親がリーチなら、堂々と戦う。しかし、流局。

東4局5本場。7巡目に阿部がチーテン。

  ドラ

珍しい阿部の仕掛けだ。対局後観戦の土田がこの牌譜を確認していた。おそらく土田にしても、阿部の仕掛けが気になったのだろう。多井が8巡目にリーチ。

河野も追い付きダブをアンコにしてリーチ。

 

この局は多井のツモアガリで決着。

南1局。親の阿部の手牌が3巡目 

 ドラ

ドラのポンテンに備えつつ、サンショクも見える。しかしこれが、テンパらない。テンパイ1番乗りは河野9巡目にこのテンパイ 

 

ヤミテンピンフで局の進行を図る。そこへ、古久根のリーチ。河野がツモ切りで追いかける。今の古久根との戦いなら、勝算が立つのだろう。阿部もを引いてサンショク含みの追いかけリーチ。古久根がを引かされ河野のアガリ。ウラドラで3,900。

南2局。阿部が配牌で4枚入ったを2巡目にアンカンし、やる気満々の構え。新ドラ。そして10巡目のリーチ。 

  ドラ カンドラ

ドラ3枚入りのトイトイサンアンコ、ツモれば当然役満だし、出アガリでもバイマン。もちろん阿部は出アガリなど期待していないだろう。河野がぎりぎりまで押す。

 

カンドラ入りチートイツのテンパイを入れるが、ツモで回る。実際押してもアガレていないが。そう、阿部がツモったのが待望の。スーアンコの完成だ。

南3局。ドラ。この時点で阿部の持ち点が53,100・河野が50,400。トップ争いはこの両者にほぼ絞られた。親の古久根のリーチに立ち向かう者もなく、古久根の1人テンパイ。

南3局1本場。ドラ。ラス親を控える河野がピンフのヤミテン。阿部から出アガリ、積み場、供託を含めて持ち点で阿部を上回る。

南4局。ドラ。阿部50,800・河野51,700のオーラス。阿部の4巡目の打牌がドラの。観戦者から見たらほぼ勝負あった。阿部が打ち出すドラなら、たとえ鳴かれても勝算が高いのだろう。案の定、阿部がヤミテンでツモ。

 ツモ ドラ

阿部の連勝になった。

5回戦結果 阿部 +38.5 河野 +25.4 多井 ▲23.0 古久根 ▲40.9

第1節総合成績 土田 +69.2 阿部 +48.0 河野 +37.8 多井 ▲42.9 古久根 ▲112.1

最後に

1人の観戦者として、言いたい放題の観戦記になった。少しでも、臨場感が伝わってくれれば、と思っている。そのため5回戦全61局をすべて紹介した。

麻雀の見方は人それぞれだ。見る人の雀力によっても、見方が違う。極端な言い方をすれば、生き方によっても麻雀の見方は変わってくる。

打ち手のレベルが高いほど、その意思が対局に現れる。実際の勝ち負け以外の部分にも充分な見どころがある。

そして、第1節の結果は途中経過であり、今後どうなるのかは、誰にもわからない。

見どころ満載ですから、観戦者ご自身の見どころを探しに、どうぞ実際にご観戦ください。

そして第2節以降をお楽しみに!!

文責 真下修