2011クラウン決勝レポート
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2011年もあと2ヶ月余り、少しずつ秋の訪れを感じてきた2011年10月22日、第5期RMUクラウン決勝が行われた。

様々なドラマを生んだ予選、本選の厳しい戦いの果てに、決勝に勝ち進んだのは以下の4名。

(決勝通過順)
まずはRMU、B級ライセンス『不動心』山下健治プロ。

山下「今まで勝ち進んだ決勝戦の成績が4、1、4位ときているので、次は1番なんじゃないかな?と思います(笑)。それを信じて優勝できる様に頑張ります。」

次にRMU代表、S級ライセンス『最速最強』多井隆晴プロ。

多井「これからの麻雀界にとって、いい影響を与えられる麻雀を打ちたい(いい牌譜を残したい)。」

続いてRMUアスリート、内田良太郎選手。

内田「ワクワクしてあまり寝られませんでした。緊張感より楽しみ感のほうが強いです。試合が終わった時に0.1ポイントでも他の3人より上にいる様に頑張ります。」

内田良太朗

最後に紅一点、最高位戦日本プロ麻雀協会から谷崎舞華プロ。

谷崎「緊張はしているが、悔いの無い麻雀を打ちたいと思います。最大限楽しめたらいいと思います。」

谷崎舞華プロ

今回の決勝戦はブログでの企画もあり、内外共に盛り上がっていて始まりからギャラリーも多く、注目が集まっている。

各選手の準備が早めに整い、定刻前に決勝が始まった。
谷崎舞華プロ
1回戦
起家から多井―山下―谷崎―内田

東1局、北家の内田が序盤から積極的に攻めていく。

5巡目
ポン ドラ

対して出親を軽々と蹴られてたまるかと親の多井も攻め返す。

7巡目
ポン

これは内田に軍配。

ポン ポン ツモ ドラ

1000、2000のアガリながら、決勝戦という大舞台で躊躇なくポンの言葉が出るあたり、内田の入り方は上々のように見える。

東4局には谷崎が序盤から動く。

4巡目から少し遠いがポンから仕掛けて途中を加カンしてカンドラも乗っての17巡目での1300、2600ツモ。

ドラ カンドラ

谷崎もこの決勝の空気に、段々と馴染んできたようだ。

南1局、本日初のリーチ発声、発声者はヤル気マンマン内田。

リーチツモ ドラ ウラドラ

このリーチをツモアガリで終われたのは本人的には相当気分が良いだろう。

この時点での筆者から見た決勝戦の入り方の印象。
◎内田、谷崎
○山下
△多井
といったところか。

そして南2局1本場、本日一発目の大物手が炸裂。

ロン ドラ ウラドラ

ロンの発声者はここまで比較的おとなしかった山下。

親での本手が決まりアガった本人の心境は如何に?

逆に放銃した多井は中々苦しい。

しかしその立て直し方は流石といったところか。

南2局2本場
リーチツモ ドラ ウラドラ

すぐさまこの1300、2600をツモる。

しかし親満放銃のダメージは回復できず、ラススタートとなってしまう。

1回戦終了時
山下 +24.5
内田 +9.0
谷崎 △5.0
多井 △28.5

本命がいきなりラススタートの大波乱。多井には申し訳ないが、この先の展開が楽しみになってきた。

2回戦
起家から内田―山下―多井―谷崎

東1局、北家の谷崎からリーチ。

ドラ

ドラをツモればハネ満の手だったが、ここは多井がピンフでかわす。

ロン ドラ

東2局は多井の一人テンパイで点棒の連続収入があって迎えた東3局1本場の親番。

リーチ一発ツモ ドラ ウラドラ

これを一発でツモり、雀頭がウラドラになり4100オール。

続く2本場も親満をツモアガり一気に6万点近くまで点棒を増やす。

リーチツモ ドラ ウラドラ

1回戦の悪い入り方が嘘のような連続アガり。

何か吹っ切れたように筆者には見えた。

2回戦は多井の独壇場。
最終的には6万点オーバーのトップで1回戦の借金を返済。

2回戦終了時
山下 +26.5
多井 +17.5
谷崎 △20.2
内田 △23.8

3回戦
起家から多井―山下―谷崎―内田

東1局、南家山下が先ずは先制。

ロンドラ

これを谷崎からアガって5200。

ここまでの山下、焦る事もなく相当落ち着いて打てているな、と感じる。

東3局、ここで対局者全員の何かのスイッチが入った。

まず西家多井が12巡目に先制リーチ。

ドラ

高目三色ドラ1のリーチを受けた南家内田。

テンパイと同時にドラを強打。そのドラを親の谷崎がポン!
一気に緊張感に包まれた。

14巡目 内田
ドラ

谷崎
ポン

しかし良く見てみると、内田はフリテン、しかも高目は3枚切られている。

あと1枚は確かに山にいるが、これは如何せんやりすぎではないか?

更には、北家山下が将来の完全安牌を持ちたいがために、他には通っているが親にはノーケアの先打ちで、親の谷崎にテンパイを入れさせてしまう。

結果は谷崎、多井の二人テンパイで流局。多井はさぞかし肝を冷やした事であろう。

山下、内田はこれまでの決勝での戦い方からは考えられない豹変ぶり。

決勝戦の緊張感がそうさせたのか、それとも緊張が解けてリラックスした状態になった本来の姿なのか?

試合後の内田に話を聞くと、多井に対しては中筋であり、さらに普段の多井の打ち方から、このリーチにカンはあり得ないという読みがあった上での打だったとのこと。
は残り1枚とはいえ、他の3人が使っていないという確信も手伝っての勝負だった。

なにはともあれ、3回戦は小場を制した谷崎が嬉しい本日初トップ。

暴走モードに入ってしまった山下、内田はこの小休止の間に冷静になれるであろうか?

3回戦終了時
多井 +9.8
山下 +6.5
谷崎 +3.7
内田 △20.0

4回戦
起家から多井―山下―谷崎―内田

東1局、南家山下が仕掛けてこの形。

ポン ドラ

これで押して行くが西家多井にドラで放銃。

ロン ドラ

やはり前の半荘を引きずっているかと思われた東2局山下の親番。

多井、内田が早い巡目から仕掛けていくが、その動きでいい方向に進んだのが親番の山下。

リーチ一発ツモ ドラ ウラドラ

更に同1本場。

リーチ一発ロン ドラ ウラドラ

これを谷崎が出アガり連続で親満をアガる。

暴走モードの攻撃力がいい方向に向いてきたようだ。

苦しくなってきたのは谷崎。

東4局にも山下に満貫を放銃してしまい残り900点。
迎えた南1局、谷崎の親番。

この親でダメージを回復したいところでこの手をアガる。

ポン ツモ ドラ

この4000オールと同1本場でのアガりで、持ち点をかなり回復。

しかしこの半荘は山下が要所でアガり、6万点のトップ。

一方、内田と多井は、最終5回戦に向けて少しでも素点、順位を上げたい。

オーラス、軍配は多井に上がる。

南4局1本場、親の内田が少しでも素点を稼ぎにいったところ、谷崎のリーチに捕まる。

谷崎
リーチロン ドラ ウラドラ

この3900は4200に放銃した内田が、4000点差の多井を逆捲りで3位後退、多井は2位浮上となった。

4回戦終了時
山下 +52.1
多井 +5.8
谷崎 △23.7
内田 △34.2

5回戦
起家から谷崎―多井―内田―山下

長かった戦いもついに最終戦となった。

ラス親は現在総合トップの山下、これは山下にとってはポイント状況と合わせて若干有利ではないだろうか?

東1局、多井のマンガンの仕掛けに対して山下が冷静にアガり、局を流していく。

ロン ドラ カンドラ

東2局、親の多井が5巡目リーチ。

ドラ

ここで内田に試練の刻、ドラが頭のチャンス手、親リーチを受けての10巡目。

ドラ

ここからの何切る、内田は歯を喰いしばって打
通る保証など全くないが今日これまでの戦いでの感覚がそう打たせたのだろう。

そしてドラのトイツ落とし後、追いつきリーチ。

内田
リーチ一発ツモ ドラ ウラドラ

正に多井に会心の一撃を与えた。

谷崎は残りの親番に全てを懸けたいところ、その親番前の東4局に本日初の倍満が炸裂!

谷崎
リーチ一発ツモ ドラ ウラドラ

この親かぶりでこの半荘ラス目になってしまったのが総合トップの山下、しかも他の3人にとって都合のいい並びになってしまう形に。

形ができた以上、あとは素点を稼ぐのみ、ここで来たのはやはり多井。

南1局 多井
リーチツモ ドラ ウラドラ

しかしこの待ち、リーチした時点で残り1枚。

それをしっかり8枚目でツモアガる。これがこの男の人間力か。

そして南3局、多井が優勝を決める会心の手筋を魅せる。
 ドラ
ここからを切り、親の仕掛けに安全牌だけを切り、現物待ちでテンパイを入れる。

そしてオリにまわっている山下から、チートイドラ2の6400を直撃し、ほぼ試合終了。

多井
ロン ドラ

オーラスは多井が2600をアガり、第5期RMUクラウンは終了した。

最終成績
多井 +32.9
山下 +16.2
谷崎 △13.6
内田 △35.5
クラウン決着

最後の最後まで、対局者全員が集中していて、とてもいい試合であったと思う。

技術の差はあるのは仕方ない、だが一所懸命な気持ちがあったからこそ最後まで面白かったのだろう。

私も技術、精神力共に更に研鑽し、来年この舞台で戦えるようしなければ!

石川泰之
文中敬称略
文責:石川泰之