スプリントファイナル2010、優勝は谷井茂文プロ!
(文中敬称略)
スプリントファイナル前日の夜、事務局から1通のメールが。
本文:明日負けたら、決勝の観戦記書いてもらえますか?
あまり前日にそういうこと考えたくないのだが…と思いつつ承諾したのだが、結果、初戦であっさり負けてこれを書くことに。
今回のスプリントファイナル。 準々決勝から登場の藤中と私のライセンスプロ2人が共に敗れ、 さらに準決勝から登場の4人のうち、 多井、平山、佐野の3人が準々決勝勝ち上がりの勢いに抗し切れずに準決勝で敗れるという下克上の空気が漂う中、 薄氷とはいえ最終戦のオーラスに条件をクリアして勝ち上がった、 唯一の準決勝シードかつライセンスプロの谷井が本命で、 そこに他の3人がどう挑んでいくかに注目していた。

谷井は、今年度開始時に団体初となるライセンスB→Aへの昇格を果たすと、 団体最速となる100勝到達、オープンリーグ決勝進出(3位)、R1リーグ優勝、 そして今回のスプリントファイナル決勝進出と、獅子奮迅の活躍ぶり。
さらに今回ここで優勝すると、今期のMVP獲得をぐっと引き寄せることとなる。
もっとも、谷井自身はここに書いた結果そのものにはあまりこだわっている様子はない。
Rリーグ最終節前に、
「R1リーグの優勝を決めて来年度RMUリーグ参加資格を獲得し、 競技麻雀最高峰といえるRMUリーグでトッププロ相手に40半荘のリーグ戦でみっちり戦って自身の麻雀の向上につなげたい」
と話していたように、自身の麻雀のスキルアップに真摯に取り組んでいる、まさに「ストレートアロー」である。
谷井以外の3人はというと、(五十音順)
小原健史

今期スプリントポイント:13pt(10位通過)
主な成績:マーキュリーカップ3位
優勝はないが、1回の決勝進出と準決勝進出でポイントを重ねる。 最終戦のネプチューンカップ開始時点ではボーダーぎりぎりだったが、 そこでの準決勝進出でファイナル進出を決めた。
小林景悟

今期スプリントポイント:15pt(7位通過)
主な成績:ウラヌスカップ優勝
今期よりアスリートコースに所属し、前期でR2に昇級。 スプリントでは前半伸び悩んで2pt止まりだったが、 ラス前のウラヌスカップ優勝で一気に圏内へ。
寺本喜一

今期スプリントポイント:12pt(12位通過)
最高成績:アースカップ優勝
3戦目のアースカップで優勝し、早々に12ptまで伸ばしたものの、そこから上積み出来ず。 ネプチューンカップ決勝の山下の成績によってはファイナル進出すら叶わなかったところだったが、 なんとかギリギリで残ると、そのツキを生かした形で決勝へ。
この4人で決勝を争います。半荘5回、RMU公式Aルール(一発裏あり)です。
(1回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林
東1局、まずは挨拶代わりに谷井が強烈な一撃。
            リーチツモ ドラ 裏
配牌では2枚だったドラを4枚にしてのリーチ、ツモって3,000-6,000のアガリ。
実は、 切りリーチの同巡、小原に役なしカン のテンパイが入り、 谷井の一発目のツモがその だったのだが、 さすがにそれで追いかけリーチは無謀だろうから、やむをえない結果といえる。
東2局、小林が6巡目リーチ。
            ドラ
入り目が で宣言牌が 、つまりリャンメン待ちにも取れていて、
その場合は4巡後に をツモアガっている。
実際の進行は、 の次巡にツモってきた をアンカンしてさらに高くなったものの、 狙いの が脇に流れるなどして、1人テンパイの流局。
4メンツ1雀頭をツモの延長線上で作るという麻雀の基本概念的にはもちろん、 単純な打点効率の面においてでも、 これはリャンメンでリーチした方がいいと思える牌姿である。
でアガれれば6,400だが、ハネ満をツモられた後とはいえ、 ツモって1,300-2,600は決して安い点数ではない。
それどころか、ツモられた後だからこそ確実に取りにいきたいアガリではなかったか。
さらに言うと、流局で手を開かれた際、 河を見ればアガリ逃がしをしていることが一目で相手に分かってしまうのがとても嫌で、 筆者もリーチをかけた後で選択ミスだったかな、 と思うようなリーチをかけてしまうことがあるが、 そういう時には、流れるよりも横移動や相手のツモ決着になってくれ、 と思ったりするもの。 このテンパイ形が他の3人にはどう映ったか。
この牌姿を見て安堵したであろう谷井は、次局の親番で、4巡目にチートイツイーシャンテン。
しかし、次巡ツモ切った が、 同じく4巡目にテンパイしていた寺本のジュンチャン三色に捕まり、満貫放銃。
さらに次局、小林とのリーチ合戦に敗れて3,900放銃してハネ満の貯金を放出すると、 そこから2局連続ノーテンで合計3,000点払い、僅差ながらもラス目に落ちてしまう。
そして、南1局3本場、供託が2本ある状態で西家谷井の12巡目。
            ツモ ドラ
高目イーペーコーのテンパイでション牌のドラを切ってリーチしたら、 カン をチーしていた小原に鳴かれた挙げ句、 その小原につかんだ でシャンポン待ちの満貫に放銃、という最悪の結果に終わる。
この展開だけ見ればよくある話である。 しかし、そこに谷井なりの考えがあったという。
まず、ドラの所在について。
谷井は、9巡目に小原がノータイムで を鳴いたのを見て、ここに2,3枚、しかもだいたい2枚で鳴かれるだろうと踏んでいたという。
とはいえ、もし仮に2枚あるのが(理由は何にせよ)分かっているのなら、 この程度のテンパイであれば、 ドラを切らずにテンパイを取りさえしなければ鳴かれなくていいじゃない、 と思うのが普通だろう。
しかし、谷井は違った。 自分の麻雀を打つために、あえて自分の中で鳴かれると確信していたドラを切ったと言う。
どういうことかというと、先日のオープンリーグの決勝で谷井の麻雀を観戦していた、 彼の師匠である古久根プロから後日、
「決勝というステージでいつも通りの麻雀が打ててないのではないか」
という指導をいただいていて、それを実践しようとした、とのこと。
そもそもその言葉が頭に浮かんだのは、2局前の小林にリーチ負けした東4局、 その5巡目、
            ツモ ドラ
このイーシャンテンになった時を思い出してのこと。
この時点で を2人が切っていて が良く見えていたが、
 はあまり良くは見えない状況。
自分は、普段のリーグ戦やカップ戦だったら感触のある を残し、
 待ちが残っても先制リーチをかけているはずなのに、 良いと思わないリャンメンのリーチのみをかけるのはどうだろう、 などと考えてしまった結果 を切ってしまい、 次巡 をかぶってこの巡目でのテンパイを逃がすこととなる。
結局、
            ドラ
でリーチすることになるのだが、親の小林に追いかけられた直後のツモが でアガリを逃した形になり、その2巡後に で3,900放銃。
そこで、
・「良いと思わないリャンメンのリーチのみをかけるのはどうだろう」という発想自体が、 決勝を変に意識していつも通りの麻雀を打ててない、ということではないか。
・その結果、アガリ逃しからの放銃につながってしまっている。
・このままでは、そんな麻雀で優勝を逃がしたオープンリーグ決勝の二の舞になるのではないか。
と考えたと言う。
それを踏まえて南1局の牌姿。 並びトイツの隣を引いてイーペーコー形の待ちになる形は、 彼の経験則でそれなりに自信があって、いつもならリーチする形だとのこと。
とはいえ、ドラをポンされた上での勝負が打点的に劣るのは百も承知。
でも、いつもならここでドラを切ってリーチする形だから、 宣言牌を鳴かれる危険性が高くてもドラ切りリーチ。
それが満貫放銃という最悪の結果になっても、いつもの麻雀を打った結果のものだから、 それはそれでこの半荘のラスを引き受ける。
そこで一旦リセットして、そこから再スタートしてぶれずに自分の麻雀を打ち続ければ、 最終的には逆転できるのではないか。
そう考えてのドラ切りだったということである。
結局、この半荘で谷井は大きく浮上することはなく、ラスとなる。 しかし、谷井のこの強い信念が、後に花開くこととなる。
小原+21.6、寺本+8.7、小林▲1.8、谷井▲28.5
(2回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林
場決めをした結果、4人とも1回戦と同じ席で、しかも起家まで同じ。
東1局、
            ドラ
12巡目からこの形でテンパイしていた小原が、 ハイテイで生牌の をつかんで手が止まる。
少考してツモ切ると、小林の
            ドラ
チートイツドラ2に放銃、ホウテイがついて8,000。
実はこの 、誰も持っておらず残り2枚は王牌の中。
東2局は、谷井が
            リーチツモ ドラ 裏
ドラ筋待ちのピンフのみをリーチして安目ツモかと思ったら裏ドラの方。 この1,300-2,600は感触良しか。
東3局は小原が
            リーチツモ ドラ 裏
1,000-2,000をアガって谷井の親を流す。
続く東4局、寺本が8巡目に をリャンメンで鳴いてから バックでテンパイ。 しかし、小原の リャンメンチーにより、 使えないドラが下がってきて撤退を余儀なくされる。
一方の小原も、
           ドラ
鳴いたはいいが配牌からトイツの役牌2組がここまで出てこないで焦ったか。 で、 ツモ打 でホンイツのイーシャンテン。 しかし、 ツモって失敗したと思ったのか、 2巡前に谷井がツモ切っていて寺本も切っている を見てか、 メンツを崩して打 。
すると
谷井「ロン、6,400」
            ロン ドラ
痛恨のオリ打ちとなってしまう。
実は谷井、 を切ったあたりでは
「今までの展開を考えると、リーチした方がいいかも」
と考えたそうである。
実際観戦していて、他家がリーチに対し筋を追っていく印象は結構あった。
結局ダマにした理由は、
「同卓者が飯田さんや古久根さんだとしたら、 ダマならアガれるチャンスが少しはあるかもしれないけど、 リーチしたら絶対にアガれないと思ったから」
とのこと。
なんでも、決勝を迎えるにあたり、飯田永世最高位から
「決勝メンツを、自分や古久根さんだと想定して打つように」
という心構えを伺っていたという。
実際のところ、即リーチしていたら小原はそもそも鳴かなかっただろうし、
を切った後のツモ切りリーチは違和感が生じるから、
が出ることはなかったような気がする。
結局、このリードを生かして谷井がトップ、小原はオーラスに寺原をかわしてラス抜けし、トータル首位はキープ。
(2回戦)谷井+25.2、小林+9.7、小原▲10.4、寺本▲24.5
(トータル)小原+11.2、小林+7.9、谷井▲3.3、寺本▲15.8
(3回戦)(座順)小林、寺本、小原、谷井
なんと3回戦も場決めの結果全員動かず。 (これで起家まで同じだったらすごい確率だよな) なんてつまらないことを思ったが、起家は小林に。
その東1局、南家寺本が配牌からチャンタに寄せていき、途中ドラを重ねて
            ドラ 出る
小林から出た をチー。
鳴きたい気持ちは分かるし、私も実際に鳴いてしまうような気もするが、 このチーの瞬間にドラの を食い下げてしまう。
寺本は と のシャンポンでテンパイするも、 テンパイどまりで小林がタンヤオのみ2,000のアガリ。
続く1本場は、小林がドラ 雀頭のカン をリーチ、ラス牌ツモって4,100オール。
続く2本場、谷井が
            ドラ
ツモり三暗刻のリーチ(場には が1枚)。
これに対し小原が、 を1枚抱えるなど手バラのところから 上家の切った をカンチャンでチーして一発消し。
次巡、小原が手出しで を切って一発消しであることを確認した谷井。
直後に本来なら小原の手に渡るはずだった を見せ付けるかのようにツモって2,200-4,200。
親が流れて東2局、北家小林が高目三色の先制リーチ。
            ドラ
次巡西家谷井がタンピンイーペーコーの形で追いかける。
            ドラ
小林の一発目のツモは 、すると今度は、寺本が一発消しのチー、 さらに次巡 を手出ししたところまで同じ。
結果は、谷井がツモるはずだった安目の を小林に食い下げ、3,900横移動。
谷井としてはツモりたかった所だろうが、 トップ目が掴んで自身がトップに浮上したのだから、悪くはない。
その並びのまま迎えた南2局、 谷井は配牌で7枚だったピンズを7巡目までに5枚引いてきて、次巡
           ドラ
2枚目の を鳴いてポンテン。
これを見た親の小林が、ドラを勝負して
           ドラ
で追いつく。
途中、谷井は を2枚引いて と入れ替えてシャンポン待ちに変え、 小林はション牌の や など、強い牌を切りながらのツモ切りが続く。
そして、もう終盤の16巡目、生牌の をつかんだ谷井の手が止まる。
そして、 を切ってテンパイを崩す。
結果、小林の1人テンパイで流局。
私には小林の主張が通ったようにも見えたが、対局後の谷井に聞くと、
「あの巡目ではもう待ちがシャンポンにしかなってないように思え、 字牌で候補としては と の少なくともどちらか、 下手したら両方アタリだろうと思っていた。
それに対し、自身の手にアガリはもうないだろうと思っていたので、 アタっても2,900だとは思ったけどやめた。
これで自分が親なら点数を叩ける連チャンの権利を主張できるから別だけど…」
続く1本場、親の小林が
            ドラ
5巡目にテンパイし、ダマテンに構える。
2巡ツモ切った後、 をツモってリャンメンに変化したところでリーチすると、 一発目のツモが でアンカン。
すると、南家の寺本が
            ドラ 、
ここに をツモり、さっきまで小林のロン牌だった を曲げて追いかける。
15巡目に寺本が引いた はもちろんアンカン(カンドラ )。
山に残っていた両者のアガリ牌は、終盤谷井に吸い込まれる。
流局で両者の手が開かれ、寺本の手牌を見た小林が苦笑い。 一体何を思ったか。
続く2本場、小林は    と5連続で有効牌を引いて
             ドラ
このイーシャンテン。
場に見えている関連牌は  各1枚+ドラ表示牌の 。
私ならドラ含みのピンズが連続形なので を切りそうな所だが、 小林の選択はタンピン確定の打 。 裏目になることなく、2巡後に を引いてタンピンドラ1でリーチ。 (私の手順ならノベタンで渋々リーチか)
イーシャンテンの間に が1枚見えたのが私には多少不安だったが、 小林にとっては自信のリーチだったと思う。
しかし、ノベタンの形ならアガリがあった を寺本に鳴かれ、 そのままタンヤオのみで捌かれてしまう。
続く南2局、親を持ってきた形の寺本が、3巡目で 単騎のリーチのみで先制。 これに谷井がトイツ落としで一発放銃、裏も乗って7,700。
ここから寺本が連チャンで細かく稼ぎ、小林を逆転する。
同4本場、谷井の
          ドラ
4メンチャンのテンパイに小原が
            ドラ
リャンメン待ちのリーチドラ1で応戦し、結果小原がツモって1,000-2,000。 どうも谷井は乗り切れない。
オーラス、小林にメンホンチートイツドラ2のテンパイが入るが実らずに、 寺本が逃げ切りのトップ
(3回戦)寺本+23.7、小林+13.0、谷井▲10.9、小原▲25.8
(トータル)小林+20.9、寺本+7.9、谷井▲14.2、小原▲14.6
トップがバラける中、唯一ノートップの小林がトータルトップという面白い展開。 上から下まで約35pt差で残り2戦、まだ全員にチャンスはあるが、 追う谷井、小原はここで小林に先着されると最終戦が厳しくなるので、 ここが勝負所となるであろう。
(4回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林
東1局、小林がリーチのみをリンシャンでツモって1,300-2,600の滑り出し。 続く東2局、小原がトイトイで2つ仕掛けたところに、谷井が
            ドラ
ドラ単騎のタンヤオチートイツで即リーをかける。 小原はトイツ落としでオリ気味に打っていたが手詰まってしまい、 リーチ後に通った のスジを追ってドラを切ってしまい、12,000放銃。
続く東3局、北家小原が9巡目に
            ドラ
こんなテンパイが入り、次巡ツモ切りリーチ。
これで他家がオリてくれれば良かったのだが、12巡目にツモ切ったドラを寺本が
            ドラ
自分で  と河に並べているこんな形からポンして 切り。 さらに、リーチを受けた時点でタンピンのイーシャンテンだった谷井に、
            ツモ ドラ
ラス牌のドラが流れて追いかけられる。
結局、アガったのは
      ツモ     ドラ
こんなテンパイになった寺本で、2,000-4,000の親カブりをした谷井だが、 次局すぐさまチーテンの中ホンイツをツモって1,300-2,600。
南入して親の寺本が1つ仕掛けて
           ドラ
このイーシャンテンから、 をリャンメンチーして 切りと食い延ばす。
しかし、この鳴きで次にツモっていたはずの だけでなく、
  と連続して食い下げてしまい、アガリを逃がした格好に。
そうこうする間に小林がリーチ。
            ドラ
次巡さらに を持ってきてアンカン。
これで谷井が
            ドラ 、
ドラドラとはいえ苦しくなったと思ったら、薄い の方を引いて追いかけ、 ツモって2,000-4,000をリー棒付きで寺本にかぶせてダントツに。
そこからさらに谷井が細かく加点する。
オーラスは寺本が5巡目に のポンテン。
長引いて11巡目に高目ツモなら親満の小林のリーチを受けるが、 なんとか捌いて2着キープ。
(4回戦)谷井+40.3、寺本+10.5、小林▲11.4、小原▲39.4
(トータル)谷井+26.1、寺本+18.4、小林+9.5、小原▲54.0
優勝条件は、
谷井と寺本は着順勝負。
小林は、谷井と2着順差をつけるか6,600点差をつけた上で上位2人より上になること。
小原は7万点以上取った上でさらに並びが必要。
小原以外は十分可能性がある、三つ巴の戦いだ。
(5回戦)(座順)谷井、寺本、小原、小林
谷井が起家スタートとなり、ラス親を引いた小林はチャンスか。
東1局、小林が9巡目に
            ツモ ドラ
以外どのピンズを引いてもテンパイする形だったが、 役ありとはいえ最悪の入り目と言える を引き、ダマテンに構える。
そこへ4枚目の を引き、アンカン。
でもここは、元々が待ちの良くなくかわし手でしかないのだから、 ツモ切っておく手はなかったか。
アンカンしてリンシャンから引っ張ってきたのは新ドラになった 、 これをツモ切ると谷井が
            ドラ 、
からポンして打 。 シャンテン数の変わらない苦しい鳴きだが、この時点で が3枚、
もドラ表示牌含め3枚見えており、やむなしといった所。
すると、4枚目の をツモってきてこれをアンカン、 リンシャンから を引いてきてドラの を勝負してシャンポン待ちのテンパイになる、 と同時にカンドラが に乗って、小林の手も満貫手に。
この時点で谷井のシャンポン待ちは山に3枚、小林のカンチャン待ちは山に2枚。
ここから両者のめくりあいになり、 が寺本に流れた後、
を小林が持ってきて止まらず、12,000放銃。
1本場は寺本がチーテンで流し400-600、 東2局は失点を取り返したい小林がドラ単騎のリーチをかけるも不発に終わり 1人テンパイの流局。
東3局は、寺本が
            ドラ
このリーチ、これに対し親の小原の手には現物も通りそうな牌もなく、 ドラが浮いていている形。 で、チートイツを見たのか3巡の安全を買おうとしたのか、 アンコの に手をかけてしまい、一発で満貫放銃。
東4局も寺本が7巡目に をアンコにし、 を切っての先制リーチ。
            ドラ
これに対し、谷井が
            ドラ
型の入ったイーシャンテンから無筋の を押し、 次巡寺本の当たり牌の を引いてテンパイし、 現物待ちということもありダマテンに構え、次巡安目の をツモって1,300-2,600。
リーチしていればハネ満なんていうのは、この場面では結果論か。
ほぼ並びだった寺本に約1万点差を付ける、価値あるアガリとなった。
しかし、寺本も粘る。 南1局4巡目、
            ツモ ドラ
ここから のペンチャンターツに手をかけると、
 と引いてきて役なしカン テンパイ。
次巡、 を引いてきて手が止まる。
を切れば中筋待ちにもなるが、ツモ切り。
そして次巡、 をツモ切ってリーチ。
実はこれがすごいタイミングで、 リーチ直前に谷井がイーシャンテンからカンチャンターツの を外し
を浮かせてリャンシャンテンに戻した瞬間。
しかし、谷井の手が進む前に寺本がツモ。
開かれた手を見て、谷井は一瞬ホッとしただろう。
しかし、次の瞬間凍りつく。
裏ドラ表示牌に がめくれて2,000-4,000となり、逆転されてしまう。
南2局、6巡目に谷井が切った を、小原が
            ドラ
から見逃し。 次巡 を引いたところでアンカンすると、直後に谷井が
            ツモ ドラ 、
4メンチャンでテンパイし、即リー。 さすがにこれは谷井が勝ったと思ったが、同巡小原が ツモ。
さすがにこのアガリは拒否せず、2,000-4,000に。
寺本は親カブりしたが、谷井がリーチしていたこともあり、まだ1,800点上。
南3局、最後の親番の小原が、 - 待ちのピンフリーチ。
これに対し、
            ドラ
ドラの浮いたイーシャンテンだった谷井は、無筋の を引いて退き、
            ドラ
直前に を重ねて トイツ落としの途中だった寺本は、 無筋の と勝負し、 谷井が切った現物の を鳴いて バックのテンパイを組み、 次巡 をツモアガリ。
そしてオーラス。 この時点で
寺本:43,900
谷井:39,200
小原:24,300
小林:12,600(親)
このまま終われば寺本の勝ち、谷井は1,000-2,000か5,200出アガリ、2,600直。 小原には優勝条件が無く、小林は連チャンあるのみ。
3巡目、小林が を切った時点での南家谷井の手が
            ドラ
このリャンシャンテン。 鳴ける形ではあるのだが、これを見送る。
一見、鳴いてドラを引くことにかける手もありそうだが、
がアンコになればリーチW南で条件を満たすし、 マンズが伸びればメンタンピンツモもしくはメンピンツモドラ1などという変化もあるので、 この巡目なら見送るのが妥当か。
で、谷井が2巡ツモ切った直後の4巡目、西家寺本にラス牌の が流れる。
さすがにこれはツモ切った方がよかったように思うが、寺本は手中に留める。
谷井は5巡目に を引いて を切ってイーシャンテンとなり、 次巡 を引いた所で場に1枚見えている を切る。
すると、
「ポン」思いもしなかった小原からの発声。
慌てて見に行くと、
           ドラ
ポンしてこの形。
優勝の目はないが、役満アガれば3位にはなるのだ。
これで困ったのが東家小林。
配牌が悪く、この時点で
            ドラ
なんとかこの形。 アガるためには2巡目に重なった を生かすのが一番早いと考えていたと思うが、 こんな鳴きをされては の出に期待なんて出来やしない。
一方、寺本は10巡目に
            ドラ
から、 をチーしてイーシャンテンとなったところで を切ったのが10巡目
            ドラ
谷井もさすがに手を組みかえる余裕はないので、 ポンはするとして三色かドラかの選択。
場に だけ2枚見えていたこともあり、 を切ってドラ引きに託す。
そして、この鳴きにより寺本は をアンコにしてテンパイが入る。
12巡目、小原は小林が切った も鳴く。 もうどうせ鳴いたのだったらソウズ1メンツ落とすのかと思ったら、ここから を切る。
次巡、小原が をツモ切ると
           ドラ
小林が鳴いて形テンに取る。 この親が落ちれば終了で、もう終盤。
どうせ が出なさそうであれば、やむをえないところか。
そして、残り1巡ほどになった所で、
         チー  ツモ ドラ
寺本に4枚目の が入る。
この は、 が4枚見えているので、
 と切っている谷井への放銃は絶対にない。
また、  と鳴いている小林は、 役ありかどうかが分からないが放銃の可能性はある(実際に形だけならロン牌)。
だが、寺本の目からはドラが2枚見えていて、 役牌も 以外は見えている上に小原の仕掛けがあるので、 ドラドラだとしても5,800まで。
5,800放銃しても次局アガリ優勝なのは変わりなく、 大半は今回のように形テンや1,500のケースだろうからツモ切る一手と思えたのだが、 寺本はアンカンを選択。
そして、小林は自身最後のツモでドラを引かされる。
手が止まってしまったが、どう考えてもこのテンパイを崩したらゲームセットなので、 切らざるをえない。
しばらく時間が止まった後、河に置く。
小林の後ろで観戦していて、どうせアガれないけど、なんて思っていたら、
「ロン」
谷井が手牌を倒す。
びっくりして卓上を確認すると、
         ロン   ドラ 
なんと、寺本のカンでカンドラが乗って、
ならどこからでもアガれるようになっていたという…。
仮にアンカンが無ければ3,900なので出アガリできず、 もう1枚のドラは小林がつかむ直前に小原が掴んでいるので、 この局で谷井の優勝は決まらなかった。
さらに、寺本の待ちの が2枚残っていて、 谷井がつかんでも現物の と入れ替えられるので切ることはないだろうが、 もう1回残っていた自分のツモにいたら優勝、そうでなければもう1局だった。
対局後、これまで多くの決勝を見てきた多井でさえ、
「こんなオーラス初めて見た」
と語る、驚きの結末と相成った。
(5回戦)谷井+32.2、寺本+18.9、小原▲10.7、小林▲40.4
(成績及び対局後コメント)
4位:小原健史 ▲64.7
高打点のチートイツに3回放銃してしまい、最後目無しに近くなったのが残念です。
また出直して、チャンスがあればまた頑張りたいです。
3位:小林景悟 ▲30.9
ずっと楽しかった。 楽しいまま勝てれば良かったけど…。
最後は自分によくありがちなミスで負けてしまいました。 課題ははっきりしているので、また来年度戻ってきたいです。
2位:寺本喜一 +37.3
緊張した中で麻雀が打て、それなりに楽しめた。
なかなか優勝するのは難しいですね、実感です。
優勝:谷井茂文 +58.3
最終戦のオーラスの終盤までもつれたので、どっと疲れました。
オープンリーグの決勝も残っていたけど3位という残念な結果だったので、 今回はいい結果を残せてとても嬉しいです。
谷井は初年度のスプリントファイナルも制しているので、2度目の戴冠となります。
終わってみれば順当な結果と言えるけど、 3人とも谷井によく食い下がっていたと思います。
ちょっとしたアヤで結果はどのようにもなっていた可能性はあり、 それを象徴していたのが最終戦、特にオーラスの1局だったように思います。
これで、今年度こちらで行われる公式戦は、 クライマックスリーグを残すのみとなりました。
来年度の年間予定もすでに発表され、 もちろん、来年度もスプリントカップ及びスプリントファイナルは行われます。
今回のファイナルに残った顔ぶれ及び結果を見て分かるように、 RMUのライセンスプロ、アスリートだけでなく、 参加される皆さんにファイナル進出、 さらにはファイナル優勝の可能性がある大会です。
この拙い観戦記を読んでくださった皆さんのみならず、 普段からの麻雀仲間をお誘いしていただくなどして、 来年度のスプリントカップにより多くの方のご参加があれば、大会も盛り上がり、 いちライセンスプロとして大変嬉しく思います。
皆さんと来年度もスプリントカップの大会会場でお会いできることを楽しみに、 筆を置こうと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

(文責 宮田信弥) |