第5期 RMUリーグ第9節レポート
RMUリーグ第9節のレポートを小林景悟がお送りします。___

年明け早々の開催となった第9節。晴天も気温は10度ほどでかなり寒い。会場一番乗りは阿部。続いて河野と、体調不良を押して出場の多井。最後に谷井。

8節に続いて2回目となったニコ生での放送。四者に緊張の色はほとんど見られない。新年の挨拶もそこそこに対局室へ。

◆1回戦。

東2局。親の多井にいきなり大物手。

ドラ

入院している病院を半ば無理に抜け出し、ここに来ている多井。体調が関係したわけではないが、この待ちはリーチの時点でジュンカラ! 試合後すぐに、「ダマテンで良かったかな」とつぶやくことになったこの手は流局。

この回戦は谷井が好調。三面張のリーチをしっかりツモりマンガンに仕上げるなど、終始安定したリード。

初解説となった萩原プロは、同じく解説の片山まさゆき先生とのコンビネーションが抜群。滑らかに持論を展開しつつ、視聴者に向けてわかりやすい解説をしていた。出場選手を熟知している利もあっただろう。

谷井の決定打は南場の親になってからのこの手。

ドラ ポン ツモ

ツモ次第で待ち替えも考えられたが、これをしっかりツモって4000は4100オール。

ドラ暗刻のラッキーな手と思うとそれは違う。この手には実に悩ましい一巡があった。

7巡目の谷井。

ツモ ドラ

離れたを切るか、チートイツは見ないとしてに手を掛ける人が多いこの手を、谷井は保留の打。局面を捉えたからではなく、まだどうなるかわからないからこその謙虚な迂回策。結果、次巡にツモポンでポンテンからの上記のアガリとなった。

1回戦終了

谷井+39.6
阿部±0
河野▲11.6
多井▲28.0

◆2回戦。

多井の顔色が明らかに悪い。先日行われたオープンリーグでは優勝しているが、まったく体調が回復している様子はない。それでも淡白に打つことなどなく、自らのスタイルを貫くところに感銘を受けた。

この人は麻雀が好きなのだ。愛しているのだ。卓についてしまったら、何も妥協はできないし、悪いなら悪いなりの自分を少しでも良くなるように表現する。なぜ多井が勝ち続けるのか。派手な手をアガり、他家のロン牌をぴったり止めるところだけが強さではなく、本当に地味な、誰もが面倒でやりたくないことを続け、逃げ出したいような場面もそうしない、麻雀道を歩む覚悟があるからこその強さなのだ。

この日まで暫定トップの河野だが、この日はドラドラの手を幾度となく手にするも成就しない。また、親番のテンパイを谷井⇒多井の差し込みで流されてしまうなど、首位にいるからこその苦しみを味わっていた。

東2局、親の阿部に早いテンパイ。

ドラ

カンチャンのこの手はダマテン。すると多井がリーチ。

ドラ

イッツーも三色も見えた素材だが、最速のテンパイとなったカンチャンで迷わずリーチ。これがなんとリーチの時点で3枚山にいた。

阿部より先にツモるかと見ていると、しかしここは親の勝利。阿部が2000オールをツモって抜け出した。

阿部は南場の親でもレンチャン。ことごとく多井の反撃の狼煙に水をかけ、このゲームをトップで終了。苦しい配牌を諦めず、粘り、丁寧にまとめる老獪な麻雀を見せた。

2回戦終了

阿部+31.3
河野+9.2
谷井▲9.6
多井▲30.9

◆3回戦。

東1局、子方の谷井が素直な先制リャンメンリーチ。打点は500.1000も谷井らしいシンプルなリーチ・ツモの攻勢で、今期の後半戦になって苦戦が続いた谷井の復調を感じた。

ドラ ツモ

先日読んだ麻雀の戦術本に、東1局のアガリはトップ率を高めるために大切というようなことが書かれていた。それをふと思い出すアガリだったが、谷井はそのまま終始優勢でこのゲームを駆け抜けることに。

東場の親の阿部、面白い配牌を手にする。

ドラ

字一色まで見える。とポンしてイーシャンテンに。

ここに勝負をかけたのが谷井。親の現物待ちも関係なし。ピンフリーチを一発で高目ツモ、さらに裏を乗せて3000.6000。チャンピオンとなった昨年度の谷井が戻ってきた。

ドラ裏ドラ 一発ツモ

3回戦終了

谷井+21.5
阿部+8.5
河野▲9.5
多井▲20.5

◆4回戦。

ここまで3度ラスを引かされている多井。優勝の目をつぶさないためにも、ここはどうしてもプラスを叩いておきたい。しかし展開はまだまだ思うようにいかず、東4局の親番を迎えるころにはまたしてもラス目で18000持ち。なんとか立て直したいところでチートイツのリーチをかけるも、阿部にのみ1300でかわされてしまう。

ドラ ロン

ここまで手が入らない河野だが、ここでトップを取っておくと最終節が楽になる。南場の最後の親でのレンチャンを目指すも、阿部がポンテンを取り、河野には長く親をやらせない構え。

すぐにアガれたら良いのだが、河野も黙って見ているわけではない。カンチャンの役なしテンパイから待ちのを多井に打たれるとすぐさまツモ切りリーチ。一枚打たれてからのリーチは役なしからのリーチの基本手筋。確かにあたりは読み筋から外れるが果たして……。

さて、どうなるかと見ていると、河野の思惑通りに阿部からロンアガリ。裏は乗らずのテンパネ2400点。

ドラ 裏ドラ

南2局。ここでは河野の繊細さがよく出た。

阿部が早いメンホンのテンパイでこの形。

ドラ

マンズの高い阿部に、孤立のを最後まで打たず脇の決着を待つ。結果は親リーチをかけた谷井が、追いかけた阿部に放銃し12000となったのだが、阿部としてはできれば河野からアガり、首位を苦しめたかった。

ドラ ロン

試合後の河野は、「阿部のテンパイ気配は感じていたから、マンズは切る気がなかった」とのこと。

さて、この日、プラスでまとめている阿部。最後にも見せ場が。

ドラ

実はこれ、この日3度目の四暗刻テンパイ。谷井、河野がそれぞれテンパイし、成就せず。この手こそと思っていたが、すぐに谷井にかわされ阿部は深いため息。が、ネット対局で十分に視聴者を楽しませたと思う。

最後の焦点は多井と谷井のラス抜け争い。多井本人にもおそらく記憶にないであろう一日4ラスがあるかと思われたが、最後も阿部がアガってなんとか多井は3着。

ドラ 一発ツモ

4回戦終了

阿部+20.3
河野+12.9
多井▲21.4
谷井▲31.8

<トータル成績>

河野+208.4
多井+25.8
谷井▲61.2
阿部▲175.0

詳細は書かなかったが、河野は親でツモリ四暗刻のテンパイが空振りとなるなど、精神的に辛い展開が続いたように思える。結果はさすがに見えてきた勝負だが、誰一人手を緩めないゲーム。スコア上は盤石も、最後まで苦しめられる戦いとなるだろう。

第10節は2月15日(土)12:00から。

ご視聴よろしくお願いいたします。

小林景悟
文責・小林景悟