第6期 RMUリーグ第7節レポート

RMUリーグも第7節を迎え、残り16半荘となった。ここまでの成績は以下の通り。多井+102.6
谷井+6.4
阿部▲9.9
河野▲100.1多井が2位と100ポイント近くの差をつけて独走しているように見える。だが、オカもなく順位点も小さいRMU・Aルールでも1節で十分ひっくり返る可能性がある差でしかない。放送でも触れたが、6節終了時に上下200ポイント程度の差というのはRMUリーグ史上最少である。ましてや、この展開だと多井に対し若干マークがきつくなることも予想されるため、いくら多井といえどこのまま楽に行ける状況ではない。ここで差がさらに詰まれば今後がさらに面白くなると思いながら、松ヶ瀬とともに筆者は解説に臨んだ。(1回戦)谷井、多井、阿部、河野(起家から、以下同じ)

開始早々、多井の配牌が相当よく、あっという間に4巡目テンパイ。

ツモ ドラ

多井は当然のように切ってテンパイ取らず。

もちろん、テンパイを取ることが絶対に悪いわけではなく、イーペーコーの外側で若干ではあるがは使いにくい。しかし、くっつきの種のにくっつけば最高でタンピン三色まで見える形。

まだ他の3人とも字牌整理中で、どう見ても自分が一番早くて高くなりそうということでペンチャンを払う。すると、次のツモが最高のでリーチ。誰も向かえる者はなく、ほどなくして高目のでハネマンツモの滑り出し。

2人テンパイの流局を挟んで東2局1本場、多井いわくポイントだったという1局。

南家の阿部が

この河でリーチ、次巡多井が、

ツモ ドラ

ドラを引いて雀頭のないテンパイに取れる形。

多井は、こういった場合は6連続形を生かしてテンパイに取ること多いと、かつて著書に書いていたことがある。一発目の上に唯一の3メン待ちとなるが場に2枚とドラ表示牌のが1枚見えていてやや微妙。

結局テンパイを取りきれずにと切って、最終的にはオリに回る。

この局は阿部が待ちの1,300-2,600(+300)をツモアガるのだが、仮に単騎テンパイに取れていれば阿部のツモアガリの直前にを連続で引いており、放銃することなく
リーチなら4,100オールをツモれていたことになる。

そのためにはと無筋を4本通す必要があるのだが。

その後、河野にらしいアガリが飛び出すのだが、多井が自然な手順でアガリを重ねていき、

ロン ドラ

南場の親でアガったこの9,600が決定打。

これに放銃した谷井は、阿部にリーチ負けしてのハネ満放銃もあってハコ下まで転落。

多井+37.4、阿部+17.9、河野▲5.7、谷井▲49.6

終局後の多井は、もっと叩けるはずだった、という感想。とはいえ、差はさらに広がって後続と130ポイント以上になった。

(2回戦)谷井、多井、河野、阿部

東1局、多井がドラ表示牌のを早めに切れるくらい十分すぎる手材料から、

チー ポン ドラ

このマンガンテンパイ。

待ちは両方とも1枚ずつ切れていてつかめば止まりにくく、また多井の半荘かと思っていた。しかし、その陰で谷井がひっそりと機をうかがっていた。

多井がチーテンを入れた直後に、

ツモ ドラ

谷井らしい6ブロックの構えに、ドラドラを生かせる絶好のラスを引く。

マンズとソウズのカンチャンの選択は、が2枚見えている上に前巡に自分でを切っていることもあり、ソウズの方を残す。すると、やはりというか両面が先に埋まり、選んだカンチャン待ちでリーチに踏み切る。

これに対し、正面から応戦した多井がをツモ切って谷井の今日初アガリはトータルトップの多井からの嬉しい7,700。

しかし多井は、次局1つチーしてのホンイツ高目イッツーの1,300-2,600(+300)をあっさりツモアガって放銃分をほぼ回収。簡単には沈んでくれない。

東3局、南家の阿部が、

ドラ

1巡目に下家の谷井の切ったをポン、続けざまに多井が切ったも仕掛ける。

遠くて高い、仕掛けの常とう手段の一つだが、阿部がこういう仕掛けをするのは見慣れていないので新鮮だった。解説の松ヶ瀬(B級)が言うには、最近たまにするらしいが…。

親の河野の下家というのもあって牽制になればなお良かったのだが、河野は委細構わず、

ピンズを連打してのリーチ。これに対し、一発目の阿部。

ポン ポン ツモ ドラ

ここから、一瞬に手がかかったが結局を切ると、次のツモもでテンパイを逃す。それどころか

ドラ

このチートイツドラ単騎待ちリーチだった河野がすぐにをツモ切って、5,200のアガリを逃す。

確かに親リーチの一発目で慎重に行きたくなる気持ちは分からなくもないが……。

ここからさらに局面が進んで、

ポン ポン ドラ

ここから河野のツモ切ったをカンチャンで鳴いて、シャンポンのテンパイを取る。

直後のションパイのもツモ切って、これはドラ以外ツモ切って勝負するのかと思いきや、を引いて手が止まる。

そして少考の後を切ってテンパイを崩す。

もちろん、残り筋が少なくなって来ればそれだけ無筋の当たる確率は上がるが、それと同時に普通のリャンメン待ちでない可能性も上がっていく。

ましてや、河野のリーチまでの打牌を見れば、リャンメン待ちでない可能性もそれなりにあるように見え、その場合、はドラほどではないにしろ、放銃の危険性がありうる牌でもある。

なにより、放銃となってしまった場合、ちょっと後を引きそうでもある。

幸い、今回は放銃ではなかったのだが、次のツモがよりによって……それ以降もアガれない、さらには4枚目のも持ってきて、ツモ山に疑問手の烙印を押されたかのような牌が河に並ぶ。ドラのは王牌で、2人テンパイで流局したのがせめてもの救いか。

その後、河野に好配牌から8巡目に、

ツモ ドラ

タンヤオドラ3のテンパイが入り、ヤミテンに構える。それと前後して、多井は

ツモ ドラ

ここから、次巡河野テンパイと同巡にと払ってロン牌のを浮かせる。

何をしているのかと思ったが、単にチートイツに向かったのではなく、ドラドラのチートイツに見せたかったとのこと。実際に阿部と谷井はその術中にはまってオリたのだが、ドラアンコテンパイの河野はツモ切りを続ける。

そうして、イーシャンテンながら重なる牌が全て脇に流れた15巡目にを引いた多井は、河野の手をイーシャンテンと読み違え、ワンチャンスので満貫を放銃する。

多井にしてみれば河野がトップならまだましかと思っていたかもしれないが、次局、多井がらしくない軽い仕掛けを入れた瞬間、

リーチ一発ツモ ドラ

谷井が倍満をツって多井の親かぶり。

入り目はで、形だけ見れば僥倖に見えるが、イーシャンテンの時点で、横に伸ばせ、あわやチャンタの目もあるを見切って安全牌に持ち替え、即リーチに行ける形にした会心作。逆に、多井は完全に目論見が崩れてやや渋い表情。

谷井+39.9、河野+14.3、阿部▲11.5、多井▲42.7

結局2回戦は1回戦とは真逆の並びで決着。多井にしてみれば、ほぼ無風で2半荘消化できたとも考えられるが…

(3回戦)谷井、阿部、多井、河野

東1局、4巡目の阿部

ドラ

ここから、上家の谷井が切った2枚目のに手が止まるも、思い直してツモ山に手を伸ばす。

この時点で下家の多井の河がと少々派手になっていたのを見て警戒したのだが、これが大正解で、多井の手は

ドラ

となっており、染め合いをしていれば多井が下家ということも加味して、多井があっさりテンパイを入れていた可能性が高いと思われる。

本譜は、河野が仕掛けてテンパイを入れ、阿部がマンズを押さえきってカン待ちながら役ありテンパイ。谷井が、

ツモ ドラ

その当たり牌のを重ねてピンフのみながらリーチと3者に先行される。

直後に阿部が切った谷井の現物のが鳴けてやっと追いついたものの、直後に谷井がツモ、裏がで4,000オールとなった。

結果的に親のマンガンツモアガリになってしまったが、ここは親よりもトータルトップの多井に走られたくない局面で、阿部の好判断と言えよう。

その後は阿部が河野からヤミテンのマンガン出アガリで隊列ができ、さらには河野と阿部が細かくアガって二極化する。オーラスに河野が連荘し、

谷井39,300、阿部27,300、多井24,900、河野(親)28,500

この点棒状況でオーラス2本場、北家多井の手牌。

ツモ ドラ
1,2巡目に連続でを引いて4枚になるが、さすがに形が悪すぎてカンはまだ先かと思っていると、3巡目のここで暗カン。

確かに、現状ラス目で暗カンしてアガれれば最低3着、うまくいけば2着は狙え、ツモも1回増やせるので、されてみれば理にかなっている暗カンといえる。が、生放送されている場で実際なかなかできるものではないと思う。

本譜はこれがうまくはまり、カンドラがと使える牌。さらには阿部がテンパイに向けて切った牌とうまくかみ合って、

チー チー 暗カン ドラ

ようやくこのイーシャンテン、一方、鳴かせた方の阿部は、

ポン ドラ

アガれば2着のテンパイ。多井は次にドラのを引いてツモ切り。これを

ドラ

ここからポンしてイーシャンテン、で放銃して終了……と思ったら切ったのは。阿部への放銃回避、なのだがどうにも途半端な気がした。

確かには多井に通しにくい牌ではあるのだが、ポンの時点で前に出ていくならはかなり使いにくい牌になってしまう。その上に受け入れも狭くなってしまうので、ポンして切りきれないくらいなら鳴かずに1枚安全牌として切ってリャンメンターツにしてもよかったのではないかと。

ほぼないとはいえ、多井にマンガン放銃はトップまで入れ替わってしまうのだから。

これでどうなったかというと、谷井に入っていたはずのが多井に入ってテンパイ。直後に河野が、

ツモ ドラ

前巡に目いっぱいに構えたのが仇となってが押し出され、多井のアガリとなる。

谷井+24.3、多井+8.5、阿部▲7.7、河野▲25.1

局後の谷井は、で多井に放銃するのは、マンガンはないとは思うけど嫌だったので切りきれなかったが、阿部にもかなり危険な牌なので、阿部にアタマハネで放銃なら、という感じで切るのもあったかな、とのこと。

一方の河野にしてみれば、谷井→阿部の横移動でも3着には落ちるが多井より上で終われていたので、最悪の展開となった。

(4回戦)河野、阿部、多井、谷井

谷井がいきなり

ツモ ドラ

テンパイしてすぐのハネ満ツモアガリ。これを親かぶりした河野が南場の親番で

チー ポン ツモ ドラ

多井の先行リーチをかいくぐってオナテンの4,000オールをツモアガって谷井に並びかけるが、

リーチ一発ツモ ドラ
リーチ一発ツモ ドラ

2局連続のメンピン一発ツモドラのマンガンツモアガリで、一気に突き放す。

2着以下がそれぞれ1万点以上ずつ離れて、ラス親は断トツの谷井で完全に大勢が決まったかと思ったオーラス、阿部が

ドラ

多井が暗カンしていたこともあり、裏2枚期待のリーチに行く。これに対し、暗カンしていた多井は、

暗カン ドラ

このイーシャンテンにを引いて少考。

メンチンのイーシャンテンで、かつ阿部がこの点数状況でリーチとくるなら、ピンズで放銃したらサンショクが絡んでハネ満も考えられるという思考から一番安全そうなを切ったのだが、この後のツモが

仮に、上記手牌からが阿部含め3枚見えていることから打とでも行ければ、阿部がツモ切ったで三倍満をアガれていた可能性があった。

ここでは、丁寧にテンパイを入れていた河野が、ハイテイでツモって対局終了。

谷井+37.2、河野+14.5、阿部▲14.4、多井▲37.1

 

順位 選手名 合計 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦
1 多井隆晴 68.5 54.6 ▲25.4 8.6 34.1 ▲15.2 45.9 ▲34.1
2 谷井茂文 58.1 ▲4.6 24.2 ▲24.1 ▲2.2 46.8 ▲33.7 51.7
3 阿部孝則 ▲25.6 ▲18.5 4.4 ▲9.8 ▲21.1 ▲15.0 50.1 ▲15.7
4 河野高志 ▲102.0 ▲31.5 ▲3.2 25.3 ▲10.8 ▲17.6 ▲62.3 ▲1.9

終わってみれば初戦ハコラスの谷井が1人浮きで一気に多井に並びかけ、初戦大きいトップだった多井が最もマイナスしたもののかろうじてトータル首位をキープした1日となった。

阿部、河野にしてみれば、トータル首位との差は若干詰まったものの上が2人になったため、優勝するには優勝スコアを下げるべく2人を削らないといけなくなった。

以上、長くなりましたがこれでも厳選してお伝えしており、全てをここでは伝えきれません。

この戦いに興味がおありでしたら、スリアロチャンネルに加入し、ご視聴していただけたらと思います。第8節は12/23(火・祝)に行われます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

宮田信弥

(文中敬称略 文責・宮田信弥)