2010 スプリントファイナル |
スプリントファイナル2010、優勝は谷井茂文プロ! スプリントファイナル前日の夜、事務局から1通のメールが。 本文:明日負けたら、決勝の観戦記書いてもらえますか? あまり前日にそういうこと考えたくないのだが…と思いつつ承諾したのだが、結果、初戦であっさり負けてこれを書くことに。 今回のスプリントファイナル。
さらに今回ここで優勝すると、今期のMVP獲得をぐっと引き寄せることとなる。 Rリーグ最終節前に、 谷井以外の3人はというと、(五十音順) 小原健史 今期スプリントポイント:13pt(10位通過) 小林景悟 今期スプリントポイント:15pt(7位通過) 寺本喜一 今期スプリントポイント:12pt(12位通過) この4人で決勝を争います。半荘5回、RMU公式Aルール(一発裏あり)です。 (1回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林 東1局、まずは挨拶代わりに谷井が強烈な一撃。 リーチツモ ドラ 裏 配牌では2枚だったドラを4枚にしてのリーチ、ツモって3,000-6,000のアガリ。 実は、切りリーチの同巡、小原に役なしカンのテンパイが入り、 東2局、小林が6巡目リーチ。 ドラ 入り目がで宣言牌が、つまりリャンメン待ちにも取れていて、 実際の進行は、の次巡にツモってきたをアンカンしてさらに高くなったものの、 4メンツ1雀頭をツモの延長線上で作るという麻雀の基本概念的にはもちろん、 でアガれれば6,400だが、ハネ満をツモられた後とはいえ、 それどころか、ツモられた後だからこそ確実に取りにいきたいアガリではなかったか。 さらに言うと、流局で手を開かれた際、 この牌姿を見て安堵したであろう谷井は、次局の親番で、4巡目にチートイツイーシャンテン。 しかし、次巡ツモ切ったが、 さらに次局、小林とのリーチ合戦に敗れて3,900放銃してハネ満の貯金を放出すると、 そして、南1局3本場、供託が2本ある状態で西家谷井の12巡目。 ツモ ドラ 高目イーペーコーのテンパイでション牌のドラを切ってリーチしたら、 この展開だけ見ればよくある話である。 まず、ドラの所在について。 谷井は、9巡目に小原がノータイムでを鳴いたのを見て、ここに2,3枚、しかもだいたい2枚で鳴かれるだろうと踏んでいたという。 とはいえ、もし仮に2枚あるのが(理由は何にせよ)分かっているのなら、 しかし、谷井は違った。 どういうことかというと、先日のオープンリーグの決勝で谷井の麻雀を観戦していた、
そもそもその言葉が頭に浮かんだのは、2局前の小林にリーチ負けした東4局、 ツモ ドラ このイーシャンテンになった時を思い出してのこと。 この時点でを2人が切っていてが良く見えていたが、 自分は、普段のリーグ戦やカップ戦だったら感触のあるを残し、 結局、 ドラ でリーチすることになるのだが、親の小林に追いかけられた直後のツモがでアガリを逃した形になり、その2巡後にで3,900放銃。 そこで、 ・その結果、アガリ逃しからの放銃につながってしまっている。 ・このままでは、そんな麻雀で優勝を逃がしたオープンリーグ決勝の二の舞になるのではないか。 と考えたと言う。 それを踏まえて南1局の牌姿。 とはいえ、ドラをポンされた上での勝負が打点的に劣るのは百も承知。 でも、いつもならここでドラを切ってリーチする形だから、 それが満貫放銃という最悪の結果になっても、いつもの麻雀を打った結果のものだから、 そこで一旦リセットして、そこから再スタートしてぶれずに自分の麻雀を打ち続ければ、 そう考えてのドラ切りだったということである。
結局、この半荘で谷井は大きく浮上することはなく、ラスとなる。 小原+21.6、寺本+8.7、小林▲1.8、谷井▲28.5 (2回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林 場決めをした結果、4人とも1回戦と同じ席で、しかも起家まで同じ。 東1局、 ドラ 12巡目からこの形でテンパイしていた小原が、 少考してツモ切ると、小林の ドラ チートイツドラ2に放銃、ホウテイがついて8,000。 実はこの、誰も持っておらず残り2枚は王牌の中。 東2局は、谷井が リーチツモ ドラ 裏 ドラ筋待ちのピンフのみをリーチして安目ツモかと思ったら裏ドラの方。 東3局は小原が リーチツモ ドラ 裏 1,000-2,000をアガって谷井の親を流す。
続く東4局、寺本が8巡目にをリャンメンで鳴いてからバックでテンパイ。 一方の小原も、 ドラ 鳴いたはいいが配牌からトイツの役牌2組がここまで出てこないで焦ったか。 すると ロン ドラ 痛恨のオリ打ちとなってしまう。 実は谷井、を切ったあたりでは 実際観戦していて、他家がリーチに対し筋を追っていく印象は結構あった。 結局ダマにした理由は、 なんでも、決勝を迎えるにあたり、飯田永世最高位から 実際のところ、即リーチしていたら小原はそもそも鳴かなかっただろうし、 結局、このリードを生かして谷井がトップ、小原はオーラスに寺原をかわしてラス抜けし、トータル首位はキープ。 (2回戦)谷井+25.2、小林+9.7、小原▲10.4、寺本▲24.5 (トータル)小原+11.2、小林+7.9、谷井▲3.3、寺本▲15.8 (3回戦)(座順)小林、寺本、小原、谷井 なんと3回戦も場決めの結果全員動かず。
その東1局、南家寺本が配牌からチャンタに寄せていき、途中ドラを重ねて 小林から出たをチー。 鳴きたい気持ちは分かるし、私も実際に鳴いてしまうような気もするが、 寺本はとのシャンポンでテンパイするも、 続く1本場は、小林がドラ雀頭のカンをリーチ、ラス牌ツモって4,100オール。 続く2本場、谷井が ドラ ツモり三暗刻のリーチ(場にはが1枚)。 これに対し小原が、を1枚抱えるなど手バラのところから 次巡、小原が手出しでを切って一発消しであることを確認した谷井。 直後に本来なら小原の手に渡るはずだったを見せ付けるかのようにツモって2,200-4,200。 親が流れて東2局、北家小林が高目三色の先制リーチ。 ドラ 次巡西家谷井がタンピンイーペーコーの形で追いかける。 ドラ 小林の一発目のツモは、すると今度は、寺本が一発消しのチー、 結果は、谷井がツモるはずだった安目のを小林に食い下げ、3,900横移動。 谷井としてはツモりたかった所だろうが、 その並びのまま迎えた南2局、 ドラ 2枚目のを鳴いてポンテン。 これを見た親の小林が、ドラを勝負して ドラ で追いつく。 途中、谷井はを2枚引いてと入れ替えてシャンポン待ちに変え、 そして、もう終盤の16巡目、生牌のをつかんだ谷井の手が止まる。 そして、を切ってテンパイを崩す。 結果、小林の1人テンパイで流局。 私には小林の主張が通ったようにも見えたが、対局後の谷井に聞くと、 それに対し、自身の手にアガリはもうないだろうと思っていたので、 これで自分が親なら点数を叩ける連チャンの権利を主張できるから別だけど…」 続く1本場、親の小林が ドラ 5巡目にテンパイし、ダマテンに構える。 2巡ツモ切った後、をツモってリャンメンに変化したところでリーチすると、 すると、南家の寺本が ドラ、 ここにをツモり、さっきまで小林のロン牌だったを曲げて追いかける。 15巡目に寺本が引いたはもちろんアンカン(カンドラ)。 山に残っていた両者のアガリ牌は、終盤谷井に吸い込まれる。 流局で両者の手が開かれ、寺本の手牌を見た小林が苦笑い。 続く2本場、小林はと5連続で有効牌を引いて ドラ このイーシャンテン。 場に見えている関連牌は各1枚+ドラ表示牌の。 私ならドラ含みのピンズが連続形なのでを切りそうな所だが、 イーシャンテンの間にが1枚見えたのが私には多少不安だったが、 しかし、ノベタンの形ならアガリがあったを寺本に鳴かれ、 続く南2局、親を持ってきた形の寺本が、3巡目で単騎のリーチのみで先制。 ここから寺本が連チャンで細かく稼ぎ、小林を逆転する。 同4本場、谷井の ドラ 4メンチャンのテンパイに小原が ドラ リャンメン待ちのリーチドラ1で応戦し、結果小原がツモって1,000-2,000。 オーラス、小林にメンホンチートイツドラ2のテンパイが入るが実らずに、 (3回戦)寺本+23.7、小林+13.0、谷井▲10.9、小原▲25.8 (トータル)小林+20.9、寺本+7.9、谷井▲14.2、小原▲14.6
トップがバラける中、唯一ノートップの小林がトータルトップという面白い展開。 (4回戦)(座順)寺本、小原、谷井、小林 東1局、小林がリーチのみをリンシャンでツモって1,300-2,600の滑り出し。 ドラ ドラ単騎のタンヤオチートイツで即リーをかける。 続く東3局、北家小原が9巡目に ドラ こんなテンパイが入り、次巡ツモ切りリーチ。 これで他家がオリてくれれば良かったのだが、12巡目にツモ切ったドラを寺本が ドラ 自分でと河に並べているこんな形からポンして切り。 ツモ ドラ ラス牌のドラが流れて追いかけられる。 結局、アガったのは ツモ ドラ こんなテンパイになった寺本で、2,000-4,000の親カブりをした谷井だが、 南入して親の寺本が1つ仕掛けて ドラ このイーシャンテンから、をリャンメンチーして切りと食い延ばす。 しかし、この鳴きで次にツモっていたはずのだけでなく、 そうこうする間に小林がリーチ。 ドラ 次巡さらにを持ってきてアンカン。 これで谷井が ドラ、 ドラドラとはいえ苦しくなったと思ったら、薄いの方を引いて追いかけ、 そこからさらに谷井が細かく加点する。 オーラスは寺本が5巡目にのポンテン。 長引いて11巡目に高目ツモなら親満の小林のリーチを受けるが、 (4回戦)谷井+40.3、寺本+10.5、小林▲11.4、小原▲39.4 (トータル)谷井+26.1、寺本+18.4、小林+9.5、小原▲54.0 優勝条件は、 小林は、谷井と2着順差をつけるか6,600点差をつけた上で上位2人より上になること。 小原は7万点以上取った上でさらに並びが必要。 小原以外は十分可能性がある、三つ巴の戦いだ。 (5回戦)(座順)谷井、寺本、小原、小林 谷井が起家スタートとなり、ラス親を引いた小林はチャンスか。 東1局、小林が9巡目に ツモ ドラ 以外どのピンズを引いてもテンパイする形だったが、 そこへ4枚目のを引き、アンカン。 でもここは、元々が待ちの良くなくかわし手でしかないのだから、 アンカンしてリンシャンから引っ張ってきたのは新ドラになった、 ドラ、 からポンして打。 すると、4枚目のをツモってきてこれをアンカン、 この時点で谷井のシャンポン待ちは山に3枚、小林のカンチャン待ちは山に2枚。 ここから両者のめくりあいになり、が寺本に流れた後、
1本場は寺本がチーテンで流し400-600、 東3局は、寺本が ドラ このリーチ、これに対し親の小原の手には現物も通りそうな牌もなく、 東4局も寺本が7巡目にをアンコにし、を切っての先制リーチ。 ドラ これに対し、谷井が ドラ 型の入ったイーシャンテンから無筋のを押し、 リーチしていればハネ満なんていうのは、この場面では結果論か。 ほぼ並びだった寺本に約1万点差を付ける、価値あるアガリとなった。
しかし、寺本も粘る。 ツモ ドラ ここからのペンチャンターツに手をかけると、 次巡、を引いてきて手が止まる。 を切れば中筋待ちにもなるが、ツモ切り。 そして次巡、をツモ切ってリーチ。 実はこれがすごいタイミングで、 しかし、谷井の手が進む前に寺本がツモ。 開かれた手を見て、谷井は一瞬ホッとしただろう。 しかし、次の瞬間凍りつく。 裏ドラ表示牌にがめくれて2,000-4,000となり、逆転されてしまう。 南2局、6巡目に谷井が切ったを、小原が ドラ から見逃し。 ツモ ドラ、 4メンチャンでテンパイし、即リー。 さすがにこのアガリは拒否せず、2,000-4,000に。 寺本は親カブりしたが、谷井がリーチしていたこともあり、まだ1,800点上。 南3局、最後の親番の小原が、-待ちのピンフリーチ。 これに対し、 ドラ ドラの浮いたイーシャンテンだった谷井は、無筋のを引いて退き、 ドラ 直前にを重ねてトイツ落としの途中だった寺本は、
そしてオーラス。 このまま終われば寺本の勝ち、谷井は1,000-2,000か5,200出アガリ、2,600直。 3巡目、小林がを切った時点での南家谷井の手が ドラ このリャンシャンテン。 一見、鳴いてドラを引くことにかける手もありそうだが、 で、谷井が2巡ツモ切った直後の4巡目、西家寺本にラス牌のが流れる。 さすがにこれはツモ切った方がよかったように思うが、寺本は手中に留める。 谷井は5巡目にを引いてを切ってイーシャンテンとなり、 すると、 慌てて見に行くと、 ドラ ポンしてこの形。 優勝の目はないが、役満アガれば3位にはなるのだ。 これで困ったのが東家小林。 配牌が悪く、この時点で ドラ なんとかこの形。 一方、寺本は10巡目に ドラ から、をチーしてイーシャンテンとなったところでを切ったのが10巡目 ドラ 谷井もさすがに手を組みかえる余裕はないので、 場にだけ2枚見えていたこともあり、を切ってドラ引きに託す。 そして、この鳴きにより寺本はをアンコにしてテンパイが入る。 12巡目、小原は小林が切ったも鳴く。 次巡、小原がをツモ切ると ドラ 小林が鳴いて形テンに取る。 どうせが出なさそうであれば、やむをえないところか。 そして、残り1巡ほどになった所で、 チー ツモ ドラ 寺本に4枚目のが入る。 このは、が4枚見えているので、 また、と鳴いている小林は、 だが、寺本の目からはドラが2枚見えていて、 5,800放銃しても次局アガリ優勝なのは変わりなく、 そして、小林は自身最後のツモでドラを引かされる。 手が止まってしまったが、どう考えてもこのテンパイを崩したらゲームセットなので、 しばらく時間が止まった後、河に置く。 小林の後ろで観戦していて、どうせアガれないけど、なんて思っていたら、 びっくりして卓上を確認すると、 ロン ドラ なんと、寺本のカンでカンドラが乗って、 仮にアンカンが無ければ3,900なので出アガリできず、 さらに、寺本の待ちのが2枚残っていて、 対局後、これまで多くの決勝を見てきた多井でさえ、 (5回戦)谷井+32.2、寺本+18.9、小原▲10.7、小林▲40.4
(成績及び対局後コメント) また出直して、チャンスがあればまた頑張りたいです。
3位:小林景悟 ▲30.9 最後は自分によくありがちなミスで負けてしまいました。
2位:寺本喜一 +37.3 なかなか優勝するのは難しいですね、実感です。
優勝:谷井茂文 +58.3 オープンリーグの決勝も残っていたけど3位という残念な結果だったので、 谷井は初年度のスプリントファイナルも制しているので、2度目の戴冠となります。
終わってみれば順当な結果と言えるけど、 ちょっとしたアヤで結果はどのようにもなっていた可能性はあり、
これで、今年度こちらで行われる公式戦は、 来年度の年間予定もすでに発表され、 今回のファイナルに残った顔ぶれ及び結果を見て分かるように、
この拙い観戦記を読んでくださった皆さんのみならず、 皆さんと来年度もスプリントカップの大会会場でお会いできることを楽しみに、 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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