RMU創立10周年記念アニバーサリースリアロ杯トーナメント決勝観戦記 |
RMUは今年度で創立10周年を迎えることができました。これもひとえに、いろいろな形で当会を支えてくださった皆様のおかげだと思っております。引き続き麻雀界の発展のために頑張って参りますので、引き続きご支援とご愛顧のほど、宜しくお願いいたします。
今回、十周年記念企画として開催したスリアロ杯トーナメントのレポートを、B級ライセンスの宮田が担当いたします。 私というと、予選は突破したのですが、本戦初戦で鈴木たろう、矢島亨(ともに日本プロ麻雀協会)、菊池一隆(一般、現第33期八翔位)という楽しい卓を引き当ててあっさり負けてしまいました。 大会のシステムは、RMU・Bルール(一発裏無し)を採用。そのラウンドの参加者全員で毎回組み合わせ抽選を行い、予選から準々決勝までは2人勝ち上がり、準決勝は1人勝ち上がりの各回3半荘の完全トーナメント形式。 (1回戦)仲川、伊澤、安藤、中井(起家から、以下同じ) 中井昌 実は、彼とはRMUができる前から親交があり、かつては共通の友人が主催していた麻雀の勉強会(しかも今回と同じ一発裏なし)でともに研鑽していたこともある。ワンデー大会以外の決勝は初だと思うが、数独の世界選手権に、数度にわたり日本代表チームで出場経験がある人なので、ある意味一番大舞台慣れしていると考えることも可能か。 (東2局)仲川300 伊澤280 安藤300 中井320
また、競技麻雀ではR1で3回優勝するもその先に進めず、他のタイトル戦でもいいところまで行くけれどなかなか勝てないでいたが、昨年度のスプリントファイナルでのオーラス劇的な逆転勝利でそれも払拭、今後のさらなる飛翔のためにもここは譲れないところだろう。 (東3局2本場)仲川333 伊澤185 安藤347 中井335
(東4局)仲川333 伊澤265 安藤267 中井325 (南4局)仲川520 伊澤142 安藤240 中井298 ここからを切ってソウズとタテに寄せようとするが、ツモで切ってののイーシャンテンから進まない。その間に安藤が、 ポン ツモ ドラを鳴いてから、字牌を立て続けに引いての満貫ツモで追い越してしまった。
(1回戦)仲川+35.0 安藤+7.0 中井▲9.2 伊澤▲32.8 (2回戦)中井、伊澤、仲川、安藤 (南1局)中井225 伊澤355 仲川296 安藤324 トイツの鳴きやすさを考え、だけでなくトイトイも視野に入れてこのをポン。そしてイーシャンテンから進まない伊澤を尻目に、 ポン ポン ポン ドラこのテンパイ。 待ちは4枚とも残っていて、持ってきたを加カンしさらに押していく。これに対し、配牌トイツだったドラを暗刻にしていた仲川が、 ポン ポン ドラ中井の切ったをポンして追いつくが、を掴んでしまい7,700の放銃。これで仲川がラス目に落ち、そのままの並びで迎えたオーラスで事件発生。 (南4局)中井302 伊澤375 仲川208 安藤315 第一打にを選ぶと、すぐにを暗刻にし、4巡目にを重ねた後、5巡目に4枚目のを持ってきてツモ番を増やすべく暗カン。9巡目に1枚使われているをツモって山に4枚残りのツモり四暗刻テンパイをダマテン。どこからでも出そうだったが、12巡目にツモって16,000オール。 (南4局1本場)中井142 伊澤215 仲川48 安藤795 こうなってしまえば、安藤は伊澤への役満放銃以外で着落ちすることはないので、俗にいう「点棒の壁」で好き放題に攻められる時間帯である。逆に子方は、着順アップやそれに相当するレベルのリターンがないと正面からは向かって行きにくい。そんな中、南家中井 3巡目に安藤が切ったをチー、さらに4巡目に切ったをポンして、遠いながらもドラのの所在を匂わせつつのホンイツかチャンタ模様で上家の安藤を牽制しようとする。しかし、直後に安藤がテンパイ ツモ ドラここで即リーチに行く人もいるかも知れないし、ピンズの形がいいのでマンズを切ってテンパイを取らずに変化を待って、 ツモ ドラここで切ってリーチに行く手順もあったように思うが、安藤の選択は切りのダマテン続行で、3巡後にドラを引くとオリてしまった。 結果的に、その時点でドラを1枚も持っていない上にテンパイもしていない、立場が弱いはずの3着目の中井の主張が通ってしまい、 ポン ポン チー ツモ ドラチャンタのみの3着キープのアガリで、怖い安藤の連チャンを阻止することに成功。 (2回戦)安藤+63.7 伊澤▲4.0 中井▲19.0 仲川▲40.7 (3回戦)仲川、中井、伊澤、安藤 安藤が相当遠くに行ってしまったが、まだ2半荘プラス新決勝が残っている。誰もが優勝を目指す以上、まだセーフティーリードとは言えない。 追う3者による安藤への挑戦権をかけた半荘が始まった。 (東1局) ドラ西家の伊澤があまり形はよくないが8巡目にメンホンをテンパイし、変化を見てダマテン。2巡後に中井が追いついて即リー。 ドラしかし、次巡ダマテン続行の伊澤にで6,400放銃。伊澤としても中井からアガると安藤との着順差をつけにくくなるので、それを嫌がったかロンの宣言に間があったように見えたが、リーチを受けている状況と、この待ちの枚数を考えれば止むなし、といったところか。 (東2局) 仲川300 中井226 伊澤374 安藤300 2回戦終わって2番手ではあるが、安藤とは75ポイントくらい離れていて、親番はあと3回。ここはツモ切りや切りの広さを取らずに、ドラをもう1枚使うか上の三色を見ての切り。 すると、と立て続けに引いてリーチ。中井も当たり牌のを引いてカン待ちのイーペーコーで追いかけリーチに行くが、 リーチツモ ドラ仲川が手首をしならせて高目のをツモって3,000-6,000。 (東3局) 仲川430 中井156 伊澤344 安藤270 筆者ならリーチしてドラツモの2,600オールを狙いに行きそうだが、伊澤の選択はツモからの三色の4,000オールを狙ってのダマテン。先にツモなら切ってのフリテンリーチも視野に入っているか。結果は先にドラをツモっての1,300オール。 (南1局1本場) 仲川416 中井105 伊澤412 安藤267 前局、仲川が中井から5,800アガってこの半荘のトップが入れ替わる。安藤にとってはラス目が離れたのはいいとしても一番近い仲川がトップ目に立って2着順差をつけられるのはいただけない。その安藤、前に出る手が来ずにしばらく大人しくしていたが、ここでようやく手が入る。 手牌にマンズが多く、6巡目には、 ドラこのチンイツまで見えるメンホンイッツー含みのイーシャンテンになっていた。一方、仲川はツモがドラ色のソウズに寄っていき、10巡目に ドラこちらもチンイツまで見えるメンホンのイーシャンテンになっていた。ただ、あとの2人がともに国士模様の捨牌で、2人合わせて4種持っている字牌はいずれも顔を見せていない。 イーシャンテンから4巡ムダツモが続いた安藤、11巡目にさらにションパイのを持ってきて、少し間を置いてを中抜く。 直前に安藤自身が場に3枚目のをツモ切り、伊澤の手出し(場に2枚目)があるのだが、それに何かを感じたのだろうか。もしくは、伊澤の手出しのタイミングが上手かったのか。 一方仲川は、直後にを引いてメンホンテンパイで切り。次巡にを引いて切って待ち変えするのだが、ここに間があったせいかこの後にソウズが打たれることはなく、1人テンパイで流局となった。 ちなみに、安藤がを切った後のツモ筋に、3巡後にが、最後のツモにはがいたので、安藤がイーシャンテンを維持し、ツモ筋が変わらなければ、どちらかを重ねてテンパイが入っていた。しかも、仲川の最後のツモがだったので、そこでどうなっていたか。 結果的に親権を維持できた仲川がその後の連チャンで素点を稼ぎ、5万点弱のトップを取って差を約半分に詰める。 安藤はかなり守備的ながらおもむろに前に出た時に相手の決定打を防ぐアガリもあったことで、自身のポイントは大きく減らさずに3回戦を終える。 (3回戦)仲川+34.7 伊澤+14.3 安藤▲3.8 中井▲45.2 (4回戦)安藤、伊澤、仲川、中井 伊澤は、新決勝を考えるなら安藤との約90ポイント差だけでなく仲川との約50ポイント差を含めたマネジメントが必要だろう。 中井はラス親を引いたことで、現実的には厳しいとはいえある程度は普通に打てるのではないだろうか。 (東2局2本場) 安藤285 伊澤347 仲川295 中井273 親で連チャン中の伊澤、配牌からトイツだったW東の2枚目が切られても見向きもせず、 ツモ ドラダマテンで満貫確定のテンパイを入れ、即リーに踏み切る。もちろん、ダマテンに構えて安藤からの直撃を狙う手もあると思う。 しかし、伊澤の立場からすれば、優勝を狙うためには先に述べたように安藤だけでなく仲川との差も詰めないといけない上に、中途半端に安藤だけ沈めてしまうと、この後に控える新決勝で仲川の条件を軽くする=2人競りになる=自身の優勝が遠のく、と考えたのかもしれない。 リーチの時点では仲川が1枚切っていて安藤の手に1枚浮いていて、山に2枚。安藤はダマテンだったらすぐにでも切りそうだったが、リーチを受け、その後重なったことで出なくなる。しかし、伊澤が最後の1枚を引き当てて6,000(+200)オールのツモアガリ。 この3,900(+900)を直撃したことで、伊澤と安藤がトップラスの関係となる。さらに仲川は、持ってきた親番で ポン ロン ドラ 連続の2,900をそれぞれ安藤と伊澤から出アガリ。これにより、ついに僅かながら仲川がトータルトップ目に躍り出る。 (東3局2本場) 安藤146 伊澤501 仲川342 中井211 ダマテンの満貫テンパイが入る。これが決まれば素点だけでなくこの半荘の着順も中井より上になるので一息つけるところだったが、ここから他3人がバタバタと仕掛けて、 中井 あっという間に全員テンパイ。直後に安藤が押さえつけるべくツモ切りリーチを敢行するが、直後に安藤と待ちが被っていて一番残り枚数の少なかった中井のツモアガリとなり、チャンスを潰されてしまう。 (南3局1本場) 安藤97 伊澤553 仲川343 中井207 このリーチ。追いかける立場の伊澤がドラドラのチートイツイーシャンテンから無筋を並べて勝負に行くが、リーチを受けた後にが暗刻になってしまい、テンパイ時に選択の余地のないテンパイ打牌となって5,800(+300)放銃となる。 (南3局2本場) 安藤97 伊澤492 仲川404 中井207 スタート時は仲川を37.9ポイント上だったが、この半荘削られ続けて逆に12.8ポイント下となっていた西家の安藤に久々のチャンス到来。 ツモ ドラ小四喜まで見える手だが、第1打にを選ぶと手なりで進めていき、6巡目に ツモ ドラこのメンゼンテンパイが入り、ダマテンに構える。そして、脇の仕掛けが入った後にをツモって1,300-2,600(+600)で仲川の親を終わらせた…のだが、結果的にはこの局が最後の勝負の分かれ目になってしまった。 2本場で12.8ポイント上の仲川が親ということは、満貫ツモなら仲川とピッタリ並ぶのである。さらに、まだこの半荘はラス目のままながら3着目の中井と200点差になり、他2人が中井から出アガる、もしくは何をツモアガっても安藤の着順が上昇する形になる。 そうなると、オーラスの仲川はアガリにくくなるし、逆に伊澤が、上2人同点で新決勝を迎えるのは最悪という考えで、両者に差をつけるためにオーラス安藤を3着=トータル単独トップ目に押し上げるアガリを狙ってくれたかもしれない。 中井はテンパイ目指して前に出てくるだろうし、仮にノーテンならテンパイノーテンでラス抜けできる。 それを考えると、小四喜を含みにしながら途中持ってきたやを残してピンズのホンイツ、もしくはこのテンパイを組んだならリーチツモ狙い、の満貫ツモ(以上)を目指す手があったように思う。 オーラス、安藤の配牌ドラトイツや仲川に伊澤直撃でトップ逆転となるテンパイといった波乱の種が潜んでいたが、伊澤が中井からピンフのみをアガって、最低限のトップは死守して終了した。 (4回戦)伊澤+33.7 仲川+12.6 中井▲16.8 安藤▲29.5 (新決勝)安藤、仲川、中井、伊澤 仲川は当然アガれば優勝、親を引いた安藤は1,300オールか4,800で即優勝となる。 伊澤はトップまで約30ポイントなので、親を持ってきての6,000オール+αが現実的な線か。中井はとにかく親を持ってきて大連荘するしかない。 そんな4人の配牌がこちら(ドラ) 安藤 中井も伊澤もいい配牌だが、アガればいい仲川に自風のがトイツで入ったのが大きい。逆に安藤は最悪レベルの配牌で、あまりに差が大きすぎた。 早い段階でが鳴け、急所のが安藤から鳴けて勝負あり。
これが大会を締めくくるアガリとなった。 こうして、スリアロ杯RMU10周年アニバーサリートーナメントは、B級ライセンス・仲川翔の優勝で幕を閉じた。 最初に記したように、仲川とは十数年にわたって色々な場所で卓を囲んでいるのだが、近年ますます強さを感じるようになっており、今は互いにR1でよく当たるけども、それ以上の大きい舞台で渡り合いたいな、と思いました。 また、決勝で敗れた他の3選手も持ち味を発揮してくれたおかげで、いい決勝戦になったと思います。 最後になりましたが、今回のトーナメントに多数のご参加をいただき、誠にありがとうございました。記念大会なので少なくとも来年は開催されませんが、来年度以降も色々な競技麻雀大会で皆様とお会いしたいと思っております。 今後も引き続き、RMUを宜しくお願いいたします。
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